子宮筋腫という病気を聞いたことがあるでしょうか。子宮にできるこぶのような良性の腫瘍で、小さくて無症状の場合は経過観察で治療の必要はありませんが、症状があり日常に支障が出て来ると治療が必要になってきます。閉経後は小さくなるため、すぐに治療した方が良いのか悩みどころですが、子宮筋腫とどうつきあって行けば良いのか、産婦人科医の八田真理子先生にお伺いしました。
お話を伺ったのは
八田真理子さん
Mariko Hatta
産婦人科医。1990年、聖マリアンナ医科大学医学部卒業。順天堂大学、千葉大学、松戸市立病院を経て、98年、千葉県松戸市で女性のためのクリニック「ジュノ・ヴェスタクリニック八田」を開業。幅広い世代の女性の診療を行い、クリニックはいつも女性でいっぱい。著書に『産婦人科医が教えるオトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)など。
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どうつき合う? 閉経前後の子宮筋腫
閉経後は小さくなるので、そこまで逃げきれるかどうかが悩みどころの子宮筋腫。メスを入れない保存手術を実施している施設は限られ、摘出手術を避けたいとなると薬物療法を選ぶのが普通です。
女性ホルモンの影響で大きくなるため、筋腫を縮めるにはホルモンを下げたい、でも更年期症状が出るのも避けたい——という悩みをどうするかは、医師の力量にもかかっているようです。下の図は、子宮筋腫の治療の選択肢。子宮筋腫がある人は定期的に診てもらい、医師と二人三脚で治療方針を考えたいもの。
子宮筋腫の保存手術という選択肢
MEA(マイクロ波子宮内膜アブレーション)
筋腫などによる過多月経の治療に使用される方法。器具を挿入してマイクロ波を照射し、子宮内膜を壊死させます。健康保険適用。
FUS(集束超音波治療)
高周波の超音波を集中的に照射して筋腫を焼く方法。大きな筋腫や3個以上の筋腫などは治療の対象外。健康保険の適用外。
UAE(子宮動脈塞栓術)
太ももの付け根を走る動脈から細い管を入れ、動脈をふさいで子宮筋腫を縮小させる方法。2014年に健康保険が適用に。
子宮筋腫の薬物療法という選択肢
偽閉経療法
GnRHアゴニスト製剤などにより、人工的に閉経状態にする方法。一時的に月経を止めるので、筋腫が小さくなり貧血も改善。
対症療法
筋腫に働きかける治療ではなく、貧血や痛みの症状をやわらげる方法。手術は回避したいけれど症状をやわらげたいという場合に。
カメラ&スタイリスト/中山ユカリ 構成・原文/蓮見則子