こんにちは、佐藤ひとみです。
連載第1回目「片づかない家によくあるモノ。それは……」は、おかげさまでたくさんの方にお読みいただきました!
今回からは我が家のキッチンをごらんいただきながら、断捨離の実践例をご紹介していきます。
断捨離で不要、不適、不快なモノを取り除き、要・適・快なモノを選び残した我が家のキッチン
セミリフォーム済みの築30年のマンションが現在の住まい。
壁際に置いてあるキャビネットや冷蔵庫、レンジなどの調理家電は以前の家から持ってきたものです。
〔キャビネに収められている家電は電子レンジとトースター、ベーカリー(中段の白いもの)。調理家電の周りには、ものをぎっちり詰め込まない。このように隙間を空けて置くことで生活感が抑えられ、モデルルームのようなたたずまいに。ちなみに炊飯器は持っておらず、お米は圧力鍋で炊いている〕
台所の写真を見た編集部の担当の方から、「ゴミ箱はどこにあるんですか?」と聞かれたのですが、ゴミ箱はここです↓。
〔 長年使っているダストボックスは、ニッセンで購入〕
そして私が台所に立ったときに目にする風景は、こんな感じになります。
リビングが見渡せるよう、リフォームのときにシステムキッチンの吊り戸棚や壁を取り払ってもらいました。
〔システムキッチンはクリナップ社製。シンク下の収納棚が全て引き出しタイプのもの、観音開きの棚がないタイプを選んだ〕
システムキッチンで一番目立つのが、シンク。
ここがすっきりきれいなだけでもキッチンの印象はだいぶ変わるんですよ。
〔シンクの左横に置いてある花柄のものはダスター。水に濡らすとあっという間に柔らかくなり、乾くとパリッパリに硬くなるタイプのものを長年愛用。その理由は「乾くのが早いほうが清潔に保ちやすいから」。大判のものを購入し、半分に切って使用。シンクに三角コーナーは置かず、生ゴミは小さなポリ袋に入れ、調理後は口を縛ってゴミ箱へ捨てている〕
私は使い終わったら、シンクはさっと拭き上げています。
そうすることで、ヌメリや水あかと無縁でいられて清潔ですし、何よりもピカピカの蛇口やシンクは自分が台所に立ったときに気分がいい!
整えられた気持ちのよいキッチンは、このあと再びここで作業をする自分へのおもてなしになります。
断捨離とは他人のためではなく、自分のために行うもの
自分にとって〝要・適・快〟なもの、つまり要(必要なもの)・適(ふさわしいもの)・快(心地よいもの)なものを見極める断捨離ですが、ほかにも大事なこととして〝自分のために行う〟があります。
断捨離は他の人のためではなく、自分のために行うもの。
そしてやったらやった分だけ自分に返ってくる、つまりご褒美を与えてくれるというものなのです。
それでさきほど〝整えられた気持ちのよいキッチンは、このあと再びここで作業をする自分へのおもてなしになる〟と、お話したわけです。
ガスレンジも使うたびにダスターで拭きあげています。
(ときどきメラミンスポンジを使用)
〔ガスレンジを選ぶ際はガラストップのものにこだわった。「背面に置いてあるキャビネットと冷蔵庫の扉がガラストップなので統一感をもたせたかった」ため。現在「ガラスがマイブーム」だそう〕
シンクやガスレンジを「使うたびに拭いている」と言うと、「えっ、いちいちそんな面倒なことできません」とおっしゃる方が多いのですが……全然面倒ではないのです。
面倒ではない、その秘訣。
それは、ずばり〝モノをほとんど出しっぱなしにしないから〟。
キッチンカウンターもキャビネも上には何も出しっぱなし、置きっぱなしにはしません。
そのため拭くたびに何かをどかす必要はほぼなく、ダスターやメラミンスポンジを手にすればさっと拭けるのです。
片付けやすい家の鉄則は〝ワンアクションで出せる・しまえる〟
ワンアクションで取り出せ、ワンアクションでしまえる=出しやすく、しまいやすい。
それが片付けやすい家の鉄則のひとつです。
(断捨離では散らかりを問題とはしていません。むしろ生活していれば散らかるのは当たり前。
散らかった後、散らかりっぱなしの「ぱなし」を問題としています)
だからお鍋も重ねて収納しません。
〔18歳のときから使っている鍋。考えた末、いくつかを処分してこの3つを残した。数を減らしたことで、重ねて収納せずに済み、取り出しやすくしまいやすくなったそう。下の写真は、そのときに処分した鍋〕
重ねてしまうと、下になっているものを使うとき、いちいち上のものをどけないとならなくなり〝ワンアクションで出せる、しまえる〟ができなくなるからです。
フライパンも同様です。
〔以前フライパンはステンレスのものを含め5つ持っていたが、重くて年齢とともに使いにくさを感じるようになってきたのと、卵料理がくっつくようになったタイミングにて、全て処分。そして軽くて蒸し物にも使える『ベルーナ』のフライパンを新たに2つ購入。自分にとってそのモノを使っているとき快適なのかどうかを、都度判断していくのも断捨離。そしてフライパンの隣に置いてあるのは圧力鍋。鍋類はできるときに磨き、なるべくピカピカを保っている。鍋を磨く際は、ドライバーで取っ手など取り外せるパーツを全て外してから、つけ置き洗いをしている。下の写真は処分したフライパン〕
限られたスペースに取り出しやすく仕舞いやすく、なおかつ美しく、モノを収めていくには、まずモノを絞り込む作業が必要です。
家を片付けられないと悩んでいる方が、モノを手放そうとする際によく口にする言葉があるのですが、それは「もったいない」です。
また
「せっかく」
「もしかして」
「めんどくさい」
が口癖になっていたら要注意。
「せっかく」手に入れたのに……過去執着
「もしかして」また使うかも……未来不安
「めんどくさい」やりたくない……現実逃避
みなさん、そんな思いが複合しています。
そしてそんな思いを無自覚に「もったいない」という言葉に包んで発しています。
モノより自分が主軸、過去や未来より今を一番に考えるのが断捨離です
「まだ使える」なども、モノが主軸の言葉。
でもそれが「まだ使いたい・まだ使う」であれば、その人自身が主軸になります。
「まだ使える」からとっておくのと、「まだ使いたい」からとっておくのでは全然違うのです。
「もったいない」のはモノだけでしょうか?
