「どうでもいいか」というのは、二股をかけてる相手二人ともあまり思い入れがないというパターン。「バレたらバレたで、ま、いっかー」という感じですね。万が一、男同士が鉢合わせになって修羅場になっても、「二人でケンカしててください。私、帰るから」みたいな。
一方、「どうしようもないか」は、二股をかけざるをえない状況だということ。「こっちは金があるけど、こっちはイケメンだし、どっちも選べな~い!!」とか(笑)、「自分の仕事の戦力となるのはこっちだけど、癒されるのはこっち」とか。何か必要に迫られて二股をかけてる場合ですね。
じつはこのセリフ、『プライド』で菜都子ママが息子の蘭丸に言った言葉なのよね。蘭丸は史緒ちゃんのことが大好きで、いい感じだと思っていたのに、史緒ちゃんがレコード会社御曹司の神野さんと婚約しちゃったもんだから、「二股かけられた!」って当たり散らしていたら、ママにこう言って諭されたのであった。
史緒ちゃんは、実際には二股かけたわけじゃないけど、やっぱり必要に迫られて神野さんを選んだ。彼女がオペラ歌手として生きていきたいと思った時、どうしてもスポンサーとなる人が必要だった。それが神野さんだったわけですね。ある意味、契約結婚みたいなものだけど、史緒ちゃんがオペラ歌手として生きるには、神野さんと結婚するしかなかったのよね。だから二股は、【神野×蘭丸】じゃなくて【オペラ×蘭丸】ですのよ。
わかるわ~、その感じ。私も若かりし頃“必要に迫られて”二人とおつきあいしたことがあったんだけど、当時私はそれを「保険」と呼んでました。
だって仕事がたいへんでたいへんでたいへんで、「終わったらデートした~い!!」って、それを楽しみに頑張ってたのに、いざ仕事が終わって連絡したら、本命に「忙しくて、今日は会えない」なんて言われたら悲しいじゃない。そんな時のためにやっぱり保険は大切(笑)。
掛け金はかかるけど、その価値はある。意外に奥が深い二股理論でした~。
「プライド」
取材・文/佐藤裕美