最近、人との会話が聞こえにくい。気づくとテレビの音量を上げている―。もしかしたらそれは「難聴」のサインかもしれません。40歳を過ぎたら、難聴は他人事ではないといわれています。「聞こえ」の仕組みと耳の不調のこと、今から知って、難聴にならない生活を。
お話を伺ったのは
中川雅文さん
Masafumi Nakagawa
1986年、順天堂大学卒業。医学博士。日本耳鼻咽喉科学会認定専門医。国際医療福祉大学医学部教授。専門は耳鳴り、難聴、補聴器。著書に『「聞こえにくい」がなおる耳トレ』(大和書房)、『耳の聞こえがよくなるトレーニング』(PHP研究所)など
あなたは「かくれ難聴」ではありませんか?
「近頃、健康診断の聴力検査では引っかからない“かくれ難聴”が増えています。実に7〜8割の人が、すでにかくれ難聴であったり、そのリスクに瀕していると思われます」と言うのは、国際医療福祉大学医学部耳鼻咽喉科教授の中川雅文先生です。
加えて、女性ホルモンの状態が不安定になりがちなアワエイジ世代の女性は、難聴の自覚に先行するように耳鳴りや音過敏の症状に見舞われることも。また、時には肩こりの痛みが耳鳴りに化けることもあるそう。
「85歳以上のほぼ全員が難聴になります。ということは、ほぼすべての人がその10~数十年前から難聴を招く生活を送っていたということです。気になる症状がある人は、早めに耳鼻咽喉科で検査を受けてください」
「聞こえ方」セルフチェック
- 1. 会話中、相手の話を聞き返すことがある
- 2. 会話が聞き取れず、相づちをあいまいに打つことがある
- 3. ささやき声や小声が聞き取りにくい
- 4. テレビやラジオの音量が大きいと注意されたことがある
- 5. 騒がしい場所だと相手の声が聞き取りづらい
- 6. 電車の中でスマホで音楽を聴いている
- 7. 大音量で音楽を聴くのが好き(好きだった)
- 8. ほとんど毎日ドライヤーを使っている
- 9. タバコを吸っている
ひとつでも当てはまるものがあれば、聞こえのレベルが落ちている可能性があります。生活習慣を見直して、耳を鍛えるトレーニングを始めましょう。
次回は、【音が聞こえる仕組みって?】聞こえの仕組みをご紹介します。
イラスト/いいあい 取材・原文/上田恵子