認知症の人にとっても、今はそうでない人にとっても、ずっと生きやすい世の中へ。偏見を無くし、希望と尊厳を保つために政策提言などを行う、日本初の認知症の当事者たちによる組織をご紹介します。
お話を伺ったのは
藤田和子さん
Kazuko Fujita
1961年、鳥取市生まれ。認知症の義母を9年間介護。看護師として勤務中の2007年に若年性アルツハイマー病と診断される。当事者の会を立ち上げ、認知症の人だけでなく、誰もが生きやすい社会を目指し活動中。一般社団法人日本認知症本人ワーキンググループ代表理事。3女の母。著書に『認知症になってもだいじょうぶ! そんな社会を創っていこうよ』(徳間書店)
【藤田和子さんインタビュー】
連載第2回 45歳で若年性アルツハイマー病と診断されて14年。元気でおしゃれな還暦を目指しています!
認知症になっても希望と尊厳を保つために
「認知症への偏見をなくしたい」と各地で頑張っていた当事者たちが集結し、2014年国内初の当事者組織として発足。2017年に、「一般社団法人 日本認知症本人ワーキンググループ(JDWG)」として法人化しました。政策提言などをする「メンバー」は、認知症の人限定。メンバーとともに活動する「パートナー」には、本人の地元友人やケア関係者をメインに、医師や行政担当者も。
2015年には代表の藤田和子さんらが安倍晋三首相(当時)と面会。「当事者抜きで対策を進めないで」という思いは、国の認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)に反映されました。現在は、「認知症とともに生きる希望宣言」(下)を各地の本人に届ける「希望のリレー」や、認知症の人が自らの体験や希望を語り合う「本人ミーティング」など、全国で“本人視点”の活動を地域の人たちと一緒に進めています。
「発信を続けていく中でよき支援者や仲間に巡り合い、以前と変わらぬ生活を支えてもらっています。認知症を周囲に隠さず、安心して話し合うことができる社会にしていくために、勇気を出して声を上げている本人たちの言葉に、ぜひ耳を傾けてみてください」(藤田和子さん)
認知症とともに生きる希望宣言
- ❶自分自身がとらわれている常識の殻を破り、前を向いて生きていきます。
- ❷自分の力を活かして、大切にしたい暮らしを続け、社会の一員として、楽しみながらチャレンジしていきます。
- ❸私たち本人同士が、出会い、つながり、生きる力をわき立たせ、元気に暮らしていきます。
- ❹自分の思いや希望を伝えながら、味方になってくれる人たちを、身近なまちで見つけ、一緒に歩んでいきます。
- ❺認知症とともに生きている体験や工夫を活かし、暮らしやすいわがまちを、一緒につくっていきます。
2018年11月、厚生労働省内で記者会見を行い「認知症とともに生きる希望宣言」を表明。「多くの人に一緒に宣言をしてほしい」と藤田和子さん
メンバーらの生活の知恵と工夫が詰まった『本人にとってのよりよい暮らしガイド 一足先に認知症になった私たちからあなたへ』。ホームページからダウンロードできます。
取材・原文/石丸久美子