洗って落ちやすい皮膚表面から発生する皮膚ガスとは異なり、血液中から発生するにおいは洗っても落ちにくく、やっかいです。例えばストレスによって増える「疲労臭」、原因を知っていますか?
疲労臭が出やすい5つの原因
●精神的ストレス
物理的なストレスより、メンタルストレスによってアンモニアが放散される
●筋肉痛
強度の高い運動により、筋肉疲労が起こり、血液中のアンモニア濃度が上昇
●腸内環境の悪化
腸内環境が悪くなるにつれ、腸内でアンモニアが過剰に発生
●肝機能の低下
アンモニアを尿素に変える機能が落ち、処理しきれないアンモニアが血液に残留
●タンパク質のとりすぎ
タンパク質はアンモニアの原料となるため、多量に摂取するとアンモニアも量産される
心理的ストレスの伴う業務を行うと、作業が進むにつれて、交感神経指標の増加が見られ、皮膚アンモニア量が増加
日常的なストレスで増えるアンモニアのような刺激臭
「疲労臭」と呼ばれるのは、ストレスにより皮膚から染み出てくるにおい。ツンとしたアンモニア臭に近いとか!
「アンモニアは食べ物を消化したときに発生し、尿として排出されるもの。運動などで筋肉を使うと、血液中のアンモニア濃度が上がることはわかっていました。それが精神的ストレスによってもアンモニアを分解する力が弱まり、血管から皮膚ガスとして放散されることが私たちの研究で明らかになってきたのです。それが疲労臭です。
疲労臭は皮膚表面から発生するわけではないので、加齢臭などのように皮膚を洗っても落ちません。ストレスは誰でも日常的に受けるものなので、減らすためには、体の中からケアすることが必要です。最近の研究で、腸内のビフィズス菌を増やす、つまり腸内環境を改善することにより、疲労臭が軽減できる可能性が見えてきました」(関根嘉香先生)
疲労臭
対策のカギはビフィズス菌
疲労臭の元は、血液中からにじみ出る皮膚ガス「アンモニア」。誰にでも覚えのある尿のツンとしたようなにおいです。冒頭で紹介したように、もともと増えやすい原因はありますが、メンタルストレスを受けると急増。日々受け続けるストレスを軽減するよりも、腸活をするほうが近道です。
●便中ビフィズス菌と疲労臭の放出量の関係性
ビフィズス菌のエサとなるラクチュロースを摂取し、大腸内のビフィズス菌が多いほど、皮膚からのアンモニア放散量(疲労臭)が少ない傾向に
●疲労臭を減らすためにできる腸活
- ・ ビフィズス菌入りのヨーグルトをとる
- ・ ビフィズス菌サプリメントをとる
- ・ ビフィズス菌を増やすオリゴ糖をとる
- ・ 食物繊維を含む野菜をよく食べる
- ・ 納豆、ぬか漬けなど発酵食品をとる
- ・ 適度な運動(ストレッチなど)をする
- ・ 十分な睡眠をとる
教えていただいたのは
1966年生まれ。専門は環境化学、環境鑑識学。皮膚ガスと健康状態の関連を研究、体のにおいで健康診断するのが目標。においのエキスパートとして、TVに出演するなどメディアでも活躍
イラスト/カケハタリョウ 構成・原文/蓮見則子