テレワークによる運動不足や生活の変化によるストレスで、便秘になる人が増えています。「たかが便秘」と思いがちですが、お腹がぽっこりするだけでなく、体にさまざまな影響を及ぼすことがわかってきています。
「大腸劣化」対策委員会が、便秘の自覚症状があり、排便が週3回未満の30~50代男女300名にWEB調査をしたところ、「便秘による影響」について驚きの結果が明らかに!
【1】仕事のパフォーマンスが落ちる
調査によると、便秘がある人のうち、「仕事のパフォーマンス」が低下していると自覚している人が全体の約6割。
さらに、便秘をしていないときを100%とすると、便秘時のパフォーマンスは平均して約60%まで低下しているという自覚があることがわかりました。
Q便秘による仕事のパフォーマンス低下はありますか?
Q便秘がないときを100%とすると、便秘時のパフォーマンスはどれくらいですか?
【2】全身にさまざまな不調が表れる
便秘になると、お腹が張る、おならの回数が増えるといった直接的な問題が生じますが、便秘による不調はそれだけではありません。
「食欲不振」や「肌の不調」といったよくある不調をはじめ、「疲れやすい」「眠りが浅い」「食欲がなくなる」など生活全般に及ぶものや、「肩こり」「頭痛」など自律神経の失調に関係するものなど、回答者が感じる症状はさまざま。その不調の数は、1人あたり平均7.9個、最大で15個の不調を感じる人もいました。
Q便秘になるとどこに不調を感じますか?
Q便秘による不調は何個くらいありますか?
【3】メンタル面の状態も悪くなる
さらに体の不調だけでなく、心の面でもコンディションが悪化しがち。今回の調査では、メンタル面のコンディションは平均していつもの半分くらいにまで落ち込んでしまうという結果に。
Q便秘がないときを100%とすると、便秘時のメンタル面のコンディションはどれくらいですか?
便秘はいつものことだし、と放っておくと、こんなにたくさんの不調につながってしまうなんて! そして、便秘の人にはさらに残念な研究結果が…。
便秘がある人は、脳が一生懸命働いても空回りに⁉
脳科学から見て「便秘と生産性」はどう関連するのか? 杏林大学名誉教授で精神科医の古賀良彦先生の監修のもと、その検証実験を行った結果、なんと「便秘がある人は頑張っても結果が出にくい」ということがわかったのです!
◆光トポグラフィ(NIRS)装置による前頭葉機能測定の結果
◆課題遂行の成績(パフォーマンス)
脳の前頭葉の活動の状態を反映する光トポグラフィ画像(上の画像)を見ると、計算や記憶の課題をしているとき、便秘がある人は快便な人と比べて前頭葉の機能が過度に高まっている(=濃い赤の部分が多い)ことがわかります。
その一方で、グラフが示すように、課題の成績はどちらも快便群に比べて低いという結果に。これは一生懸命働いているものの「空回り」してしまっている状態ということ! 逆に、快便の人は省エネで高いパフォーマンスが出せていると言えます。
2019年には、「慢性便秘症の人は年間122万円の労働生産性の損失がある」という研究結果も報告※されています。便秘があると、健康面だけでなく仕事のパフォーマンスにも影響があるとは、知らなかった人も多いはず。
便秘解消には、ビフィズス菌や酪酸菌などの善玉菌や、腸内でそのエサとなる水溶性食物繊維やオリゴ糖、ラクチュロース(牛乳に含まれるミルクオリゴ糖)を積極的に摂るといった、日ごろからの大腸ケアが重要です。
頑張っているのにいまいち仕事がはかどらない…という人は、まず便秘解消に取り組んでみては?
※Toshihiko Tomita et al. The Study on Health-Related Quality of Life and Work Productivity for Chronic Constipation: An Observational Study Based on a Patient Database National Health and Wellness Survey, Gastroenterology, 2019, 156(6):S-599.
◆資料提供/「大腸劣化」対策委員会
構成・文/倉澤真由美