私が描く漫画のキャラクターには、性格の悪い、いけ好かないヤツが結構出てくるけど、ただただ嫌な奴っていうのは描くのが嫌で、どこかかわいげがあったり、よく知るとなるほどねって思われるようにキャラ作りをしていました。
というのも、100パーセント悪!っていう人間はこの世に存在しないのでは、と、一条は思っとります。そんな人がいたらそれはもう人間じゃなくって化け物だわ。
どんなに悪い人でも、じつは娘のことを溺愛しているとか、お母さんに弱かったりとか、ペットだけは可愛がるとか、好感のもてるところがあったりするわけで。
だから人間というものは、善と悪の間でつねに揺れ動いていて、「善寄り」の時もあれば、「悪寄り」の時もあるし、朝は機嫌がよくって優しい善人だったのに、夜に酒飲んで暴れ回る悪人になったりもするじゃない?
朱に交われば赤くなるという言葉の通り、環境によって善寄りだった人が悪になったりすることもあるだろうし。人の心って水平器みたいに、あっちいったり、こっちいったりしてて…ふぅ〰️〰️聖人君子の道は遠いわ。
ちょっと話はそれるけど一条の自論では、「酒を飲んで人格が変わる人の本性は飲酒中」です。さわやか好青年が酒飲むと暴れるということは、普段は理性で押さえている暴れん坊がアルコールのせいで表面化しただけです。
だから、酒飲むと人格が変わる人には注意せねばだけど、一条の長い飲酒生活でも、普段悪くて酒飲むと善人になる人って…見たことない!
ええっと…話を戻してと、今、『プライド』の萌ちゃんを思い出してしまったけど、彼女のお母さんは、アル中気味で、男癖最悪で、萌ちゃんは、すごい苦労をしてきたよね。
いやぁ、あんな境遇なら私もグレるわと思うから、萌ちゃんサイドに立ったら痛々しくてかわいそうに見えてこない?萌ちゃんは、ただの性悪の女ではないと思っていただけるように、描いたつもりであります!
つまり大事なのは、相手をよく知ること。いろんな角度から見ることで、その人の印象って変わるから、短所ばかり見ないで長所も探してあげてくださいませ。
ついでに言うと、萌ちゃんのお母さんもひどい女だけど根っからの悪人じゃないと思われるように、最後にサービスしました(笑)。
あの人は女としての幸せばかりを求めて、母としては最悪だったけど、最後にやっと母になって死んたって話です。??!?って人は、是非!!一条の最後の連載『プライド』をお手元にお取りくださいませ♡ヽ( ゚∀゚)ノヨロシク☆
でもまあ、こうして人の痛みがわかる人になれば、きっといろんな人の新たな一面が見えてきて、お得かどうかは…もちろん、あなた次第ですけどね。
「プライド」集英社文庫<コミック版>
取材・文/佐藤裕美
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「不倫、それは峠の茶屋に似ている
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