太りにくい油、ココナッツオイルの話
最近私のまわりにはココナッツオイルにはまる人が続出しています。
ミランダ・カーがココナッツオイルを愛用しているというのは有名な話だし、日本でもモデルさんなどをはじめ大人気のよう。
ただ、甘い香りのオイルだからお菓子作りにはいいけれど「お料理にはどうなの?」と思っていたのです。でも、使っている人に聞くと、「サラダや炒めものにもバンバン使うし、こぼれたらついでに肌にもすり込んじゃう」と、スキンケアオイルがわりに使う人もいるようです。
みんなが夢中になるからには理由があるだろうとは思いましたが、「油は油。カロリーは高いんだろうし、ダイエット中は控えたほうがやっぱりいいんでしょ」。こう考えて今までは料理に取り入れてはいなかったんです。
ところが……。私は時々料理教室を開いているのですが、ある月の料理教室の終わりに「次回取り上げてほしい食材や紹介してほしい料理はありますか」とご参加のみなさんに尋ねたところ、「ココナッツオイルの使い方を知りたい!」との声があがったのです。
そこで早速、ココナッツオイルについてあれこれ調べ始めたのですが……。どうやらこれがいいことずくめのオイルのよう。
まず、ココナッツオイルに多く含まれる“中鎖脂肪酸”、これは中性脂肪になりにくく、ダイエット中でも安心な“太りにくい油”だというのです。
油をとると、エネルギーとして燃焼されないぶんは中性脂肪として体に蓄積されるのが常識ですが、中鎖脂肪酸はふつうの植物油などに含まれる長鎖脂肪酸より分子が短いため、スムーズに肝臓に運ばれ、効率よく燃焼。美への意識が高いモデルさんやダイエット中の人がココナッツオイルを選ぶのには、こんなところに理由があるようです。
さらに酸化に強く、加熱する料理にも使えるのも魅力。エゴマ油や亜麻仁油など、体にいい油として話題のオイルは、残念ながら酸化に弱いため加熱ができないばかりか、保存も冷蔵庫で特別扱いしなくてはならないからちょっと管理がたいへん。
でもココナッツオイルなら炒めものや揚げものにもOK。保存も常温でかまわないので助かります。
さらに……。パッケージにも書いてありましたが、悪玉コレステロールを上昇させ、動脈硬化などをまねくトランス脂肪酸はゼロというのだからすばらしい!
冬の寒い時期はワックスのように白く固まっていますが、夏場ならサラサラでふつうのサラダ油とかわらず気軽に使えるのもいいですね。
教室でのリクエストがきっかけに常備素材の仲間入りをしたココナッツオイル、甘い香りを生かしてわが家ではサラダやマリネのオイルに使うことが多いですが、エスニック風の炒飯やタイカレー、タイ風焼きそばなどには独特の風味がよく合います。
バターがわりにパンにつけるという人も多いようですし、バター炒めの感覚でほうれん草を炒めたり、にんじんのグラッセ風に使ってもぴったりです。一口大に切ったにんじんと水、バター、砂糖、塩を入れて水分を飛ばしながら煮るのが定番の作り方ですが、わが家のココナッツ風味グラッセは、短冊に切ったにんじんと少量の水、そしてちょっと多いかなと思うくらいのココナッツオイル、ひとつまみの塩を鍋に入れ、中火で水分が飛ぶまで煮るだけです。
ちょっと多いくらいの量といわれてもわかりにくいでしょうが……。そうですね。小ぶりのにんじん1/2本で大さじ1~2くらいのココナッツオイルを使います。
バターで作るグラッセは砂糖で甘みをおぎないますが、ココナッツオイルで作れば甘い香りがくわわるから砂糖いらずでもおいしいですよ。
きのこ類をココナッツオイルでサーッと炒め、レモン果汁と塩で味をつける、ごく簡単なきのこマリネ風のおかずも大好きです。
いずれもココナッツオイルの香りを楽しむレシピですが、苦手でなければおしょうゆとの相性もぜひお試しを。
同じようにきのこを炒めるのも塩とレモンではなく、ココナッツオイルとしょうゆをあわせるとごはんによく合うおいしさです。
ある方は、肉じゃがでも和食でもなんでもココナッツオイルを使うそうですが……。じゃがいもの煮っ転がしなどは甘い風味がくわわって、いつもの煮っ転がしとは違うおいしさです。こちらもぜひお試しくださいね。
庄司いずみ
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