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めまいが女性に多い理由と3つの症状 

めまいの症状を訴えている人は、50歳頃から増え、65歳以上で31.3%にも。そのうち、女性は男性の約1.7倍多い現状です(2019年国民生活基礎調査 厚生労働省調べ)。どうして女性に多いのでしょうか? 全国から患者が集まる、めまい治療の名医・新井基洋先生に伺いました。

【教えていただいた方】

新井基洋
新井基洋さん
耳鼻咽喉科専門医
公式サイトを見る

1964年生まれ。横浜市立みなと赤十字病院 めまい・平衡神経科部長。日本耳鼻咽喉科学会耳鼻咽喉科専門医、日本めまい平衡医学会専門会員・代議員。北里大学医学部卒業後、国立相模原病院、北里大学耳鼻咽喉科を経て現職。『全国から患者が集まる耳鼻科医の めまい・ふらつきの治し方』(KADOKAWA)など著書多数。

 

急に立ったときなどに起こる「立ちくらみ」は、誰でも一度は経験したことがあるものです。一方、歩けなくなったり立ち上がれない、中には嘔吐するなど、「めまいの発作」に苦しんでいるケースもあります。その症状は、数分で解消することもあれば、何日も続く場合も。こうしたひどい状態が常態化すると、症状が出るのが怖くなり、一人で外出できなくなって、引きこもるなど、普通の生活に支障が出ることもあります。

 

中には「めまいくらいで仕事を休むなんて…」「ただの年のせいでしょう」などという、心ない言葉を受けるなど、周囲から理解が得られないうえに、なかなか治らないことに苦しんでいる人も少なくありません。

 

「めまい」は女性ホルモンが関係する場合もあります

 

そんな「めまい」の発症率は男性よりも女性のほうが多いのですが、その理由はなんなのでしょうか? そのひとつに、女性ホルモンの影響が考えられると新井基洋先生。

 

「女性ホルモンは、若いうちは約1ヵ月周期で分泌が増減して月経が起こります。更年期に差しかかると徐々にその分泌は減少し、やがてなくなります。めまいの症状と、こうした女性ホルモンの影響による自律神経との関連が報告されています。それにより、特に更年期頃から、めまいを訴える人が増えてきます」

 

元々、女性ホルモンが少なく、あまり増減することがない男性は、その影響を受けにくく、結果的にめまいの症状は女性に多いというのです。

 

めまい イメージイラスト

 

「また、女性ホルモンが減少すると、骨密度が低下します。すると同じカルシウムの集積体の耳石(じせき/耳の中にある、重力や体の方向を感知する役割を果たすカルシウムの小さな粒)が剥がれやすくなります。耳石が剥がれて三半規管の中に入り込むと『良性発作性頭位めまい症』という、めまいの原因になります。事実、骨密度が低い女性は、良性発作性頭位めまい症を再発するケースが多いという報告があります。
もうひとつ…ちょうど50歳頃から、平衡感覚を司る小脳や内耳などの加齢変化に伴う機能低下も始まります。それらのタイミングが更年期と合致していることも、更年期頃の女性にめまい症状が多くなる原因と考えられます」

 

ストレスをため込んでいる人は発症しやすい!

 

女性ホルモン以外に、めまいを発症しやすい人の傾向はあるのでしょうか?

 

「それはストレスをためやすい人です。特に女性は、男性よりも情緒が豊かなので、その分、不安を感じたり、うつになりやすい傾向があります。しかも、現代は女性も仕事を持つことが一般的。仕事に加え、家事も育児も家族の世話も、結局のところ女性が引き受けているケースが少なくありません。さらにストレス自体の内容も多様化しています。こうした社会的な背景も、ストレスが関係するめまいが男性よりも女性に多いことの一因かもしれませんね」

 

めまいの症状には大きく3種類あります

 

「めまい」とひと言で言っても、大きく3種類の症状があると知っていましたか?

 

① グルグル回る「回転性のめまい」

その名のとおり、視界がグルグル回っているように感じます。内耳にある三半規管の不調であることが多く、左右のどちらの耳が悪いかで、回転する方向が違います。発作は数分でおさまる場合もあれば、数時間続くこともあり、吐き気や嘔吐を伴うことも大きな特徴です。

 

症状

●自分自身が回っているように感じる
●自分の周囲が回っているように感じる
●周囲の景色が左右に流れていくように見える
●周囲の景色が上下左右めちゃくちゃに動いているように見える

 

代表的な疾患

良性発作性頭位めまい症(BPPV)、ラムゼイ・ハント症候群、めまいを伴う突発性難聴、メニエール病、片頭痛性めまい など。

 

② フワフワ・フラフラ「浮動性のめまい」

地に足がつかない、浮いているような状態で、精神的な不安や不快感を伴います。回転性に比べると、症状がゆるやかですが、長期化しがちです。

 

症状

●フワフワと浮いているような感覚
●ベッドのマットレスの上で歩いているような感覚
●地に足がついていないような感覚
●頭がフワーッとして自分の頭ではないような感覚

 

代表的な疾患

持続性知覚性姿勢誘発めまい症(PPPD)、加齢性めまい、高齢者の平衡障害、心因性めまい、各種めまいが伴ううつ など。

 

③ ユラユラ揺れる「不安定性のめまい」

頭や体が不安定で、足元が定まらずにふらついたり、倒れたりします。原因不明とされることが多いのがこのタイプ。耳の不調のほかに、加齢などによる筋力やバランス感覚の低下も考えられます。

 

症状

●体や足元が前後左右に揺れる、ふらつく
●不安定で人や物によくぶつかる

 

代表的な疾患

持続性知覚性姿勢誘発めまい症(PPPD)、ラムゼイ・ハント症候群、加齢性めまい、高齢者の平衡障害 など。

 

ほかに、「立ちくらみ」は若い人の脳貧血が主な原因。高齢者の場合は脳血流低下や脳の疾患の可能性もあります。

 

あなたは、どのタイプでしたか?

 

 

イラスト/内藤しなこ 取材・文/山村浩子

 

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