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81歳の白石加代子さん「加圧トレーニングを9年続けています」(インタビュー/後編)

80代の今も舞台に立ち、膨大な台詞もなんなくこなす、白石加代子さん。

40代で大病し、心身のピンチを乗り越えてからは、数多くの舞台に立ち、映画やドラマなど映像作品にも出演してきた。

いつもにこやか。いつもパワフル。そしていつも、ちょっとミステリアス。

元気の秘訣は? いったい何が彼女の芝居の原動力になっているのだろう?

 

(白石さんが70年も持ち続けてきた演劇への思いについてのインタビュー前編はコチラ

 

撮影/湯本浩貴 取材・文/岡本麻佑

白石加代子 インタビュー 神奈川芸術劇場

白石加代子さん
Profile

しらいし・かよこ●1941年12月9日、東京都生まれ。1967年に早稲田小劇場(現 SCOT)へ入団。70年に『劇的なるものをめぐってⅡ』の主演で高い評価を集め、同劇団の看板女優に。89年にSCOT退団後は、蜷川幸雄氏演出作品にも数多く出演。映画やテレビなどでも幅広く活躍し、92年からスタートした『百物語』の公演はライフワークとなっている。12年、旭日小綬賞受賞。23年、演劇界からは初となる日本芸術院会員に選出。

 

47歳で結婚。今も元気な秘訣は、食事です!

 

40代、過酷なスケジュールで海外公演をこなす中、不調を感じた白石加代子さんに下された診断は、急性肝炎だった。

 

「2カ月間ほど、なかなか数値が下がらなくて、これはこのまま慢性肝炎に移行するのではないかと、お医者さまも首をかしげていました。もう再起不能じゃないかって噂もたったくらい。

でもね、ある日を境に急激に数値が下がって、良くなったんです。薬が効いたのか何が効いたのかわからないけど、10日もしないうちに正常な人に戻っちゃった」

 

そのとき考えたのは、そこから先のこと。

 

「劇団を辞めることにしました。25歳から始めて22年間。47歳でこれから何ができるだろうと思ったけど、とりあえずは第一歩を踏み出そうと思ったんですね。それと同時に、結婚もして」

 

それまでは果たせなかった商業演劇にも進出。さらには映画やTVドラマにも出演を重ね、それぞれの作品に爪痕を残してきた。

白石加代子インタビュー 目線なし 神奈川芸術劇場

妖怪変化から普通の主婦まで、彼女が演じるとそれだけで、リアルにくっきりと役が立ち上がる。「この役はどうしても白石加代子さんに」というオファーは、ずっと絶えることはなかった。

 

たったひとりで舞台に立ち、不気味で不思議で妖気あふれる物語を語り降ろす『百物語』シリーズなど、その活躍はワン&オンリー。

 

現在は、KAAT神奈川芸術劇場のキッズ・プログラム『さいごの1つ前』で、天国に行くための記憶を探す老女を演じ、全国ツアーも控えている。

 

で、その活力の源は?

 

「なにかしらね(笑)。

とりあえず体力に関しては、加圧トレーニング。自宅にトレーナーのかたに来ていただいて、夫と一緒にもう9年くらい続けています。

年をとるとね、若い方が考える何十倍も筋力が落ちてくるの。本当に、あーっという間に(笑)。

ですからこの程度のトレーニングで、何がどう助けになっているかはわかりませんけど、でも、やらなかったらどうなっていたでしょうね」

 

 

あとは毎日のストレッチ。

 

「それもいい加減ですけどね(笑)。

ただ何を頑張っているかというと、食事作りです。私の世代は、女性が食事を作るのが当たり前で、しかも母子家庭の長女でしたから、母が働いて私は家庭のお手伝いをするという感じで。

自然に体が動くし手も動く。ある程度のことはできます。たいしたものは作れない、お惣菜程度だけれど」

 

週一回、食材やミールキットを運んでくれるサービスを利用中。

 

「野菜と、いわゆるタンパク質のお豆腐とか牛肉豚肉。1週間分まとめ買いして、冷凍したり下ごしらえしたり作り置きしたりで、届いたその日は大忙し (笑)。

今日だって、朝は五穀入りのご飯を炊いてきました。おいしくしたいから、お出汁はうんと良い物を使っています。1日2食は作って食べていて、それが健康の元かなと思っています」

白石加代子インタビュー 神奈川芸術劇場にて

普通の暮らしを、きっちりと。その姿勢がきっと、幼い頃からの夢を抱えたまま人生を走り抜けてき彼女の大事な支えになっている。

 

さらに大切にしているのは、睡眠。

 

「7時間はキープしないと。体力勝負でもあるので、しっかりとした睡眠を心がけています。とはいえ、歳を重ねると、どうにもすぐに寝つけないこともあり、お布団の中で焦っていることもありますけどね(笑)」

 

よく寝て、よく食べて。白石加代子さんの舞台人生は、まだまだ道の途中。天国には当分、行けそうもない。

 

KAAT キッズ・プログラム 2023 『さいごの1つ前』

白石加代子舞台「さいごの1つ前」公演チラシ 神奈川芸術劇場

天国と地獄の分かれ道で、なくした記憶を探す物語。“子どもたちと一緒に楽しめる、遊べる作品を創りたい”と、劇作家・演出家の松井周が書き下ろした。上演中は舞台と客席のコミュニケーションがあり、事前に行うワークショップの成果も反映される。22年8月に初演、好評を博した。

白石加代子 神奈川芸術劇場 「さいごの1つ前」2022 舞台写真

2022初演より。撮影/宮川舞子

 

【横浜公演】2023年7月21~24日  KAAT 神奈川芸術劇場〈大スタジオ〉

【座間公演 (神奈川県)】7月30日 ハーモニーホール座間 小ホール

【逗子公演 (神奈川県)】8月6日 逗子文化プラザ なぎさホール

【久留米公演 (福岡県)】8月13日 久留米シティプラザ 久留米座

【松本公演 (長野県)】8月19、20日 まつもと市民芸術館 小ホール

【美濃加茂公演 (岐阜県)】8月26日 美濃加茂市文化会館(かも~る) ホール

作・演出:松井周

出演:白石加代子 久保井研 薬丸翔 湯川ひな

公式サイト:https://www.kaat.jp/d/saigono_hitotsumae2023

 

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