腰痛は自分で治す ①腰痛は医者には治せません。


腰痛の悩みを抱える40代女性編集者が、「腰痛予防」で知られる東京大学医学部附属病院リハビリテーション部 理学療法士 山口正貴先生を訪問。

そこで知らされた、腰痛の新事実とは?

 

 

 

腰痛界の新常識は、安静にせず自分で治すこと

 

・日本人の約8割は生涯のうち一度なる

・日本の有訴率(病気・ケガなどの自覚症状のこと)第1位

・症状の85パーセントは原因を特定できない

 

これはいったいなんの数字でしょう?

答えは「腰痛」に関する数字です。日本は世界に冠たる腰痛大国なのです。

患者数が多いということは当然、仕組みの解明も早く、研究も盛んということ。

腰痛の最新情報が更新されているのでは? と東京大学医学部附属病院リハビリテーション部の理学療法士 山口正貴先生にお話しをうかがってきました。

山口正貴 理学療法士

東京大学医学部付属病院リハビリテーション部理学療法士。
1980年生まれ。理学療法士として医療・予防業務に携わるかたわら、腰痛の研究を開始。16年の研究論文で日本理学療法士学会の第8回優秀論文表彰で優秀賞を受賞。メディア出演、書籍の執筆などでも活躍中。

 

「腰痛治療の常識も変わりました。かつては安静にしているものでしたが、この方法はかえって逆効果だということがわかっています」

山口先生自身は学生時代にぎっくり腰になり、性格が変わってしまうほどつらい目に遭ったことからリハビリテーションに興味を持ちいまに至る、という筋金入りの腰痛通。

そんな先生の考えの基本は

「腰痛は医者には治せません。自分で治すのです」ということ。

 

 

 

「非特異的腰痛」と「特異的腰痛」のちがい

 

そもそも腰痛の85%以上は「非特異的腰痛」というちょっとナゾめいた名前を持ち、画像データを撮ったところで原因が特定できないそうです。

特定できない理由は脊柱の複雑な構造ゆえ。合計26個の椎骨や椎間板、靭帯など多くの組織で構成されており、ある一か所の不具合は残りの25個でカバーするという素晴らしいシステム。逆にいえば、不具合に気づきにくい、見つけにくい。これらを「非特異的腰痛」と呼びます。

一方、ヘルニアやぎっくり腰などCTスキャンやMRIといった医療機器で画像を撮影し、腰痛の原因が突き止められる腰痛を「特異的腰痛」と呼ぶそうです。

 

 

日常動作のクセを治す・体を軟らかくする。2本柱が腰痛知らずの体をつくる

 

「腰痛の患者さんをマッサージすると、そのときは痛みが軽減するため『良かった!』と思うのですが、翌日になるとまた痛みが戻ってしまうのです。リハビリテーションに従事している一人として、その責任と力のなさを痛感しました」

そしてさらに研鑽を積んだ結果、

「腰痛のことを勉強すればするほど、経験を積めば積むほど、その原因や治療法もシンプルな考えにたどり着いたのです。

何度も再発する方も、朝だけ痛い方も、家事や仕事中に痛む方も原因はすべて同じで、その治療法も予防法も同じということです」。

 

先生! そ、それはいったい?

 

「それは、閾値(いきち)という痛みのラインを越えなければ良いのです。閾値とは、痛みを数値化した場合、痛みを感じ始める境界線のことで個人差があります。そのラインを超えれば痛みを感じ、超えなければ痛みを感じないというわけです。人間には本来、自分の力で自分の体を治す自然治癒力という能力が備わっています。つまり、通常腰痛は自然に治るものなのです。

腰痛が長引くということは、自然治癒力を邪魔している何かがあるということです。その何かとは何でしょうか。それは自分自身が行う日常生活のちょっとした行為や体の硬さです」

たとえば右肩にバッグをかける、テレビに対して座る位置などなどひとつひとつは取るに足らない日常動作が、長い年月に積み重なり腰痛を引き起こす原因のひとつに。

ということは、自然治癒力のスピードが邪魔するスピードよりも速ければいいのですよね? どうすればいいんでしょうか?

 

「答えは簡単です。その邪魔している行為を止めて、柔軟な体さえつくってしまえば、自然治癒力により腰痛は勝手に改善するはずです」。

 

 

 

自分で柔軟な体をつくる方法とは?

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