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デビュー50周年「くらもちふさこ展」で感じた、絵の力

すぎ

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趣味は好きなバンドのライブ追っかけをしながら、全国のおいしいものを食べること。
摂生のストレスよりも心の健康を一番に、楽しい! 幸せ! と思える毎日を送りたいと思っています。(ただ自分に甘いだけ……かも?)

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こんにちは。五十肩でも楽しい時には腕が上がると、サカナクションの武道館で実感したライブ大好き編集者のすぎです。

建築物のような巨大セットと非常に凝った演出に、ほぼ天井桟敷のような席でしたが、ひゃ~カッコイイ~と感激しました。

 

さて、以前、りぼんの「おとめちっく」全盛期に田渕由美子さんが大好きだった話を書きましたが、その後は別マ(別冊マーガレット)に移り、くらもちふさこさんに夢中になりました。当時の集英社の少女漫画好きは、たいていみんなそうでしたよね。

くらもちふさこ コミックス「冬・春・あなた」

はい、中学生の時から持ち続けている「冬・春・あなた」です。

くらもちふさこコミックス「糸のきらめき」「わずか1小節のラララ」

同じ頃に描かれた「糸のきらめき」と「わずか1小節のラララ」。初の連載「おしゃべり階段」よりも前からファンでした。私の音楽好きの片鱗も、この頃から。

 

そんな、くらもち先生のデビュー50周年(なんと半世紀!)を記念した展覧会が、「田渕由美子展」と同じ弥生美術館で開かれるというので、さっそく事前予約して行ってきました。

くらもちふさこ展 弥生美術館外観

これまで、作品の舞台となった島根県での「天然コケッコー展」や、いくえみ綾さんとの「二人展」はあったものの、単独で50年に渡る作品を俯瞰する展覧会は初。

会場構成は同じですが、約1ヵ月ごとにカラー原画はすべて入れ替えられ、全期間を合計すると展示される原画は約350点とのこと!

 

くらもち先生の代表作である「いつもポケットにショパン」(NHKの朝ドラ「半分、青い。」でも話題になりましたね)や

くらもちふさこ「いつもポケットにショパン」原画

「いつもポケットにショパン」『別冊マーガレット』(集英社)1980年4月号 表紙 ©くらもちふさこ/集英社(Ⅳ期展示)

 

「天然コケッコー」(夏帆ちゃんと岡田将生君主演で映画化されました。今をときめく岡田君のデビュー作です!)の、これらの原画は今回見られなかったので、再訪を誓います。

くらもちふさこ「天然コケッコー」原画

「天然コケッコー」『コーラス』(集英社)1994年7月創刊号 記念テレホンカード(懸賞)©くらもちふさこ/集英社(Ⅳ期展示)

 

 

作品とともに、ところどころに貼ってある「KURA VOICE★」という先生自らのコメントが非常に興味深く、「苦手なパステルが上手く扱えて満足している」と書かれた作品は、本当に繊細で美しかったし、「「天然コケッコー」でニワトリはたくさん描いたので、何も見なくても描けますよ(笑)。」というコメントには、思わず笑ってしまいました。

「今ならこうは描かない」とか「実は・・」といった掲載時の裏話は、「へぇ~」の連続です。

 

こちらの作品は「海の天辺」。

くらもちふさこ「海の天辺」原画

「海の天辺」単行本1~4巻カバー 1989~1990年 集英社/発行 ©くらもちふさこ/集英社(Ⅳ期展示)

 

コミックス全4巻のカバーをつなげると、この絵になるという・・。

くらもちふさこ「海の天辺」コミックス

はい、コミックス、持ってます。

これまた大好きな作品で、会場限定のオリジナルグッズとして、てぬぐいが売られていたので、迷わず購入。

くらもちふさこ展「海の天辺」てぬぐい

 

「好きな漫画」というと、どうしても物語やキャラクターの印象が強いのだけど、こうして「絵」だけを見ていくと、1枚の絵に対する先生の並々ならぬこだわりと、センスが溢れていることがわかります。

 

たとえば、展覧会のメインビジュアルとなっているこの作品。

くらもちふさこ「東京のカサノバ」原画

「東京のカサノバ」『別冊マーガレット』(集英社)1984年2月号 扉 ©くらもちふさこ/集英社(Ⅰ期展示)

 

「背景に使ったポスターカラーのちょっと沈んだ赤と、ハートのクッションで使っているカラーインクの派手な赤は表情が違うので組み合わせられると、計算して塗ることができました」というコメントにはびっくり。

別の絵では「確信をもって計画的に塗った絵とそうじゃない絵は完成した時に違いが出ると思っています」とも。

 

パステル、水彩、カラーインク、カラートーン、スプレー、色鉛筆・・さまざまな画材で、絵の可能性を追求してきたくらもち先生は、「デジタルでさえツールのひとつに過ぎない」と言います。

くらもちふさこ「花に染む」コミックス

2017年に手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した「花に染む」のカバーは、パソコンによる作画。「デジタルだからこそ、イメージ通りになった絵」も。

 

常に新しいチャレンジをし続け(昔、インタビューさせていただいた時には「飽きっぽいから」とおっしゃっていましたが)、どんどん変化していく絵のタッチ。

 

最後に展示してある「一本の線」と題された自筆の文章には、50年間、真摯に絵と向き合ってきた先生の思いが詰まっていて、感動せずにはいられませんでした。

 

 

デビュー50周年記念 くらもちふさこ展

-デビュー作から「いつもポケットにショパン」「天然コケッコー」「花に染む」まで-

Ⅰ期/2022年1月29日(土)~2月27日(日)

Ⅱ期/3月2日(水)~3月27日(日)

Ⅲ期/3月30日(水)~4月24日(日)

Ⅳ期/4月27日(土)~5月29日(日)

弥生美術館

オンラインによる事前予約(日時指定)制。

開館状況についてはHPでご確認ください。

 

「THE くらもちふさこ デビュー50周年記念画集」

「THE ,くらもちふさこ」カバー

展覧会で見られる全作品+αの500点以上がが収められた豪華画集。「KURA VOICE★」も収録されているので、じっくりと反芻することができます。カバーのイラストは金の箔押し。

(B5判変型 160ページ 集英社 3,960円)

 

 

 

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