「音楽は不要不急である」というコロナ禍での向かい風の中、悩みをポジティブに変換し、できることを探し実現してきたロックバンドACIDMANの大木伸夫さん。
デビューから20年、変わらない体型の秘密を聞いたら、健康に関してかなりの研究家であることが発覚?!
(コロナ禍での思いや活動について語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/萩庭桂太 取材・文/本誌編集部
大木伸夫さん
Profile
おおき・のぶお●’77年8月3日、埼玉県生まれ。高校時代の同級生、佐藤雅俊(B)、浦山一悟(D)らとともに’02年、ACIDMAN(アシッドマン)としてアルバム『創』でメジャーデビュー。ボーカル&ギター担当。6度の日本武道館ライブを成功させ、数々のロックフェスの大トリを務める。10月27日に、4年ぶり12枚目となるオリジナルアルバム『INNOCENCE』をリリース。http://www.acidman.jp/
指の先の先まで酸素を届ける
深い呼吸が一番大事
10月27日にアルバム『INNOCENCE』をリリースし、29日には、2022年1月1日にクローズしてしまう思い出のライブハウスZepp Tokyoにてワンマンライブ『This is ACIDMAN』を開催。
一歩ずつではあるけれど、最善の道を模索し、音楽を届け続けているACIDMAN。
2013年に自ら事務所を立ち上げ、社長も務める大木さんは実にクレバーで活動的だ。
「若い頃は、ライブがなければ毎日飲みに行って、ベロベロになって二日酔いぐらいのほうが曲を作れたりしたんですが、今はちゃんと体と対話して、よく寝て健康な時に作りたいと思っています。やっぱり年なんでしょうけど、もうあんなに酔っ払いたいとは思わない。
ただ、人生最後の1日だと分かっていたら、どこかで歌って、打ち上げしながら死ぬのが最高だと思っているので、お酒自体は嫌いじゃないです(笑)」
今、健康のために一番意識しているのは呼吸だそう。
「実は高校3年生の時にバスケ部の友人からメディテーショントレーニングのCDをもらって、半年間、大学受験に向けて毎日聴いたんですよ。そこからハマりました。瞑想することで自分の思考が整ってくる。
それから色々勉強して、昔はそれこそ座禅を組んで瞑想していたけど、今はもっと普通のことが大事というか、メンタルトレーニングよりも血流トレーニングに変わっています。
とにかく深く息を吸って、指の先の先まで酸素を届けることを意識して、ゆっくりと長く呼吸をする。ストレスがあったり、しんどい時って、絶対に呼吸が浅くなっているんですよね」
身長180センチ。スラリとした体型も、デビュー以来ほとんど変わっていない。
「体重を減らすのは簡単で、極端に言えば食べなければ太らない(笑)。『あ~、食べた食べた』みたいな、お腹がいっぱいになることで満足感を得るような食べ方は絶対になくて、1日3回食べなきゃと思う必要もない。
もっと自発的に、お腹がすいたら食べるというのをやってみたら、1日1食でも全然平気だったし、おとといもパスタを食べたら3口ぐらいで満足したので冷蔵庫にしまい、夜中にまた食べたりしました(笑)。
僕は別に痩せたいと思っているわけではなくて。でも、痩せられない人が近くにいると考えたくなる。自分で実践して、(ドラムの)一悟君とかに『これやってみ』って教えています。
あとは、一口食べたら水を飲む。できれば炭酸水だと膨満感もあっていいですね。これ、簡単なようでいて実はできてなくて、見てるとみんなパクパク食べているんですよね」
薬学部出身で、薬剤師の免許を持つだけあって、かなりの研究家。いろんな情報を集めて、実験するのが好きだという。
「炭水化物抜きも、1度やってみたら頭がぼーっとしなくなって、確かに効果はあるなと思いました。だから食べたい時は食べるけど、食べたくない時はいらないやって。
僕の身長だと、世間的には70キロぐらあったほうがいいんですけど、自分としては65キロぐらいを基準にしています。油断すると62キロぐらいになっちゃうので、そういう時は食べて、2~3キロの増減なら2日ぐらいで調整できます」
途中、歩きたければ歩くぐらいの気軽さで、家の近くを5キロ走り、毎日お風呂では呼吸トレーニングを300回。
「美木良介さんのロングブレスみたいな感じですね。あれが流行ったとき、『分かるー、もうやってるしー。でもこれがビジネスになるのかー』って思ってました(笑)。
ただ筋肉の付け方は、僕はヘタなので分からないです。たぶんタンパク質が足りないから、ささみとかプロテインとか必要なんでしょうね。『マッチョになりたい』って口では言ってるくせに、いまだにやらないってことは、たぶんやらないんでしょうね(笑)」
インドアなミュージシャンかと思いきや、ツアーグッズで飯盒(!)を作ってしまうほどのキャンプ好き。自宅は緑で溢れている。
「自然はあればあるほどうれしい。でも一度、自宅の庭を庭師さんに手入れしてもらったら、なんとも寂しい気持ちになってしまって。もっとたくさんの植物がわっさーとしてて、いろんな花が咲くのを見るのが好きみたいです。それだけ都会に疲れてるのかもですね(笑)」
現在44歳。高校の同級生で結成されたACIDMANは、一度の休止期間もなく10月30日にデビュー20周年(結成25周年)イヤーに突入する。
「数字にしたらびっくりするぐらい長いですよね。自分がやってきたことを思うと、まだまだ何もやれていないけど、アニバーサリーといえる場所にいられるだけでも感謝だなと思います。
昔、井上陽水さんのライブに行った時に、陽水さんって僕からしたら神様みたいに思っていたけれど、陽水さんの音楽とともに生きてきた人たちが、ライブに行ってグッズを買って・・どの世代にもそういうのがあるんだな、いいなって思いました。できればいろんな人に聴いて欲しいけど、時代をずっと共有するというか、アーティストとファンが同じように年を重ねていくというのは、憧れのひとつですね」
最後にひとつだけ。「あぁ、これを聞き忘れた!」と思って、後日マネージャーさんに追加質問をお願いしてみた。
大木さんにとってACIDMANとは?
「人生をかけた壮大な旅、実験、挑戦」
これぞ大木さん!という答えが返ってきた。
『INNOCENCE』
2020年発売のシングル『灰色の街』、配信リリースされた『Rebirth』(アニメ『あひるの空』オープニングテーマ曲)を含む全11曲。通常版3080円。MV4曲とDocumentary2019-2021、2021.5.21「ACIDMANニューアルバム配信ライブ」をノーカット完全収録したDVD付き初回限定盤は6600円。(ユニバーサルミュージック)