世界で最も美しい公共図書館?って聞いたらどんな建物を想像しますでしょうか?
金沢には2012年に世界で最も美しい公共図書館25選に選ばれた金沢海みらい図書館があります。
先月、この図書館で著名な建築家のお三人を迎えてのフォーラムがありました。
まず、最初にご紹介するのは金沢21世紀美術館の設計者、SANNAの代表者でもある妹島和世さんです。
妹島和世さんの作品としては21美が有名ですが、瀬戸内海の直島で妹島さんと西沢立衛さんのSANNA設計の『海の駅なおしま』を見たことがあります。シンプルで開放的な作品が好きです。その妹島さんのお話が聞けるというのでハガキで、応募しました。
そして、金沢市民芸術村の設計や金沢駅東広場の監修をされた金沢工業大学の水野一郎教授。会場となった「海み らい図書館」の設計者の工藤和美さんを迎えて『公共建築は、ただのハコか?』をテーマに建築フォーラムが開催されました。
フォーラム会場はすでにたくさんの人でいっぱいでした。
建築関係の方々やら、建築を専攻している学生らしき人達など幅広い年齢層が集まってきていました。
金沢市長の挨拶からはじまり、まずは三人の建築家がそれぞれ、ご自分の代表作の建築にかかわるエピソードなどを語られました。
金沢海みらい図書館に関して設計者の工藤さんから・・・
住宅街の工場跡地という立地だったため、ご近所に建つ家々と離すように作ったとのこと。実際に行ってみると図書館の後 ろ側には住宅がたくさん建っていましたが、図書館の影になるようなお宅はありませんでした。また、図書館の内部も本が壁に並ぶことをやめて本と建築物を離すように設計されたそうです。
そして、図書館でクラシックの演奏会を開いたことがあるそうですが、その時のクラリネット奏者の方に「ひとつひとつの穴に天使がいる」と言われたそうです。
およそ、図書館のイメージとはかけ離れた外観ですが、内部は、自然光が丸窓から降り注ぐ、すてきな空間でした。あたかも船の中にい るような感じです。
金沢21世紀美術館に関して妹島さんから・・・
街中の交流館と美術館。この二つをあわせたものを金沢市が希望していて公園のような建物を作ったとのこと。割烹着ではいれる美術館。どこからでも表ですよ。という開放感。それを数年前に日比野克彦さんがやっていた朝顔プロジェクトをみて(21美の外側のガラス面を朝顔のグリーンカーテンで覆いました)公園になってきたな。と感じたとのことです。
金沢駅東広場に関して水野教授から・・・
年間降雨量の多いのが金沢の特徴。
なので雨でも困らないような構造にしたとのこと。
どの先生のお話も金沢ネタで身近な話題なのでとても興味深く聞かせてもらいました。金沢に住んでいる人々にはわからない、第三者の目でみた金沢を感じることができました。
「金沢は伝統的な都市だが、古い都市ではない。戦後建築だけで金沢に集まっている」とのことです。
先生方のお話のあと、少し休憩に入ります。今回のフォーラムに参加した人は、「建築F」と書かれたシールを目立つ場所につけます。
本来は撮影禁止の図書館内部ですが、シールを貼っていれば撮影をしてもいいそうなので参加者は思い思いにカメラを構 えます。
一人で黙々とお勉強のできるカウンターはどこもいっぱいでした。
近くにこんな図書館があったら毎日来て読書三昧したいくらいです。
こどもの本コーナーは棚も低く、圧迫感がまったくなくて
窓ガラスも大きくひろがっていました。
天井も高く、思いっきり背伸びできます。
以前、中田英寿さんが、パソコンメーカーのCMで、こ の金沢海みらい図書館をロケ地に利用されたことは聞いていましたがヒデのおめがねにかなったと思うとなお、うれしいです。
休憩のあと
三人の先生方の公共建築にかかわるご意見を伺いました。
公共の建築とは・・・誰のためのものか?
設計の打ち合わせの段階で市役所の職員と話していても
そのうしろにある市民や街のことを思って設計されるそうです。
妹島さんのお母様が金沢のご出身らしく
「弁当忘れても傘わすれるな」の言い伝えをご存知でした。
その金沢のくもりの多い天気の中ではぐくまれた
「金沢らしさ」を大切に していきたいなあと
感じた次第でした。
写真は、ある秋の日の
しいのき迎賓館横のアメリカ楓通りと
石川四高記念文化交流館です。
こんな青空もありますよ~♪
◆金沢海みらい図書館
http://www.lib.kanazawa.ishikawa.jp/