20代の頃、我が家で彼とケンカして、帰る彼。目の前でドアは閉められ、怒りに震えムカつく私。あーこのムカつきを思いっきり何かにぶつけたい!壊したい!!玄関のたたきで何かを叩き割ってやる〰️〰️って探し始めたんだけど…
手にした皿がちょっと高かったり、ティーカップがお気に入りだったり、これは海外旅行で買ったやつとか、だんだんケチと理性が戻ってくる始末。
壊したい!気前よくガンガン叩き壊したいけど、で…割れた食器を掃除するのは誰?一人暮らしなんですけどぉ。やっぱ私だよね。
自慢じゃないけど元ソフトボール部よ、力は強いのよ。めちゃくちゃ破れてあちこち飛び散るよね。
粉粉になった破片を回収しきれずに、うっかり踏んでザックリ足に食い込んだらむっちゃ痛いし、もしかしたら病院で破片をとってもらわなきゃ自分じゃちょっと無理かもetc…
どこまでも続く妄想にすっかり我に返って、なかったことにしました。一時の感情に溺れられない私…周囲に誰もいなかったけど、すごく恥ずかしかった(笑)。
でも、夫婦ゲンカとかで、お皿とか投げる人がいるように、破壊行為って、爽快感があるよね。花瓶投げてガシャーンとか、怒りで鉛筆ポキーンとか、すごく気分がすっきりすると思う。ただ、残念ながら、気分が晴れるのは一瞬だけ。
一方、何かを創造するのって、地味~な作業をコツコツと、終わりが見えないほどどこまでも続けなきゃいけないんです。ゴールに到達するまでは、実に面倒くさい!時間がかかる!最後の最後に達成感は得られるけど、その工程がつらい!
そりゃあね、創作過程を楽しむと言う名人芸があればいいんだけど、残念ながら私にはその余裕はなかったわ。まさに締め切り地獄ですね。
ただ、作り上げた時の手ごたえや達成感は、こたえられないくらい快感なのよ。えらい私!がんばった私!我が人生に悔いなしの、脳内自画自賛の嵐です(笑)
つらかった分だけ幸せも大きいし、しかもその快感は瞬間芸じゃなくて、ず~っと長~くしみじみと続くの。つまり何が言いたいかっていうと、破壊行為のむなしい~ってこと。後片付けは大変だし(笑)、そのエネルギーがあるなら、そのパワーを創作に使いたいと思う一条でした。
掃除、洗濯、料理の三大家事の中で、創作の料理は好きだけど、片付けやきれいにする掃除洗濯はできればやりたくないんだけど、人に頼むのも好きじゃないのでしぶしぶやっております。
それにしてもあの時、何も割らなくてホントよかった~!!
「有閑倶楽部」集英社文庫<コミック版>
取材・文/佐藤裕美