いし こんにちは。ぐうたらライターのいしまるこです。
前回に続き、「肝臓年齢を若く保つ」特集ですよ。
今回は、知っているようで意外と知らない肝臓の働きについて、根来教授にわかりやすく解説していただきます。
根来 では、まず、下の図を見てください。
いし うわ〜。まるで木の根っこのように、各臓器から肝臓へと血管がつながっていますね〜。
根来 はい。肝臓には毎分1.5ℓの血液が流れ込んでいるんですよ。
いし そんなに大量の血液が!?
根来 その大部分を運んでいるのが「門脈」という血管です。
いし 肝臓を走る太い血管ですね。
根来 そうです。胃腸で消化吸収された栄養素は門脈から毛細血管を通じて
肝細胞に運ばれ、体にとって最適な形に加工・再合成された後、再び毛細血管を通じて「肝静脈」から心臓へ入り全身へと流れていきます。
いし ふんふん。
根来 そして肝臓自身のメンテナンスは、「肝動脈」が運んだ酸素と栄養素によって行われています。
いし なるほど。大量の血液にのって栄養素や酸素など、体に必要なさまざまな物質が肝臓に運ばれてくるわけですね。
てことは、やっぱり肝臓っていろいろ重要な働きをしているんでしょうね。
根来 そうなんです。人体の化学工場とも呼ばれる肝臓ファクトリーには、主に3つの働きがあります。
肝臓の3つの働きとは!? 次ページに続きます。
根来 ひとつめは「代謝」です。食べ物の多くはそのままでは吸収されないので、いったん消化管で消化・吸収された後、門脈を通って肝臓に届けられ、体の中で使われやすい状態に作り変えられます。
これが「代謝」です。
いし つまり、栄養を最適にリメイクするわけですね。
根来 はい。代謝によって最適化された栄養素は全身に送られ、生命活動を維持するためのエネルギーとなったり、各細胞の構成成分になったりと、重要な役割を果たします。
いし ふたつめは?
根来 不要なものを分解・無害化する「解毒」です。
肝臓には門脈を通して、アルコールや食品添加物、薬物、細菌なども入ってきます。肝臓はこれらを分解して無害化するのです。
たとえば、肝臓に入ってきたアルコールは酵素によって、いったんアセトアルデヒドという有害物質に変えられたあと、さらに酢酸に分解され、最終的には二酸化炭素と水に分解して、血液中に放出されます。
いし ひとくちに解毒といっても、複雑な工程があるんですね。
ではみっつめ、お願いします。
根来 脂肪の消化吸収に必要な「胆汁の合成」です。
いし 胆汁って肝臓でつくられていたんですね。胆のうでつくられているのかと思っていました。
根来 ああ、そのように勘違いされている人は多いですね。
胆のうは肝臓の右下にある小さな袋状の臓器で、肝臓でつくられた胆汁を一時的に預かって、濃縮する働きをしています。
いし なるほど〜。
根来 胆汁は肝臓で排出される老廃物を、十二指腸に送り出す働きもします。
老廃物の主成分は古くなった赤血球が破壊された時に生じる黄色い色素「ビリルビン」。ビリルビンがうまく排泄されず血液中にとどまってしまうと、顔が黄色くなってきます。
いし あっ、それってもしかして、黄疸ですか?
根来 その通り。
いし そういうことだったんですね〜。
根来 それではみなさん、今日も素敵な1日を!
取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン
(「肝臓年齢を若く保つ」は次回に続きます。お楽しみに!)