時にナイーブな優男、そして時にはゴリゴリのコワモテ元ヤクザ。
幅広い役柄を当たり前のように演じ分けるのが、玉木宏さんの真骨頂。
その背景には、徹底的に自分を鍛え上げる日常があった。
一見ストイック、でもそれを楽しむことで我が物にする。
10月7日公開の映画『七人の秘書 THE MOVIE』でも重要な役を演じている彼の、健康へのポリシーとは?
(映画の魅力とロケ地でのエピソードを語った、インタビュー前編はコチラ)
撮影/露木聡子 ヘア&メイク/渡部幸也(riLLa) スタイリスト/上野健太郎 取材・文/岡本麻佑
玉木宏さん
Profile
たまき ひろし●1980年1月14日、愛知県生まれ。1998年、ドラマ『せつない』でデビュー。’01年、映画『ウォーターボーイズ』で注目を集め、’06年ドラマ『のだめカンタービレ』でエランドール新人賞受賞。’15年NHK連続テレビ小説『あさが来た』の新次郎役も話題に。’22年上半期はドラマ『だから殺せなかった』(WOWOW)、『マイファミリー』(TBS)に出演。また主演映画『極主夫道 ザ・シネマ』をはじめ、『キングダム2 遙かなる大地へ』『この子は邪悪』、本作『七人の秘書 THE MOVIE』など出演作が続々公開されている。
ボクシングと柔術と納豆と
玉木さんがボクシングを始めたのは、15年前。
「楽しいのと体作りと、目的は半々です。僕は筋トレみたいにひとりでコツコツやることが苦手で、格闘技や球技など、相手と交わってやるほうが性格的に好きなんだと思います。
それにボクシングをやっていれば、いつでもアクションのある役に対応ができる。確かにハードですけど、でも楽しくなければ続かないと思います」
そして4年前にもうひとつ、ブラジリアン柔術を始めた。
ブラジリアン柔術は、全身筋トレとも呼ばれるハードな格闘技。投げ技、押さえ込み、関節技、絞め技を中心に相手を倒すもので、護身術という側面もある。
「ボクシング以外にも、なにか格闘技をやりたいと思っていたんです。ひょんなきっかけで、ブラジリアン柔術をやっている人と出会って、その翌日から通い始めました」
出会ったものは、やってみる。実は学生時代、相撲部に入ったこともあったとか。
「相撲は友人に誘われて、でも向いていないとわかったので、すぐ辞めました(笑)。
興味本位で始めても、想像と違うこともたくさんあるし、すぐにうまくなるわけではない。でもそれが面白いと思えるものなら続くんです」
体力とか技とか、身につくものは、それだけじゃない。
「精神的にも、すごく鍛えられます。今この年代でこの仕事だけをやっていると、すごくチヤホヤされますが、ボクシングや柔術の世界に行くと、たくさん負けるし、上のランクの人たちには全然かなわない。
なので、ちゃんと負けを知って、強くなろうと頑張れるんです。ひとりで追い込まれて限界を感じて、でもそこから始まる集中力とか忍耐力というのは、人として必要だと思うんです。
ブラジリアン柔術は最後の黒帯をもらうまで10年くらいかかるといわれていて、僕は今、丸3年たって初めから2番目の帯。良いペースで来ているけど、今の帯はだいたい3年ぐらい巻かなければ次へいけないらしいんです。
やっている方々は週3から5、6くらいは普通に来ているので、自分だけ休むとレベルが落ちる気がして、休みたいなんて思わないです。
それに運動しているとイヤなことも汗と一緒に流れ出ていくのか、ストレスが溜まらない。悩みが飛んでいって、スッキリします。そういう効果もありますね」
日常的に体をハードに使っている分、食生活は基本、フリー。
「今のところ、時間があれば全部柔術に費やしているので、体を動かしてエネルギーを消費した分は食べています。運動をいっぱいしたら、食べないと体が追いつかない。
