「疲れているのに頭が冴えてなかなか寝つけない」「つい夜更かしになりいつも寝不足」「朝起きるのがツライ」「夜中に何度か目が覚めてしまう」…。大人世代だったら、当てはまるものが、あったのでは?
国民病とも言われるほど、【睡眠】の悩みを抱えている人が多い現代。
「この3月には11日〜25日の〈春の睡眠健康週間〉、15日の〈世界睡眠デー〉、18日の〈睡眠の日〉と、睡眠に関する知識普及や啓発活動が行われる日がいくつか定められています」
そう説明してくださったのは、久留米大学 医学部 神経精神医学講座 教授の内村直尚(なおひさ)先生。この日参加したのは、これら睡眠デーのタイミングに合わせて開催された『目覚め方改革プロジェクト』のセミナーです。同プロジェクトは目覚めの専門家を中心に昨年8月に設立。内村先生はプロジェクトリーダーを務めています。
「睡眠にはリズム・量・質の3つが大事で、これこそが基本。睡眠問題を引き起こす原因として、特に日本人は体内リズムが乱れている人が多いようです」
体内リズムとは、朝が来たら目覚め、日中は体と心が活動的になり、夜になったら自然に眠くなるという無意識に働く体の時計のこと。それが現代は、夜になっても明るいので眠くなりにくく、そのため朝にきちんと起きられない。睡眠不足で昼間に眠くなってしまう…とリズムが乱れがちに。これが、睡眠の質や量の低下に大きく関わっています。
平日は寝坊できないから休日にのんびり寝溜めして、睡眠不足をリセットなんて考えがちですが、実はそんな「休日朝寝坊」こそ、ますます体内リズムを乱す原因になってしまうとか。
健康な人が金曜と土曜の夜に寝ていられるだけ寝るという「休日朝寝坊」をした調査では、日曜の夜は睡眠促進ホルモンとも言われるメラトニンの分泌が遅くなり、分泌量も少なくなって寝つきが悪くなることがわかったのだそう。
「日曜の夜の体内リズムが遅れることで、睡眠の質が悪くなってしまいます。そのため、週明けの月曜から寝不足状態と、まさに負のスパイラルです」
睡眠は、脳や身体を休養させるメンテナンスの時間というだけでなく、エネルギーの保存、免疫機能の増加、記憶の固定とさまざまな役割を担っています。それだけに、自身の睡眠問題を自覚している人ならなおさら、リズム・量・質を整えていくことを心がけたいたいもの。
「良い睡眠というと〈入眠〉に注目しがちですが、体内リズムを整えるには〈目覚め〉を意識することも大切です。まずは起きる時間を一定にすることから始めてください」
体内リズムを崩さないためには、寝坊は平日の2時間以内に留めること、と内村先生。
「21日の春分の日から日の出が早くなります。光を浴びる時間が早くなると朝型のリズムを整えやすくなりますから、ぜひ朝の光を上手に利用しましょう」
体内リズムと日中のパフォーマンスについてもお話を聞くことが出来ました。次のページへ!
「日本は世界で一番睡眠時間が短く、世界で2番目に働く時間が長い国です。さぞかし仕事が好きで生産性も高いだろうと思いきや、生産性は139か国中22位、熱意ある労働者の比率は132位、しかも自分が働いている企業を信頼していない労働者の出現率は世界で第1位という驚きべきデータがあります」
特定非営利活動法人 健康経営研究会の岡田邦夫先生です。
「睡眠不足は注意力や認知機能を低下させてしまうため、日中のパフォーマンスにも大きく影響します。朝出勤しても本来の力を発揮出来ぬまま時間が過ぎ、やるべき仕事が終わらない。夕方から元気になってくるので、残業で日中の遅れを取り戻そうと頑張り、帰宅が遅くなってまた寝不足に。睡眠不足による経済的損失は、我が国では1380億ドルとされているデータもあるのです」
たしかに、睡眠不足は企業リスクとも言われていますよね。東海旅客鉄道 総合技術本部 技術開発部 技術計画チーム 担当部長の清水紀宏さんからのお話もありました。
「ペンシルベニア州スリーマイル島で起きた原子力発電所炉心融解放射能放出事故(1979年)、スペースシャトル・チャレンジャーの爆発事故(1986年)、アラスカ沖のでのバルディーズ号原油流出座礁事故(1989年)は、すべて睡眠不足による判断ミスから引き起こされたと結論付けられています」
日本でも、運転士居眠りによる事故がニュースで大きく取り上げられたことがありました。
「安全で安定した運転は乗務員の最大の使命です。そこで、平成11年から睡眠自己管理プログラムを導入し、自己管理能力と安全意識の向上に努めています」
人の命を預かっている運転手さんはもちろん、私たちも自身の睡眠をきちんと管理して目覚めの良い朝を迎えることは、生活の質を高めることにもつながります。
朝スッキリ目覚めるために、役立てて!
セミナー会場には、目覚めの良い朝にお役立ちのアイテムもディスプレイされていました。
大塚製薬「賢者の快眠 睡眠リズムサポート」7包入り¥1,280、30包入り¥4.980(税別、メーカー希望小売価格)
体内リズムを整える食品素材としてアスパラガス由来成分を配合。夕食〜就寝前の間に1スティックで、スッキリした目覚め感をサポート。
バスクリン「きき湯」〈医薬部外品〉オープン価格
炭酸ガスの発泡効果で、冷えた身体や疲れた身体を芯から温め、質の良い眠りをサポート。
今日を元気に過ごすためにも、まずは朝、気持ちよく起きることから! 下記の「目覚め方改革プロジェクト」サイトには、自分の睡眠習慣の傾向を把握するチェックシートなども用意されています。