羽田美智子さんが気になる〝もの〞〝こと〞からその道の達人にコツを教わるこの連載。
今回のテーマは「着物」です。
着物姿を美しく保つには、洋服で暮らしていると気づかない美と健康にまつわるいくつかのポイントがあります。
ドラマの共演をきっかけに、羽田さんがその"小股の切れ上がったいい女"っぷりにぞっこんなのが、八王子花柳界を牽引するめぐみさん。
一日のほとんどを和装で過ごす彼女に、着物暮らしと体の使い方の関係を指南いただきました。
羽田美智子
着物に造詣が深い羽田さんがひと目で気に入ったのが、この白大島。
愛らしいうさぎが描かれた名古屋帯も淡いクリーム色で、春らしく品のよい組み合わせ。
profile
1968年生まれ。女優として映画、ドラマ、CM、ラジオを中心に活躍。
テレビ朝日「警視庁捜査一課9係 season11」に出演が決まっている。
TOKYO FM「ゆうちょ LETTER for LINKS」(毎週日曜15:00~15:30)が好評オンエア中。
著書に『私のみつけた京都あるき』『私のしあわせ京都あるき』(ともに集英社)がある。
羽田美智子オフィシャルブログ http://ameblo.jp/hada-michiko/
先人の知恵が詰まった着物の魅力を再発見!
〔写真左〕
めぐみさん
profile
1962年生まれ。花柳界とは無縁の環境で育ちながらも、約31年前に着物が着られる仕事だからとこの世界に飛び込む。
置屋「ゆき乃惠」と食事処「割烹 すゞ香」の女将を務めながらお座敷にも上がり、地域の人たちとの交流も欠かさない
2015年12月に放映され好評を博したNHK BSプレミアムドラマ「東京ウエストサイド物語」で、芸者見習いの主婦役を演じる羽田さんに稽古をつけ、共演もしためぐみさん。
ドラマの舞台となった東京・八王子で置屋を営み、本人も芸者として第一線で活躍中。八王子花柳界を牽引する中心人物でもあり、各界の人々から熱い視線を一身に集める和服美人です。
羽田 お久しぶりです、お母さん!
めぐみ 羽田さんは初めてお会いしたときからそう呼んでくれて私の緊張感を解きほぐしてくれた、ものすごく気働きができる方。だから初対面で“あなたは芸者向きよ”なんてことも、ついつい口をついて出てしまい…(笑)。
羽田 私、うれしくて、それもいいなって思ったんですよ(笑)。めぐみさんに弟子入りして“小股が切れ上がったいい女”っぷりを享受したい、と。
めぐみ 私にとって毎日を着物で過ごすことも、お稽古で大きな声を出すこともすべて日常。羽田さんからどれも新鮮に感じるとおっしゃっていただいたのが印象的でしたね。
羽田 お稽古でお会いしたのが夏でしたが、紺地の浴衣に白帯で涼しげな日もあれば、大きな花柄に鮮やかな色の帯でハッとさせられたり…。とにかく粋な着物姿ってこういうことなんだ!と感激したのを今でも覚えています。
めぐみ いえいえ、羽田さんが思うほど多くの着物を持っているわけではないんです。でも何十年も着物で生活していると、洋装はお腹がスースーしてしまってダメね。
羽田 着物は、女性の大敵である冷えも防ぎますよね。めぐみさんの場合、着こなしはもちろんですが、立っても座っても歩いても、とにかく姿勢がいいの。どの角度から見ても背中が真っすぐで。着物だけでなく洋服姿でも姿勢のよさはその人の美しさを際立てるし、健康に欠かせません。
めぐみ 若い頃は「着物が似合わない」って置屋のお母さんに毎日言われていました。おまけにものすごくいかり肩だったの。お稽古のときには「肩、肩」って言われ通しで。そのときからどんなときも頭のてっぺんを糸で吊られている感覚を意識しながら、肩を下へと下げるように努力したわね。
羽田 えっ⁉ 意識と努力で体型も変わるんですね。驚きです!
めぐみ 着物を着るという意識と自覚が物腰や心持ち、体型までも変えるきっかけになるのかもしれませんね。
羽田 めぐみさんの立ち居振る舞いにはいつも見とれてしまいます。憧れの“小股の切れ上がったいい女”とは、足首の腱がキュッと上がっている人のことで、しなやかで健やかな体の持ち主。心身ともに健康で、よく気がつきよく働く人のことを言うんですって。まさに、めぐみさんそのものですよね。今日は長年の着物暮らしで身につけた美と健康のコツを、しっかりと教えていただきたいと思います。
次回から、めぐみさんに「着物暮らしの美と健康のコツ」をうかがっていきます!
お楽しみに。
花柳界の風情を楽しみながら季節の料理に舌鼓
芸者の待合を改装した食事処。落ち着いた店内には古い家具が並び、古きよき時代の雰囲気の中、コースまたは単品料理が楽しめます
割烹 すゞ香
DATA
東京都八王子市中町10-9
☎042-622-1261
営業時間 18:00~22:30
定休日 日曜・第3水曜
カウンターでのおまかせコース¥4,000~、部屋でのコース料理¥8,000~
撮影/板野賢治 ヘア&メイク/稲垣亮弐(maroonbrand)
スタイリスト/田内玲子 着付け/江木良彦 取材・原文/向井真樹