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【西村宏堂の言葉】人は美しく装うことで自信を持ち、強くなれる。観音様だってオシャレしているのよ!

子どもの頃はディズニープリンセスが大好き。LGBTQ活動家、僧侶、そしてアーティストの西村宏堂さん。今回は、いよいよアメリカで経験を積まれたメイクアップアーティストとしての顔に迫ります!美しく装う喜びや、メイクやオシャレすることの意義について語ってもらいました。

私がメイクするようになったのは、アメリカ留学後、ミス・ユニバース世界大会で優勝した日本人女性・森理世さんに興味を持ったことがきっかけ。「アジア人の黒い目は、アイライナーやアイシャドーでメリハリがつけられる」と知り、ドラッグストアで人生初のアイライナーとマスカラを購入したんです。

 

初めて自分以外の人にメイクしたのは、ルームメイトの友だちでした。「こんな顔だったっけ!?」というくらいに彼女が大変身して、二人してビックリ!「こんなふうに、メイクで誰かを応援することもできるんだ。もっとしっかりメイクの勉強をしよう!」と使命感のような気持ちを感じました。その後、ミス・ユニバースでメイクを担当していた師匠のアシスタントに採用してもらえたことが、プロの世界で働く第一歩となりました。

 

着飾ることは悪いことじゃない。観音様もオシャレしているのよ!

 

セルフメイクを始めたころは「男性の顔でメイクしていること」がバレたくなくて、ビクビクしていたし、ハイヒールをはくのも勇気がいりました。「お前は男か、女か!」って、知らないおじさんにいきなり怒鳴られたこともあります。でも、その直後に入ったカフェで「ステキなヒールね!」って、話しかけてくれたオシャレな女性たちがいたんです。そのとき、気づいたの。「みんなに認めてもらえなくてもいい」「私が素敵だなと思っている人たちが認めてくれるなら、それでいいじゃない!」って。

 

世間にはいろいろな考えを持つ人たちがいて、この先もネガティブな言葉を投げかけてくる人がいるかもしれない。でも、「惑わされないぞ」って、自分に言い聞かせました。私が小さいときには、自分のような人を見たことがなかったから。私がメイクしてハイヒールをはくのは、世間の価値観を揺さぶりたいという思いもあるんです。

 

かつての私は、細い目をコンプレックスに感じていた。でも、スペインやアメリカでは「KODOの目はビューティフルね」「キミは目の形がきれいだから、きっとアイラインをしたら似合うよ」などと褒めてくれる人たちがいて、自分に似合うメイクを探っていくようになりました。そうして少しずつ自分の目が好きになっていき、自分に自信を持てるようになったんです。

 

内面が大事なのは言うまでもないことですが、外見というのは「自分らしさ」を相手に伝える役割も果たしているんじゃないかな。私はメイクやファッションの力を信じているの。だって外見というのは自分のいちばんの外側。観音様だって、オシャレしているんですよ!観音様はキラキラした衣装をまとい、冠(かんむり)やピアスなどもつけています。目にする機会があったら、じっくりと観察してみてください!

西村宏堂さん_ Photo by Adrián Jaramillo

 

 

©Andrés Bernadete

 

私にとってメイクすることは、大事なメッセージを人々に伝えるためのツールでもある

 

ミシェル・オバマがファーストレディーになったとき、メイクやファッションに力を入れている彼女の装いが広く注目されました。そのとき、彼女が「社会は私が何を着ているかにすごく注目している。本当はファッションなど関係ないはずなのに。でも、それが事実なんです」と残念そうに言っていたのが印象的でした。

 

でも、見た目のファッションが人目を引くのが事実ならば、それを逆手に取ろうと思ったんです。

 

本来は私がメイクしようがしまいが、どんな服装であろうが、私の心を好きでいてくれる人たちとともに生きていけるのであれば、外見なんて全然関係ないと思うんです。でも、私は多くの人たちに「人はみな平等」「自分らしく、もっと自由に生きていいんだよ」というメッセージを伝えていきたい。メイクすること、オシャレすることを、人々に注目してもらうための手段にしよう!と考えたんです。

 

僧侶は質素であるべきだと思われがちですが、華厳経(けごんきょう)というお経の中には、「ボロでは人は話を聞いてくれないだろう。優れた高徳は、優れた容姿があってこそ」と説いている一説があるのです。やはり、身だしなみを整えることが周囲の信頼につながるという一面がありますし、美しく装うことで自分に自信を持ち、強くなれたりもする。私自身、メイクしたり、オシャレしたりすることが大好きですが、今ではメイクやオシャレをすることが「人に話を聴いてもらって、社会を変えていくためのツール」にもなっているのです。

 

見た目が変ると、心も変わる。自分を信じるためにメイクしよう!

 

かつて私は人から「おかしい」と思われたり、無視されたり、自分の話を真剣に受け止めてもらえなかったり、とても残念な経験をしました。今、それと似たようなつらい思いをしている人がいるのなら、「人間の価値はセクシャリティや年齢、体形などによって、上がったり、下がったりするものではないですよ」と伝えたい。この世に生きている人たちは、みな平等に価値があるのですから、自分を劣等だと思う必要はないんです。

 

そして、自分のことを信じるためには、メイクやオシャレをして「見た目から変身する」のもありだと思います。見た目が変わると、「私も素敵になれるんだ!」と自分に自信を持てるようになり、心が動くと思うんです。私はずっと自分の好きなところが見つけられず、友人に「あなたの素敵なところを考えるから、私の良いところも教えて!?似合っていた洋服など、目に見えるところ10個、明るい性格など、目に見えないところを10個を言い合いましょう」と提案しました。

 

私はこの作業を「ほめ殺しゲーム」と呼んでいます。こんな方法で、私は自分の良いところを輝かせるメイクやファッションが見つかりました。あらゆる方法で自分を励まし、自己肯定感を育てることによって、きっと、あなたの道が開けるチャンスが生まれますよ!

 

たとえば、私が子どもの頃に大好きだったシンデレラは、ドレスを着なくても美しかったかもしれないけれど、ドレスを着てお城に出かけたことによって道が開けたんじゃないかな!?って。シンデレラのお話に出てくる“魔法使いのおばあさん”じゃないですけれど、メイクを通して、そして「人はみな平等に救われる」という仏教の教えを通して、自分らしく生きていきたい!と願っている人たちを励ますのが、私の役割かなと思っています。

 

お話をうかがったのは

西村宏堂
西村宏堂さん
僧侶
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1989年生まれ。ニューヨークのパーソンズ美術大学卒業後、アメリカを拠点にメイクアップアーティストとして活動。ミス・ユニバース世界大会などでメイクを担当する。2015年、修行を経て浄土宗僧侶となり、現在は、僧侶であり、メイクアップアーティストであり、LGBTQでもある独自の視点から「性別も人種も関係はなく、人は皆平等」というメッセージを発信。著書に「正々堂々 私が好きな私で生きていいんだ」(サンマーク出版)

 

 

■Youtubeで、西村さんの講話を見ることができます。

全日本仏教青年会全国大会2022特別講演:西村宏堂「本当の多様性ってなんだろう?」
全日本仏教青年会全国大会2022特別講演:西村宏堂「欲は″良くない″って本当?」
全日本仏教青年会全国大会2022特別講演:西村宏堂「イライラしても慈悲の心を持つヒント」

 

取材・文/大石久恵

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