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「登場人物を美人に見せるには、キラキラの瞳より〇〇」?! 少女まんが家・くらもちふさこさんインタビュー

連続テレビ小説 『半分、青い。』で、主人公の鈴愛(すずめ/永野芽郁)が衝撃を受け、まんが家を目指すきっかけとなった秋風羽織(あきかぜはおり/豊川悦司)の作品が、実はくらもちふさこさんの名作の数々であったのは有名な話。

「本物が持つ力」を表現したくて、脚本の北川悦吏子さんが作品の使用をお願いしたのだそう。

アワエイジ世代のリアルな思い出の中にありつつ、今読んでも素晴らしい!

そんな作品を生み出し続ける、くらもちふさこさんに創作の秘密を聞いてみました。

 

まんが/くらもちふさこ 構成・文/花田身知子

 

パンダはくらもち先生の自画像。©くらもちふさこ/集英社

 

くらもちふさこ

Profile
まんが家。1955年、東京都生まれ。1972年『メガネちゃんのひとりごと』でデビュー。以来、心温まる名作を多数発表し、幅広い読者層を魅了し続けている。代表作に『いつもポケットにショパン』『東京のカサノバ』『天然コケッコー』など。『花に染む』で第21回手塚治虫文化賞「マンガ大賞」を受賞。2019年現在「ココハナ」(集英社)にて妄想系スペシャル“絵”ッセイ!『とことこクエスト』連載中。

『いつもポケットにショパン』 ©くらもちふさこ/集英社

 

『いつもポケットにショパン』『東京のカサノバ』『海の天辺』……私たちをときめかせ続けてくれる少女まんが家・くらもちふさこ先生は、現在63歳。アワエイジの対象年齢を告げると「40代・50代なんて、私からしたらみんなピッチピチだよぉ!」と顔をほころばせる。

 

17歳でデビューしてから40年以上、まんが家としてのキャリアを積み上げてきたくらもち先生自身、40代・50代の頃が一番元気いっぱいだった。若くしてヒット作を連発し、30代では自律神経の乱れからうつ病を患うも、まんが執筆は辞めなかった。40歳目前で連載を開始した『天然コケッコー』で自分らしい執筆のペースをつかみ、描けば描くほど心も癒されていったという。

©くらもちふさこ/集英社

【天然コケッコー9巻 scene69 より】
『天然コケッコー』は、大人向け少女まんが誌として1994年に創刊された「コーラス」で連載された。片田舎でのんびり暮らす少年少女の恋愛模様を描く一方で、全編猫目線の回があるなど、表現技法はかなりアグレッシブ。変幻自在の読切ストーリーは、いわゆる少女まんがの枠を軽々と飛び越えた。

 

「読者のみなさんがオトナだったおかげで、私が挑戦してみたいと思っていることを、懐深く受け入れて頂いている感覚がありました。若い頃よりもワガママに、出し惜しみせずのびのび描いているうちにメンタルも充実し、心の不調がおさまったんです。体力的にも「腰痛で描けなくなる人がいるなんて信じられない」と思うほど、元気いっぱいでしたね」

 

 

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50歳ちょうどで始めた『駅から5分』は、番外編『花に染む』まで加えると、連載期間はほぼ10年。還暦を越えた今もなお、執筆意欲はおとろえていない。

 

「まんがを描くことは私にとって生活だから。みんなだって生活は辞められないでしょう? 今も毎月2ページまんがを描けるのは、ありがたい限りなの!」とニッコリ。

 

現在「ココハナ」で連載中の“絵”ッセイ『とことこクエスト』では、毎月心ときめくスポットをお散歩し、イマジネーションを膨らませる。くらもち先生にとっての創作の源は、純粋な<ときめき>だ。

 

「描こうかな、描けるかな? って考えちゃったり、探しちゃってる時はまだなの。本当に描きたいものに出会った時は、描かずにはいられなくなるの!」

 

美術展、ゲームにアニメ、アイドル……と、今もときめきを忘れず、美しくキラキラしたものを描き続けるくらもち先生。ご自身がまんがで「美人を描く時」に気を配るポイントをお聞きすると、意外な答えが…。

 

「少女まんがの美人といえば、「目がキラキラ」って思われるかもしれないけど(笑)、私の場合は、まず「鼻筋からあごにかけてのライン」に気を配ります。美人キャラを印象づけたい時は、正面ではなく、少し横から描いていますね。……あとは姿勢が大事。『花に染む』では、水野楼良(みずのろうら)という女の子が、弓道場に黒髪&スーツで現れるシーンがあるんです。彼女は普段、ゴスロリファッションなんです。このシーンでは、立ち姿だけで本当は実力があることを部員に示さなきゃいけなかったので、姿勢にはずいぶん気を配りました。まっすぐ立っているだけですが、首の位置、あごの引き具合、肩の位置、足の開き具合まで心を配って描いています」

©くらもちふさこ/集英社

【花に染む8巻 ♯50より】

心を落ち着け、遠くをみつめる楼良は、飾り気はないけれど、凛とした佇まい。正しく弓を引くには、「射法八節(しゃほうはっせつ)」という射術の基本ルールを守る必要があり、その第一歩が、正しい姿勢で立つという「足踏み」。弓道は体配を大切にする競技なので、姿勢の良さは強さの証でもある。

 

う~ん、これは、実生活でも同じことかもしれません。人から見られたときに「姿勢」がいいと “ぱっと見・美人” になれそうです。

 

「こんなこと言いながら、自分の姿勢はあんまりよくないの(笑)。そのせいか、最近少し腰が痛くなってきて「あ、腰が痛いと長く座り続けられないから、まんがを描くのが難しいのね」って気づいたんです。体に不調があると、まんがを描くのは難しくなりますから歩くときは元気に腕をふり、背筋をのばすように気をつけています。

 

あと、ふとした拍子に自分の横顔を見ると、想像以上にアゴが前に出ちゃってて「こりゃイカン」と思います。自分で自分にビックリしちゃうんですよ。あら――こんなにも猫背だったかと……(汗)。
だけどある時、女性のカメラマンさんが「くらもちさーん、あご引いてください」って声を掛けてくださったことがあって、ちゃんと姿勢を意識して撮ってもらったら……やっぱり、ちょっとイイの(笑)。みなさんも、身近な人に自分の写真を撮ってもらうといいかも知れません。普段どんな姿勢をしているか確認できますし、背筋を伸ばすだけで、だいぶ違って見えますから!」

 

2019年2月26日に発売された『くらもち花伝 メガネさんのひとりごと』は、くらもち先生自身が、少女まんが家半生を語る秘伝・自伝の書。日常のきらめき、美しさを探し当てる天才・くらもちふさこ先生の視線が、「まんが」を通じて追体験できる。少女まんがのヒロイン気分で、日常からときめきを感じ、少し背筋をのばして歩いてみませんか?

 

『くらもち花伝 メガネさんのひとりごと』

2019年2月26日発売 本体1400円+税
(集英社インターナショナル)
●特設サイトhttp://shueisha-int.co.jp/kuramochikaden/
●マーガレットブックストア他各電子書店にて、くらもちふさこの電子版コミック販売中。各巻冒頭の試し読みも出来ます

 

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