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横森理香の更年期チャレンジ! 「コーネンキなんてこわくない」第1回「更年期がやって来た!」

横森理香

横森理香

作家・エッセイスト。1963年生まれ。多摩美術大学卒。 現代女性をリアルに描いた小説と、女性を応援するエッセイに定評があり、近著『40代 大人女子のためのお年頃読本』がベストセラーとなる。代表作『ぼぎちんバブル純愛物語』は文化庁の主宰する日本文学輸出プロジェクトに選出され、アメリカ、イギリス、ドイツ、アラブ諸国で翻訳出版されている。 最新刊は『コーネンキなんてこわくない』。 また、「ベリーダンス健康法」の講師としても活躍。 主催するコミュニティサロン「シークレットロータス」でレッスンを行う。

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ただいま連載第1回、2回、3回、4回をOurAgeでお読みいただけます。

 

①「更年期がやって来た!」

 

 

更年期症状の典型的なものとして、ホットフラッシュなるものがあるとは知っていた。

 

季節を問わず、TPO問わず、汗がドワっと出るというアレ。

 

「会議中に出るとホントに困るんだよね~」 とか、

 

「みんなが寒がってる季節に、一人だけ大汗かいてて恥ずかしい」 とか、

 

先輩諸氏の話は聞いていた。が、私には関係ないものとタカをくくっていた。

 

しかし・・・。

 

長年の筋腫持ちで月経過多、四十代後半からは過長月経に悩まされ、去年は生理時に卵巣嚢腫が二度破裂、七月に右卵巣摘出手術を受けた。内膜症による、チョコレート嚢腫というものだった。

 

手術前にリュープリンという、女性ホルモンを止める注射を一カ月に一本、計四回打って、生理が止まり、疑似閉経を体験した。その際、

 

「ん?  これは?」

 

というほどの汗が出た。一日七回ぐらい、無差別なタイミングで襲ってくる。ひどい肩こり、手足のこわばり、ついには右手の小指が痺れるという症状まで出て来た。また卵巣が破裂するのは怖すぎるし、手術までの我慢と自分に言い聞かせ、やり過ごした。

 

手術が終わり、一カ月後、血液検査をした。その時は、女性ホルモン値も低く、まんまとこのまま閉経か、というところまで行った。   ところが、三カ月後定期検診に行くと、また女性ホルモン値は上がってしまっていた。

 

「う~ん、どうやら前回の検査は、まだリュープリンの効果が残っていたようです」

 

担当のイケメンドクターは言った。

 

普通なら喜ばしいことだが、また生理があるということは、筋腫も大きくなるだろうし、一個残っている卵巣の腫れも心配、内膜症の症状だって出て来るかも知れない。痛しかゆしっ。

 

「またリュープリンですか?」

 

私は戦々恐々とした。あの副作用には、もう耐えられない気がする。

 

「はい。生理があるということは、また同じような症状が出てくる可能性がありますから。ご希望なら、再度手術をして全摘、という手もあります」

 

「いや~、それはさすがに」

 

年齢的に、もうすぐ閉経だろうから全摘はしないでもよろしい、という、教授先生の判断で、腹腔鏡手術による右卵巣だけ摘出手術を選択したのだ。

 

あ、ちなみに、イケメン先生は准教授ね。

 

「では、次の生理が来たら、すぐ来てください。リュープリンを打ちます」

 

「げっ」

 

更年期御用達。我が家の癒し系猫・ミルクちゃんです。

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そして一週間後、まんまと生理がやって来た。四カ月ぶりだったからか、それはもう派手に。二日目の夜、ベッドは殺人現場か? と思うぐらいに血が溢れ、夜中に何度も、血で汚れた寝具をアルカリウォッシュに漬け、着替えた。

 

「いやなんですけど、もう仕方がないです」

 

ぶつくさ言いながら、私はまたお注射をしてもらった。そして、その副作用に悩んだ。人によっては、ひどい頭痛に悩まされるという。私はまた、ひどい肩こりと小指の痺れが気になった。

 

なんだかこのまま、リュープリンを打ち続けたら、人間変わっちゃいそうな気がした。自然に女性ホルモンが出なくなる更年期より、人工的なだけに症状がキッツイ気がする。

 

私は、有名教授先生とイケメン准教授のいる大学病院から、懐かしい爺ちゃん先生のいる、娘を産んだクリニックに転院した。   爺ちゃん先生は内診のあと、

 

「ついでに全部取っちゃってもらえばよかったのに~。ものはついでだよ」

 

と言った。

 

「でも、年齢的に見てそろそろ閉経だから、治療はしなくていいよ~」

 

リュープリンも必要ないさ~、と言ってくれたのだ。うっしっし。

 

 

その後、四カ月生理はなかった。

 

爺ちゃん先生の言う通り、そろそろ閉経かと思いきや、三月にまたドーンと大量の生理がやって来た。これがまた過長月経で、一カ月も続いたのだ。

 

その長い生理が終わった頃、今度はナチュラルな、ホットフラッシュがやって来た。リュープリンの副作用は、薬が切れた時点でなくなっていたが、もっとひどい汗っかきと相成ったのである。   季節は夏に向かっていた。

 

ホットフラッシュの必需品。可愛い汗拭きタオルハンカチ各種・団扇・扇子。

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ひどい肩こりと、汗で寝苦しい、というのも体験した。夜中に二度も、大汗かいて、パンツまで全とっかえするハメになったのである。 生まれて初めて、涼感寝具や、涼感パジャマのありがたみも知った。

 

ほてる季節に。涼感シーツと枕カバー、アイスケット、蒸れない フンドシパンツ!

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更年期症状があんまりひどいので、試行錯誤しながら色々な対策をしてみた。 一カ月ぐらいすると、ひどい肩こりがなくなって来て、ホットフラッシュも和らいできた。   しかし、そのためか八月にまた、ドーンと大量出血の生理が来てしまったのである。

 

これがまた、四十日もだらだら続いたのだ。私は悩んでいた。爺ちゃん先生はなんにも処方してくれないし、自己流で女性ホルモン様のサプリを摂ると、また生理が大量&過長にやってきてしまう。   どうすりゃいいんだ、この私。

 

何かこう、今の私にピタッとくる診断と処方をしてくれる先生はいないものか。「更年期外来」とか、行ったほうがいいのかもしれない。それも、やっぱり同年代の、女性の先生がいい。   男なんて、男なんてー!    爺ちゃん先生も教授先生も、イケメンドクターも頼りになりゃしない!

 

そんなとき、「My Age」でカリスマ女医70数人を束ねているという編集者Tが、

 

「いい先生、紹介しますよ~」

 

と声をかけて来た。   あ、怪しいっ。

 

 

・・・・・・第2回に続く・・・・・

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