2007年から持病の頸椎のヘルニアに悩まされ、2013年11月から4か月間の休養。
2016年には引退したつもりでいたという宮沢和史さんが、気力・体力を取り戻し、
5月22日には3年5カ月ぶりのニューアルバム『留まらざること 川の如く』を発表する。
再び歌い始めた今、どのように身体と向き合っているのでしょうか?
(歌手活動の無期限休止から復帰までの思いを語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/萩庭桂太 取材・文/本誌編集部
宮沢和史さん
Profile
みやざわ・かずふみ●1966年1月18日、山梨県生まれ。1986年にTHE BOOMを結成。原宿の歩行者天国でライブを重ね、1989年にデビュー。『星のラブレター』『島唄』『風になりたい』など多数のヒット曲と14枚のオリジナルアルバムを残し、2014年にTHE BOOMを解散。その一方、ソロ名義で4枚、多国籍バンドGANGA ZUMBAとして2枚、アルバムを発表している。現在、「『時を泳げ魚の如く』宮沢和史コンサート 平成30年~」を開催中。5月22日には3年5カ月ぶりのニューアルバム『留まらざること 川の如く』をリリース。https://www.miyazawa-kazufumi.jp/index.html
歩く、階段、ストレッチ。
結局、地味なことが一番効く。
2016年に事務所を解散し、今は自身でマネージメントをしているという宮沢さんは、この日も一人で電車に乗ってやってきた。
「できるだけ車は使わず電車に乗って、エスカレーターではなく階段を使い‥‥。地味なんですけど、それが一番効くんです。首の病気なんだけど、下半身を鍛えて基礎体力をつけ、全身のバランスを良くすることが大事なんだそうです」
手術はしなかったので、歌手活動をやめてからの日々は、ただ歩いたり泳いだりして過ごしていたという。
「目的がないと飽きちゃうので、桜を見に行ったり、図書館に行ったり、それまでは特に興味もなかった寺社仏閣を巡ってみたり。万歩計を買って、1日6時間歩いたこともあります。僕のように、精神的にも自分を追い込むタイプがなりやすい病気らしいのですが、2016年の休止以降は、最悪の発作みたいな状態には1度もなっていないです」
ジムへは行かず、もっぱら自宅でトレーニング派。
「本当はそのほうがいいんでしょうけど、恥ずかしくて、アドバイスをもらったり、人と一緒にやるのが無理ですね。
ダンベルや筋トレの器具なども自宅にあるのですが、器具を使うと危険性も伴うので、今はなるべく自重を生かして、“自分の体重を生かした筋トレ” みたいな本を買って、やったりしています。
筋肉に負荷をかけるにも、ダンベルよりチューブのほうがいいらしいです。男ってバカだから(笑)、ついモリモリいきたくなるんだけど、体を壊したりするんで、そういう意味でもチューブのほうが危険性はないみたいですよ。
バンドでバリバリやっていたころは、毎日1時間はトレーニングしてました。上半身を1日やって、1日休ませている間に下半身をやって、みたいな感じで。今は、何かあるときに合わせて、逆算してやるぐらい。
よく、まずはストレッチからですよって言われて、そんなこと分かってる分かってるって聞き流してたけど、やっぱりストレッチは大事ですね。寝る前にありとあらゆるところを伸ばして、全身の可動域を大きくすると、姿勢も良くなるし、首にもいいみたいです」
2018年の11月からスタートしているコンサートツアーは、最初に全日程を決めて効率的に回るのではなく、大都市中心でもなく、いい会場があればその都度追加し、歌いに行くというスタイル。ピアノとドラムを基本に、時々ギターが入ったりして、サポートメンバーも流動的。
「そろそろ歌いたいなって頃にライブがあるように組んでいるので、最近、歌がね、楽しく自由に、うまく歌えるようになってきたんですよ」
1度立ち止まったからこそ、見えてきた自分自身。無理をせず、身の丈に合った歩幅で未来に向かおうとする宮沢さんの、新しい歌をこれから先も聴いていけたら、と思う。
『留まらざること 川の如く』
5月22日に発売される、3年5カ月ぶりのソロアルバム。歌手活動休止中に、作家としてKinki Kidsやネーネーズに楽曲提供していた作品のセルフカバー3曲に、書き下ろしのオリジナル作品5曲の計8曲を収録。(2500円+税/よしもとミュージック)