10月7日に公開される映画『月と雷』では、
見事なまでに「だらしなく、不健康な女」を演じた草刈さん。
自身の美と健康については、どう考えているのでしょう?
(「ダメな女」について語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/萩庭桂太 ヘア&メイク/馬場利弘 スタイリスト/宋 明美 取材・文/岡本麻佑
草刈民代さん
Profile
くさかり・たみよ●1965年生まれ。東京都出身。84年牧阿佐美バレエ団に入団。海外のバレエ団へのゲスト出演も多い。96年映画『Shall We ダンス?』(周防正行監督)に主演。97年日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を始め映画賞を多数受賞。同年3月周防氏と結婚。2009年現役を引退後、女優に転身。最近ではドラマ『やすらぎの郷』(テレビ朝日)『定年女子』(NHK)などに出演。10月7日公開の映画『月と雷』では、生活に疲れたダメな女・直子を演じ、新境地を開拓した。
顔のたるみは背骨のせい?
大事なのは、首と腰。
バレエダンサーだった頃、身体のあちこちに故障を抱えて、それを直すために自分自身の身体と正面から向かい合っていた草刈さん。50代に入った今、年齢とは、どう向き合っているのでしょう。
「年齢を重ねるのは、防ぎようがない。誰だって年はとるし、生きていくってそういうことですものね。でも今だからできることはあると思うので、それをちゃんとやっていこう、今までよりもっとできるようになろうと思えるモチベーションがあれば、見た目のことはあまり気にならないような気がします。
私は踊りを辞めて8年あまり、女優の仕事を試行錯誤しながら、それなりにトライしてきました。今私の1番の興味は、演じることです。もっともっと芝居ができるようになりたい。踊りでそれは経験していますけど、何かができるようになればなるほど、世界が変わってさらに高い所に行きたくなるものです。前より少しでも高い場所から景色が見渡せるように、これからも演技の経験を重ねていきたいと思っています」
でもそのために必要なのは健康ですよね、と、草刈さん。
「『健康であれば、大概のことはなんでもできる!』ってよく言うんです。今回の映画で、髪の毛が多少傷んでも平気でいられたのは、時間が経てばすぐに戻るという自信があったから。年齢だからと諦めてしまわないためには、健康でいることが不可欠だと思います。体力と気力があれば、すぐにポンと飛べるような自分でいられると思うんですよ」
健康の基本は、食生活から。
草刈さん、かつては”包丁なんか持ったことない”人だったのに、今は料理が大好きになったとか。インスタグラムにも、楽しそうに手料理がアップされています。
「家事を始めて6年くらいたちます。なんでもやりたがりなので、毎日ちょっとしたものを作るようになりました。ヨーグルトメーカーを買って、毎朝新鮮なものを食べていたり、肉や魚は下ごしらえして冷凍しておくと味がよくしみ込むと聞いて、その実験をしてみたり(笑)。
でも先日、私が毎日凝ったものばかり作るので、『たまには普通のものを美味しく食べたい』と夫が言ったときは、ほんと、憎たらしいと思いましたけど(笑)」
そして美容に関しては?
伺うと、さすが元バレエダンサーだけあって、全身的な見地で答えてくれました。
「身体全体でものを考えるのに慣れてしまっているせいか、小手先で顔をいくら直してもダメだと思っています。顔のシワやたるみをなんとかしたいと思うなら、顔だけいくら直してもダメ。顔の皮膚が下垂するときは、首が悪いんです。
そしてその大元は背骨だったりする。背骨さえちゃんとしていれば、首と腰さえきちっとしていれば、顔はたるまないし、多少シワがあっても若々しいし、身体の線も崩れにくい。
結局、大事なのは首と腰。全部つながっているんです。本当に若さを保っていたいのなら、食べ物と運動なんですよ!」
凛として美しい。だけじゃなく、大らかでチャーミングな魅力も備わった草刈さん。これからの50代、もっといろいろな美しさを見せてくれるはずです。
『月と雷』
10月7日(土)より、テアトル新宿ほか全国ロードショー
配給:スールキートス
(c)2012 角田光代/中央公論新社 (c)2017 「月と雷」製作委員会
監督:安藤尋 脚本:本調有香 出演:初音映莉子、高良健吾、草刈民代