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腟ケアとかフェムゾーン(デリケートゾーン)のケアに興味はあるけれど、専用ソープやオイルはけっこう高価。代用できるものってありますか?(48歳)【更年期のフェムゾーンの悩み】

一昨年あたりから、新商品が次々登場している「フェムゾーンケア専用」アイテム。専用ソープに始まり、ローションや保湿クリーム、マッサージオイルにジェルなど、どれを選んでいいかわからないほど! 高価といえば確かに高価ですが…八田先生、何かほかに代用できるものって、ありますか?

答えてくださった方

 

八田真理子
八田真理子さん
産婦人科専門医
公式サイトを見る

幅広い世代の女性の診療・カウンセリングを行う地域密着型クリニック「 聖順会 ジュノ・ヴェスタ クリニック八田」院長。著書に『思春期女子のからだと心 Q&A 資料ダウンロード付き』(労働教育センター)、『産婦人科医が教える オトナ女子に知っておいてほしい大切なからだの話』(アスコム)ほか。

 

フェムゾーン(デリケートゾーンではなく、こう呼びましょう!)をつねに健康な状態にキープしてほしくて、クリニックに腟レーザー「モナリザタッチ」を取り入れたり、医療用のケアジェルを開発したりしてきた私。

 

今こうして、フェムゾーン専用のケア用品がいろいろ出てきて、好みのものを選べるようになったのには「ようやく、その時代が来たな!」という感じです。

 

腟ケア、フェムケアなど、新しい言葉も出てきていますが、とてもいいことだと思います。

 

専用のアイテムは高いといわれればそうなのですが、考えてみると外陰部も腟もほとんどが粘膜です。

 

顔の中では目の下の皮膚がいちばん薄いなんていわれますが、それよりもっと敏感、体中でいちばんセンシティブな粘膜なんです。

 

粘膜が露出している部分なんてほかにないですよね。その敏感な部分に使うものなんですから、なんでもいいわけはありません。

 

♦フェムケア後進国日本。
ぜひメイクやスキンケアと同様にフェムケアを

 

欧米ではフェムケアの意識が高く、母親から娘へ伝えるだけでなく、学校でもケアの教育が行われているそうです。

10代から専用のケア用品を使うので、欧米はもとより韓国などでも、お店には当たり前のように専用のケアアイテムが並んでいます。

 

かたや日本はどうでしょう?

 

意識の高い女性にやっと認知された程度のフェムケア後進国!

日本は昔から、外性器をひた隠すべき場所のようにしてきたうえ、今でも自分の性器を見たり触ったり、口に出すことさえ遠慮しがち。

 

だから「デリケートゾーン」なんていう和製英語も作られてしまったんですよね。

ちなみに、英語では「Intimate Area」が普通です。

フェムケアアイテムを見ると商品名に「Intimate(インティメイト)」とつくアイテムが多いので、ぜひチェックしてみてくださいね。

 

[この連載の担当ライター蓮見が見つけた、新しいフェムゾーン専用ケアアイテム『ナチュラル インティメイトオイル』50ml ¥6,600/b-i STYLE。骨盤と骨盤底筋の専門家、b-i STYLEのkyo先生がプロデュース。スクワランなどの⾼保湿オイルをベースに、7種類の天然由来オイルを配合。全身の保湿に使えます]

 

 

そんな歴史的背景もあって、スキンケアやメイクはすごく丁寧にしているのに、フェムゾーンだけは見てもいないし、ほったらかし、という人が日本には多いのだと思います。

 

パートナーには見せても、自分で見ないのは恥ずかしいから?

正しい知識を身につけ、自分の健康を保つには、全部きちんと観察したいもの。

顔と同じように毎日見ていれば、そのうち抵抗感は薄まっていくはずです。

 

[こちらは八田真理子先生監修によるフェムゾーンケア専用ジェル『anowa41』25g ¥3,300/アノワ。ヒト脂肪細胞順化培養液エキスを配合し、外陰部や腟内環境へアプローチ。※医療機関限定アイテムのため、取り扱い場所はこちらを参照ください]

 

 

♦フェムケアには専用アイテムがベスト。なぜかというと……

 

さて、肝心のアイテムについて。

例えば、家族みんなで使っているような洗浄力の強いボディ用ソープで、フェムゾーンを洗い続けたとします。更年期に入り(入ったかどうかは、後になってみないとわからないのですが)、同じソープで洗っているとヒリヒリしたりしみたりするようになるでしょう。

 

粘膜が薄くなって敏感になった証しですね。

 

それほどセンシティブなエリア。肛門や尿道が近く、雑菌だらけと思いがちですが、腟内にはデーデルライン桿菌(かんきん)という善玉菌が存在していて、膣内を酸性(通常pH値が3.8~4.5)に保ってくれています。これによりこの弱酸性の環境により自浄作用を発揮し、雑菌の侵入や繁殖を防いでいるわけです。

 

ボディ用ソープが常在菌のバランスを乱すことでバリア機能を落としてしまい、逆に雑菌が繁殖したり、におい、かゆみ、乾燥やヒリヒリが進む原因にもつながります。

だから、専用のソープは必ず弱酸性です。

でも、弱酸性であれば何でもよいかと言われればそうではありません。

やはりボディソープは泡立ちや洗浄力、成分を考えると決して粘膜向きではないんです。

 

ソープ以外についても、顔やボディのスキンケアと同じように考えましょう。

つまり、うるおいを保つ(保湿)、そして血行をよくする(マッサージ)です。

 

“敏感”というと、必ず「ベビーオイルがいい」という人も現れますね。

それ、まったく違います。

赤ちゃん用は肌に優しい感じがしますけど、意外にもそうじゃない。子どもは皮膚が強いんです。

おばあちゃんのほうがずっと皮膚が弱いし、再生力も弱い。Babyという名に惑わされないようにしましょう。

 

また、ごま油やセサミオイル、オリーブオイルなどを腟マッサージに使いたいという声も聞いたことがあります。

オーガニック認証され、低温圧搾で化学処理を一切していないオイル、それも酸化していないもの。それならまだよいかもしれませんが、それこそ高くないですか?

それに、股間から食用オイルのにおいがするのもちょっとどうかしらね(笑)。

 

♦かゆみや炎症があるときは特に注意を

 

そして、いちばん心配なのは、フェムゾーンにかゆみや炎症がある場合。

「デリケートゾーンのかゆみやかぶれに」と謳う第2類医薬品の軟膏の中には、抗炎症作用が強すぎるものがあります。

月経がある女性ならまだいいのですが、更年期の乾燥によるかゆみに使ってしまい、色素がぬけて白斑になっている人もいました。

 

また、かゆみやヒリヒリ感があるからと、近所の皮膚科に行き、ステロイド軟膏を処方されたという人も。

市販のものでも、ステロイドが入った軟膏などで症状は治まりますが、中毒性があります。

ずっと続けるのはよくないのです。

 

日本におけるフェムケア商品の市場は、これからが全盛期だと思います。

 

使う人が増えれば、価格帯も幅が増え、もう少し低価格のものも出てくるはず。

でも、今でも外食を1回我慢すれば、十分購入できる価格では?

見えないところにお金を使うこと、それこそ感性や品格、大人の余裕です。

 

それが心の豊かさにつながり、自分の自信につながり、女性としての魅力につながる。

凛とした雰囲気が自然と醸し出る大人の女性だと思います。

 

「40代になったら自分へのご褒美として、フェムケアアイテムを買おう!」

それをこれからのスローガンにしようかしら。

 

取材・文/蓮見則子 

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