昔から「すべての出来事に偶然はない」って言いますよね。みんな必然だって。私もそう思うことがあります。たとえば何かしら試練に出あった時。
「ああ、私はこの分野で必要なのに足りないところがあるから、そのエクササイズとして、神様に特訓されてるのかも…」と思うのよね。実際、その試練をクリアすると、同じ試練はこなくなる。それで「あぁ、エクササイズ終わったんだ」と喜ぶんだけど、しばらくすると次のエクササイズが!!しかも!前よりもハードルが高い!うっそ~~無理かもぉとか泣き言をいいつつ、ボロボロになって何とかクリアすると、またもや次の…なんてことをやってるうちに、気がついたらいつの間にか自分の次元が上がってる!
だからですね、すべてのことに無駄なことはないと思っております。
アーティストの場合、仕事に関して突出した才能があれば、あとはどうでもいい…みたいな人がいるけれど、私はそうは思わないタイプです。
体育だけ100点で、数学は20点っていうのはイヤなのよ。24時間マンガ家はやってられないし、「やっぱマンガ家って常識ないよね」とか言われるのはイヤなんです。漫画バカって言われるのは良いんだけど、非常識と言われるのは嫌なのよね。この微妙さを解っていただけるでしょうかねぇ?
私の理想としては、だいたいどの分野も平均くらいキープして、私はこうですと自信をもってアピール出来るもの一つと、ややイケてるものをひとつ作っておく。本命と控えですね。
軸がひとつだと、よっぽど天才で幸運に恵まれている人以外はうまくいかなくなる時がくるんですよ。だから、ヤバい時のためにも私は人生の保険をかけておきたいの。本命がダメな時は控えで乗り切る!そうすると、人生そこそこうまくいくな、と20代の頃から考えてました。
あとね、ものすごく大きな欠点は時として長所まで駄目にしてしまうことが多々あるのよ。世の中、意地悪な人が多いから、何かとケチをつけるじゃない?「あの人、歌うまいけど、漢字読めないじゃん」とか悪口を言う。
だから!できるだけ人から文句を言われにないように、大きな欠点は自分で潰して生きていかないと、とくに自由業の場合、やばいなとずっと考えていました。
しかしながら、世間一般ではいかがなものかと言われるような性格、例えば口が悪いとか、性格がちょっと歪んでいるとか、気が強い、理屈が多いなどのわたくしの性格はですね、そういう自分が好きなので治す気はないです。言われても「そうなんですよぉ」って受け止めるし、そんな性格だから漫画家になれたんですよと開き直ってしまいますね。(笑)
ということで、不得意な分野はないに越したことはありません。ひとつずつ克服していくと、違った景色が見えてきますよ。
「天使ノツラノカワ」コーラス2001年8月号扉
取材・文/佐藤裕美