誰にも言えなかった、聞けなかったフェムゾーンの悩みに、医学博士の喜田直江先生が答えます!
● お悩み
以前に比べて、フェムゾーンの乾燥が気になります。ヒリヒリ感などの違和感を覚えることが多く、下着選びにも悩んでしまいます。何が原因でしょうか?(52歳)
● 先生の回答
更年期は女性ホルモンが減少します。それに伴って、乾燥が起こり、のち腟萎縮に。フェムゾーン全体が前よりデリケートになり、さまざまな不快症状が出現。
ひどくなると歩く・座るがおっくうになってしまうことも
下着が擦れる感じがする、自転車に乗るとサドルへのあたりがつらい…。更年期前後からこんな不快感を覚える人は少なくありません。
「閉経前後から女性ホルモンのエストロゲンの分泌が低下します。それに伴い腟内、腟口の分泌物の量も低下します。顔も潤いがなくなると弾力が低下し、たるみやシワ、肌乾燥が起きるように、フェムゾーンにも同じことが発生しています。
顔以上に潤いが多い部分なので、変化を大きく感じる人もいます。実際に内診で腟壁を見ると、薄いピンク色だった部分が赤くなり“あかぎれ”のような状態になっていることが多いですね」(喜田直江先生)
放置すると、痛みやかゆみが悪化し、歩くだけでひどい痛みになることも。人生の後半に人に言えない悩みを長く抱えるのは精神的にもつらいものです。
対策としては、顔と同じように保湿を促すケアが必要だといいます。
「フェムゾーンは皮膚と粘膜でできています。潤い成分を補うためのケアは必要です。専用のマッサージオイルやジェルなどを使って、優しく自分の指でマッサージしてあげるといいでしょう。
日本人は自分のフェムゾーンを見たことがない、触ったことがないという人も多いので、びっくりするかもしれませんが、少しずつ慣れていくといいですね。
また、HRTなどのホルモン補充療法を併用することもできますし、ヒアルロン酸注射やレーザー照射などの選択肢もあります」
保湿+マッサージでフェムゾーンの血行アップ!
最近は、フェムゾーン専用の保湿、マッサージ用のオイルやジェル、クリームも数多く登場しています。
フェムゾーンをそっと丁寧に洗浄したあと、こうした保湿剤を使って優しくマッサージをしてみましょう。筋肉をほぐし血行をよくすることが目的なので、まずは外陰部周辺と肛門までまんべんなく塗って、溝に添って滑らせるようにクルクルとマッサージしてみましょう。
慣れてきたら腟口に指(爪で傷つけないように注意して)を挿入して、腟口周辺もマッサージを。
もともとは出産時の会陰切開・裂傷予防のために作られたマッサージオイル。肌の浸透力・柔軟作用に優れたモリンガオイルを配合、フェムゾーンの保湿ケアとして人気を集めています。
ママズケア スムージングオイル 30㎖ ¥6,820/モディッシュ
顔など肌用の中間分子量ヒアルロン酸2%配合美容液。丹羽咲江先生のクリニックでは腟萎縮が始まる世代のフェムケアにもとすすめています。軽くマッサージして塗布し、潤滑剤としても使用できます。
ヒアルプロテクト 30㎖ ¥3,300/咲江レディスクリニック
丹羽咲江先生が開発、クリニックで販売している乾燥用バーム。ホホバオイル、ヒマワリ種子油、ヤシ油などが主成分。
オーガニックバーム・スープル 50g ¥3,300/咲江レディスクリニック
お話を伺ったのは
喜田直江さん
Naoe Kida
なおえビューティークリニック院長
医学博士。2001年に京都府立医科大学卒業後、産婦人科医として多数の分娩・手術症例を経験。形成外科医として多くの女性が悩みを抱える婦人科形成の専門クリニックを2011年に開院
撮影/ケビン・チャン 構成・原文/安藤由美