舌回しエクササイズが流行るなどしてどうやら舌は、小顔効果やシワ消し効果があるのかもしれないと気づいた私たち。でも、実際のところどうなの!? 舌にそんなパワーがあるの!? 舌に詳しい宝田先生に聞いてきました!
全身とつながっているから
美容にも健康にも影響
「人間の体って、機能が低下するのは『使わないから』なんです。『もう使わなくていいんだよ~』と指令を出すから、年齢以上に衰えてしまうんですよ。舌はその代表例。マイエイジ世代では、鍛え直さなければならない人が多いと思います」
と、わかりやすい説明をしてくださるのは歯科医の宝田恭子先生。舌は小さな器官なので、あまり意識したことのない人が少なくありません。
「お餅が喉につかえて亡くなるお年寄りはあとを絶たないでしょう? あたかも事故のように扱われていますが、まさにその方は舌機能が衰えていたということ。舌は味を感じたり発音するのに使われるだけでなく、咀嚼(そしゃく)と嚥下(えんげ)のときに重要な役割を果たしています。舌の機能が低下していると、嚙む力も飲み込む力も弱くなり、食べ物が早く奥へ運ばれて落っこちてしまい、喉や食道につかえてしまう。
じっくり嚙まずに食べる習慣がある人や、柔らかいものを好んで食べる人、ハキハキ声を出して話すのが得意でない人はもちろん、姿勢がよくない人なども正しく舌を使えていないんです。今後、衰えるのが早いと自覚しましょう」(宝田先生・以下同)
そして、舌ヂカラの衰えは美容面にも影響を及ぼします。長年通っている患者さんの舌を見続けている宝田先生は、それをいち早く痛感し、自らも舌エクササイズを実践しています。だからいつまでも若いんですね?
「私は毎日20分はエクササイズを続けていますが、その大半は舌を使った運動です。1日サボったら顔にもてきめんに表れてしまう。
なにしろ舌は、顔や首などのシワ、たるみ、ほうれい線やフェイスラインの形、もっと言えば顔色や髪のツヤ、姿勢にだって関係します。それは、舌という器官がほとんど筋肉でできているうえに、体のさまざまなところ、ほぼ全身とつながっているからです。年齢にあまり関係なく、鍛えたら鍛えた分だけ強くなれる。患者さんを見ていても、70代80代になっても背筋がシャンと伸びていて、見た目が若い方は、歯というよりも舌が圧倒的に若いんですよ。舌が若さのバロメーターなんです」
次回は舌ヂカラを診断するチェック表をご紹介します。
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/渡辺真由美 イラスト/内藤しなこ 構成・原文/蓮見則子