一番好きなのは、焼き肉です。何より米が大好きなので、ご飯も食べます。もともと甘いものも好きなので、ケーキならホールで買うし、ラーメンやピザも大好物。
それに、外食も好きなんです。中華ならこの店、イタリアンならこの店という感じで、行きたいところがたくさんある。コロナが落ち着いてきたら、もっと頻繁に家族と一緒に食事に出かけられるんですけど」
だからといって、思う存分食べているわけじゃない。
「もちろん毎日体重を測っています。身長180センチで、ベストの体重は72キロ。でも今は、この先の撮影のために少し落としているので69キロ。コントロールしているところです。
ベストは、体脂肪率が8から9%くらいです。
数字を目安にすると、目標を達成しやすい。けっこう激しくコントロールしているので、これくらいカットすれば、ここまではすぐ落ちるだろうと、なんとなくわかるんです。
ただ、僕ら俳優はちょっと時間のない中で急激にやりすぎるから、食べ過ぎたと思ったら少し糖質をカットしたり、食べたら動くとか、それくらいの加減で継続できることをやるのが本当はいいと思います」
演じる役柄によっては、柔術のトレーニングに苦手な筋トレを混ぜ込んで、肉体改造に取り組むことも。少し前にバリバリ肉体派のアウトローを演じたときには、筋肉美を磨き上げるためにタンパク質重視の食事が続いた。
「皮なしの茹でた鶏肉を、塩気もなしで食べたり、卵の白身ばかり食べたり(笑)。炭水化物は一切カットです。あと、トレーナーさんから『納豆は絶対に食べてください』と言われました。
僕は名古屋出身で、子どもの頃から納豆を食べる習慣がなかったので、最初は恐る恐る我慢して食べていたんですけど、だんだん好きになって。今は本当においしいと思って毎日の基本メニューに組み込んでいます。味付けは何もしないで、豆だけ食べている感じです」
そんな玉木さんの食生活を大きく変えたのが、コロナ禍。そして子どもができたこと。
「家で食事することが増えました。もちろん自分でも料理します。毎日のことですから、いろいろ試行錯誤して。自分たちのものを作るにしても、子供用にはアレンジしなければいけないし。なかなか大変です」
自分が本当に好きなこと、面白いと感じることを続けながら、ちょっとした変化も受け入れて、40代の玉木さんの美と健康は続いている。いやそれどころか、どんどんグレードアップしているみたい。
「昔の自分と比べると、体力的に衰えを感じないわけではないです。でも同年代の人や周りの人よりは動けていると思う。これをどこまで維持できるか。とりあえず毎日、トレーニングは続けていくと思います!」
『七人の秘書 THE MOVIE』
ふだんは目立たない存在として組織や上司に仕える秘書たちが、各々その卓越した事務能力、潜入能力、情報収集力、身体能力などをフル活用して弱者を救い、横暴な権力者に立ち向かうドラマ『七人の秘書』。2020年10月~12月に放送されたこのドラマが、熱烈なファンの熱い支持を集めて、とうとう映画化された。ドラマのレギュラーメンバー木村文乃、奈々緒、広瀬アリス、大島優子、シム・ウンギョン、室井滋、江口洋介に加え、笑福亭鶴瓶、吉瀬美智子、濱田岳、そして玉木宏という豪華俳優陣をゲストに迎えて、物語はスケールアップ。冬景色を背景に、巨悪に立ち向かう7人の物語は華やかに展開する。
2022年10月7日(金)より全国東宝系にて公開
配給:東宝
脚本:中園ミホ
監督:田村直己
出演:木村文乃 広瀬アリス 菜々緒 シム・ウンギョン 大島優子 室井滋 江口洋介 玉木宏 濱田岳 吉瀬美智子 笑福亭鶴瓶ほか
主題歌:「Final Call」milet
©2022「七人の秘書 THE MOVIE」製作委員会
公式サイト:https://7-hisho-movie.jp/