その言葉の中身を検証することなく、スペースが限られたなか、使わず置きっぱなしになっている現在の状態のほうが、よほどもったいない空間のあり様ではないでしょうか。
モノを所有することによって、そのひとつひとつに付随する、メンテナンスの時間や労力、引いてはモノに明け渡した自分の空間はもったいなくないのでしょうか?
また「いつか使う」の「いつか」は、いつやってくるのでしょう?
「痩せたら、着るかも」だって、痩せたらそのとき。
痩せた自分に似合う服を吟味して買えばいいのです。
このように来るか来ないかわからない未来のことではなく、〝今〟を第一に考えるのも断捨離の考え方なのです。
小物の引き出し収納も見せていただきました!
さぁ、お鍋やフライパンなど大物が入っている引き出しのあとは、細々としたものを収めてある引き出しの中をお見せしますね。
フライパンと圧力鍋をしまってある引き出しの上には、おたまやキッチンばさみなどのツールを入れています。
引き出しを開けたら、何がどこに入っているのか一目でわかれば探しものに手間取ることはありません。
〔キッチンばさみはツヴィリング、計量スプーンやおたまは無印良品のもの。昔はとかく100円ショップのもので揃えがちだったが、今は使いやすさ、手入れのしやすさ、そのモノの形が美しいものを厳選している。密閉容器には雑穀、片栗粉、小麦粉、ベーキングパウダー、粉砂糖、黒ごま、乾燥ワカメなど日々使うものが。水仕事のあとに塗るハンドクリームもここに収納(はさみの右隣)〕
またモノが出しっぱなしにならない家を考える際、〝ワンアクションで出せる、しまえる〟のほかに同じくらい大事なことがあります。
モノの置き場所は、〝使いやすさ〟から決める
モノの置き場所を決める際、動線にはそれほどこだわっていませんが、使いやすさを考えたら自然に動線に沿ってきます。
どの引き出しに何をしまうのか。
それにはまず大まかなゾーニングを考えます。
すると動線もスマートに。
たとえば我が家の場合、シンク下の引き出しにしまってあるのは、ざるやボウル、包丁です。
〔ざるやボウル、包丁の他には、計量カップ、毎朝紅茶を淹れるときに使うポット、包丁研ぎ、洗って繰り返し使えるキッチンペーパーやラップ類が〕
なぜかというと野菜を洗う、お米を研ぐ、水をきるといった作業はシンクで行います。その際に使うボウルやざるなどのしまい場所は、シンクから一番近くて出しやすいこの引き出しが私にはベストなのです。
先にお見せしたお鍋やフライパンの置き場所も同じです。
コンロで使うものはコンロのそばに置く。
そうすれば、出しやすくしまいやすいからです。
では、続けて他の引き出しもお見せしますね。
システムキッチンの反対側、壁際のカウンターの一番上の引き出しにはしゃもじやピーラー、菜箸などをしまってあります。
〔一番右端はドライバー。なぜキッチンにドライバーが?といぶかる編集部の担当者に返ってきた返事は「お鍋をつけ置き洗いするとき、取っ手や蓋のつまみなど、取り外せるパーツは全てこのドライバーで外しておくため」。ピーラーの左隣にあるのはとげぬきで、魚をさくで購入した際の骨取り用。砂糖用のふるい、シロップを塗るためのシリコン製の刷毛など、趣味のケーキ作りで使うツールもここに収納。一般的にはどこの家にも複数ある菜箸も、佐藤家ではこの一膳のみ〕
こういった始終使うものは、いちいち屈んでとるのは面倒ですから、自分が立ったままさっと取り出しやすい位置(腰の高さくらいのところ)の引き出しに収納しています。
またモノが出しやすくしまい場所にあれば、何より自分がラクなのですが、もうひとつうれしい効果も。
家族が自然とお手伝いしてくれる、または手伝いを頼んだときやりやすくなるのです。
たとえば我が家では夕食のとき、お箸などカトラリーを食卓にセッティングするのは娘の役割なのですが、このように何がどこにあるかすぐわかり、出しやすくしまいやすい状態にしてあれば娘もすすんでお手伝いしてくれます。
第2回目はここまで。
次回は食品のストックを入れている引き出しや食器棚、愛用しているクレンザーなどをご紹介します!
愛知県豊田市に生まれる。愛知県立女子短期大学卒業後、名古屋テレビ放送株式会社(現在の通称メーテレ)に入社。その後テレビ局を退職し、上京。俳優・船越英一郎率いる劇団ドラマティック・ミュージカル・シアター・マガジンに入団。13年間の東京生活を経て地元に戻る。42歳で結婚、45歳のとき娘を出産。思うようにいかない子育てなどに悩んでいるとき、ネットで断捨離を知る。実践してみたところ、暮らしだけではなく自身も大きく変化。「愛知豊田断捨離会」代表。52歳。
※断捨離はやましたひでこさんの登録商標です