映画『洗骨』の沖縄ロケ中は毎夜、泡盛を堪能していたという奥田瑛二さん。
だけど体型はスッキリ、動作もキビキビ、年齢よりもかなり若々しい印象だ。
節制という言葉はあまり似合わないけれど、
いったいどんなふうに自分をコントロールしているのだろう?
(生と死と、妻との関係について語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/萩庭桂太 取材・文/岡本麻佑
奥田瑛二さん
Profile
おくだ えいじ●1950年3月18日、愛知県生まれ。1979年『もっとしなやかに もっとしたたかに』で映画初主演。ドラマ『宮本武蔵』(84年/NHK)や『男女7人夏物語』(86年/TBS)で人気を博し、映画『海と毒薬』(86年)で毎日映画コンクール男優主演賞、『千利休・本覚坊遺文』(89年)で日本アカデミー主演男優賞、『棒の哀しみ』(94年)でキネマ旬報、ブルーリボン賞など9つの主演男優賞を受賞。近年の出演作に『64-ロクヨン-』(2016年)、『散り椿』(18年)など。また映画監督としても才能を発揮、『長い散歩』(06年)をはじめ、高く評価されている。妻はエッセイストでコメンテーターの安藤和津、長女は映画監督の安藤桃子、次女は女優の安藤サクラ。
「心の体力」は死ぬまでキープ!
こう見えて奥田瑛二さん、もうすぐ69歳。大人の男の魅力にあふれ、精力的に仕事をこなしているが、体調管理はどうしているのだろう?
「とりあえず毎日、1年365日、酒を飲んでます。風邪は引かない体質なんだけど、ちょっと風邪気味でも、酒を飲めば風邪が逃げていく(笑)。定期的に女房や事務所のスタッフが勝手に病院を予約して健康診断に行かされますけど、たいてい問題無しです。医者が『肝臓も胃も大丈夫ですね』って」
ただし、中性脂肪の数値がちょっと、と言われた奥田さん、早速インターネットで『中性脂肪を減らす方法』を検索し、〈酢漬けの煮干しを食べる〉という情報をキャッチ、実践してみたとか。
「でも、三日坊主でした(笑)」
最近、気に入って愛用しているのが、アルガンオイル。
「肌の乾燥に良いって聞いて、前から気になっていたんです。国内での仕事の帰りに、飛行機の機内販売で見つけて買いました。キャビンアテンダントが『プレゼント用ですか?』って聞くから『はい、そうです』って答えて、自分で使ってます(笑)」
健康や美容の情報に敏感だし、関心はあるけれど、ここでも奥田さんは自分の美学を貫く人らしく‥‥。どうやら人から強制されたり、指導されるのが苦手らしい。
「性格、ですね。小学生のとき先生に『なんだお前、こんなこともできないのか』って言われると、それだけで血が逆流するくらい頭に来て腹が立って、何もできなくなるようなヤツだったんだけど、今でもそうなんです(笑)。
人に教えられるのがもう、本当にイヤで。だからジムでインストラクターに教えられるのも、多分無理だよね。時間がかかってもいいから、健康になる手段や方法は自分で獲得したいし、追求したい」
ではすべて自己流で?
「いや、自分から興味を持ったら、専門家に頭を下げて『教えて下さい』っていうのは、できるんです。だからずっとヨガをやっている友達には、『どうすればいい?』って相談したし、撮影現場で一緒になったアクションが得意な俳優さんにも聞きましたね。その人が言うには、人にああしろこうしろって言われたことは、絶対に続かないって。自分で考えてやればちゃんと続けられるし、効果も出ますって」
というわけで、奥田さんがマイペースで続けているのは、体幹を鍛えるためのヨガのポーズやエクササイズをいくつか。お風呂の中ではタオルを使って腕から背中にかけての筋肉作り。さらに空手の達人から教わった動作を、100回単位で繰り返す。結果、引き締まった筋肉、シャキッとした姿勢、若々しい体型を保っているのだ。
そして最後にこれだけは言っておきたい、と、奥田さん。
「先日、ある大学の教授と話していて、僕が言ったんです。『最近、体力は落ちたけど、心の体力がついてきちゃってね』と。するとその人が『体力が衰えると、心の体力なんてガタガタに落ちるものだよ。君は珍しいね』って。それを聞いて、決めました。よし、これをキープするぞ。自分は死ぬまで、そういう気持ちでいるぞって。常識とか学術的事実はどうでもいい。僕は僕のまま、生きていくぞってね(笑)」
『洗骨(せんこつ)』
1月18日(金)より沖縄先行公開、2月9日(土)より丸の内TOEIほか全国公開。
配給:ファントム・フィルム
監督・脚本:照屋年之
出演:奥田瑛二、筒井道隆、水崎綾女、大島蓉子、坂本あきらほか。
(c) 『洗骨』 製作委員会