女性の脂肪といえばもれなく「皮下脂肪」だと思っている人、いませんか? OurAge世代のお腹で着目すべきは、実は内臓脂肪。年齢的にお腹が出るリスクが高まったところに、内臓脂肪のつきやすい生活習慣を続けていては、ぽっこりお腹は永遠にへこみません!
お話を伺ったのは
栗原 毅さん
Takeshi Kurihara
1951年生まれ。栗原クリニック東京・日本橋院長。医学博士、日本肝臓学会専門医。治療だけでなく病気予防にも力を注ぎ、わかりやすい生活習慣指導に定評あり。肝臓専門医の視点を生かした消化器疾患、糖尿病、高脂血症、脂肪肝、内臓脂肪、肥満などに関する著書多数。クリニックは連日、健康を気遣う中高年で満員に。
ホームページはコチラから
更年期以降にお腹につくのは皮下脂肪より内臓脂肪
「女性が中高年になってお腹が出るのは当然といえば当然。若いうちは女性ホルモンの影響で内臓脂肪より皮下脂肪がつきやすいのですが、更年期以降は女性ホルモンが減少し、内臓脂肪が男性並みにつきやすくなります。
内臓脂肪は太っていてもやせていてもつきますから、やせた人でもお腹だけぽっこり出てしまう。また、骨盤底筋が衰えて内臓下垂したり、年々筋肉が減ったり…。この世代は、ただでさえお腹が出やすいんです」
大きな原因はこれ! 女性ホルモン&基礎代謝の低下
女性ホルモン(エストロゲン)の影響で、女性は皮下脂肪がつきやすい一方、内臓脂肪がつきにくいもの。でも更年期には女性ホルモンが急激に減り、その恩恵もなくなります。年齢とともに基礎代謝量も下がるので、同じ生活をしていては脂肪が増えるのも当たり前なのです。
アワエイジ世代のぽっこりお腹について教えてくれるのは、肥満や脂肪に関する著書を多数出版している栗原毅先生。
「実は、日本人女性は世界一筋肉が少ないということが、日本肥満学会で問題になっているんです。筋肉はエネルギーを燃やしてくれるわけですが、その筋肉の材料であるタンパク質自体が足りていない。
それに加え、食事でとる糖質の量が多すぎるために中性脂肪が増え、肝臓に脂肪がたまって脂肪肝になり、これが内臓脂肪を増やしてしまう原因に。
糖質過多、タンパク質不足、運動不足、これらを解消して、まず脂肪肝を治すことが健康的にやせること、お腹をへこますことに確実につながります。つまり、メタボな生活習慣をやめることが第一です」
内臓脂肪がたまる大きな原因は、糖質の多すぎる食事!
女性ホルモンの減少により、ぽっこりお腹そのものといってもいい内臓脂肪がたまるリスクは高まります。でも、直接この内臓脂肪を増やすのは、ほとんどが糖質のとりすぎと運動不足が原因。
日本人の食生活はもともと糖質が多いので、若いときのままの食生活を続けていると、年齢を重ねるごとに内臓脂肪が増えてしまうのです。
ぽっこりお腹の要因はこんなにある!
ぽっこりお腹の要因はさまざま。下のリストで思い当たることがないか、ぜひチェックしてみて。
- ●女性ホルモンの低下
- ●代謝の低下
- ●筋肉量の減少
- ●筋肉の衰え
- ●筋膜の癒着
- ●間違った呼吸の習慣
- ●反り腰・猫背などの姿勢
- ●皮下脂肪の増加
- ●内臓脂肪の増加
- ●体幹が弱い
- ●内臓下垂(胃や腸が下がる)
- ●たるみ
- ●血流の低下
- ●骨盤底筋の衰え・機能低下
- ●骨盤の歪み
- ●自律神経の乱れ
- ●睡眠の質の低下
- ●子宮筋腫
- ●便秘
- ●ガスだまり
イラスト/かくたりかこ グラフ作成/ビーワークス 構成・原文/蓮見則子