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定年後、予算内で健康に暮らせるのなら「移住」もアリ!?

充実した老後生活のために、大切なのは資金…それもそうですが、さらに大切なことがある? OurAgeで「女50歳からのキラキラ老後計画」を連載してくれたマネーセラピスト安田まゆみさんが、ある70代男性のケースを話してくれました。そこから学べることは…

老後の資金はどの程度必要なの?と多くの人が漠然とした不安を抱えています。でも、大切なのは「老後資金は2000万円必要」というワードに振り回されず、予算を決めて楽しく暮らすこと。

 

「今回は、『今が人生でいちばん楽しい!』と、移住先の八ヶ岳でセカンドライフを謳歌している70代シングルの男性、Aさんのケースから学びたいと思います!」と、安田まゆみさん。

 

駅まで車で1時間でも、大自然の懐に抱かれてハッピーな毎日

 

かつて商社マンだったAさんは今年77歳のダンディな男性。60代で妻を亡くし、子どもはいません。もともと八ヶ岳の別荘で毎年夏の休暇を過ごしていた彼が移住を決めたのは、70歳のときでした。現在はお日さまのリズムで生活して、畑を耕し、趣味の水彩画を楽しみ、移住組と仲間たちと和気あいあいの日々。ガールフレンドもできました。最近は茶道を習い始めたそうです。

 

Aさんが東京のマンションを売却して、八ヶ岳に移住するかどうかと迷っていた当時、周囲の人たちは「そんな不便な場所に移住して、もしものことがあったらどうする気だ」と大反対。そんなAさんに安田さんが伝えたのは「自分で車を運転できるうちは、そこで暮らしたらいいじゃないですか。ただし、終の住みかだと思っちゃダメですよ。いざというときに山を下りる覚悟ができているのなら、チャレンジしてもいいと思います」というアドバイス。

 

別荘から最寄りの駅まで、車で1時間弱。野菜を作るための畑は、車で1時間半かかり、なおかつ近所にはスーパーも病院もありません。でも、Aさんは一見不便に見える田舎暮らしを気に入っている様子。雄大な大自然の中を気ままにドライブしたり、散歩の合間にスケッチしたり。いい時間が流れているといいます。

 

「八ヶ岳に移住してくる人たちは、自分の前職や経歴などを一切語らず、畑の作物や水彩画の話で盛り上がることができる。仲間とおしゃべりする時間がとにかく楽しいんですよ!」と、ハッピーな70代を謳歌しているのです。

 

Aさんの場合、東京のマンションを売却したお金が生活の資金となりました。八ヶ岳の冬を乗りきるために、別荘を床暖房にして、車をアウトドアに適したタイプに買い替えるなど、万全な装備をしたうえで移住ライフをスタート。60代で妻を亡くして以来、ずっと自炊生活を送ってきたので、料理、掃除、洗濯などの家事も苦にはなりません。「僕、何でもできるよ」とおっしゃっているそう。

 

そして現在は、東京にいた頃よりも生活費がサイズダウンしました。「畑で野菜を作っているので、食費は東京にいたときほどかからないし。水道光熱費とガソリン代、茶道の月謝以外は、友達とお茶くらいかな。食事会もお互いの家でやったりするから、本当に、お金を使わない生活をしている」とのこと。

 

「『駅まで遠いし、近所にスーパーも病院もない場所で暮らすなんて、無理!』という人には、Aさんのような移住ライフは難しいかもしれませんが、今のAさんは幸せにあふれているんです。『何が生きる喜びとなるのか』は、人によって異なるということですね」(安田さん)

 

将来的な選択肢のひとつとして「空き家バンク制度」を知っておきたい

 

Aさんはもともと別荘を持っていて、毎年夏を過ごしていた八ヶ岳を移住先に選んだので、移住ライフの下地がありました。ただ、この先、健康上の問題が起こるなどしたときには「山を下りる」と、本人も覚悟しています。

 

「いざというときの対策も考えて、予算内でチャレンジするのであれば、定年後の一定期間を地方で暮らすのもアリだと思います。それが10年かもしれないし、もしかしたら1年で帰ってくるケースもあるかもしれませんが…」

 

今や長生きの時代となり、「終の住みかとして購入したマンションが、築40年を超えてしまった」という話も珍しいことではありません。今後、老後はどこで暮らすか、どうやって暮らすかということも考えていかなければいけない時代です。

 

ちなみに今、日本全国に多くの空き家があり、地方公共団体のホームページ上などで空き家物件情報を提供する仕組みの「空き家バンク制度」も登場しています。移住や地域交流を希望する人たちを広く募集しているので、「最近はこんな仕組みもある」と、将来的な選択肢のひとつとして知っておくといいでしょう。

 

一方、都会暮らしを望む人は「いざというときには持ち家にこだわらなくても、公営住宅に申し込む方法もある」と、フレキシブルに考えていく必要がありそうです。

最終的には自分の年金と予算内で楽しく暮らす!

 

老後のお金がいくら必要かは人によって異なり、2000万円あっても足りない人もいれば、2000万円なくても楽しく暮らしている人もいます。「その違いは、『柔軟に考えることができるかどうか』ではないでしょうか」と安田さん。

 

例えば定年後も毎年海外旅行に行きたいとか、高額な着物や家具を購入したいなどの望みがあるなら、それなりの予算が必要です。でも、海外旅行も高額商品も望まないのであれば、それほどお金はかからないかもしれません。そして、60歳以降も、引き続き働き続けることによって、貯蓄の切り崩しを抑えることが可能です。

 

50歳前後は人生で最も収入がよく、余裕がある時期です。○○のパン、△△ホテルのランチなどと、けっこう贅沢をしてしまいがち。家計をサイズダウンしていくのは難しいかもしれませんが、この先の年金生活を考えたとき、1カ月あたり15~20万円以内で生活するのが目標です。

 

「最終的には『今あるお金で人生を楽しむ』という方向にシフトしていかなくては。そうやって自分と折り合いをつけていくのが定年以降の暮らし方です。OurAge世代はその予行練習ができる時期。「こんなはずでは…」と将来的に困った事態になったときには、行政のセーフティネットに頼る方法も視野に入れ、柔軟に、たくましく、この先の人生を生きていきましょう!」

 

【教えていただいた方】

安田まゆみ
安田まゆみさん
公式サイトを見る

「元気が出るお金の相談所」所長。マネーセラピスト。ファイナンシャルプランナー歴27年目。家計管理、離婚後のお金相談をはじめ、これまでの相談件数は7000件以上。近年では、定年後の老後マネー相談、熟年離婚相談に加えて「親の介護と財産管理」「認知症対策としての家族信託」「相続対策」「相続の後始末」などの相談が増加中。著書に『そろそろ親とお金の話をしてくだい』(ポプラ社)など多数

 

イラスト/内藤しなこ 取材・文/大石久恵

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