日本家屋の美しさをとどめた和館と、独特の雰囲気を持つ洋館が、緑豊かな庭園を囲むように建っている「起雲閣」。多くの文豪たちに愛された歴史もたくさん残っていました。
こちらは志賀直哉、谷崎潤一郎、そして熱海と言えば「金色夜叉」の尾崎紅葉などが泊まった部屋。
10畳ほどの和室と、書斎にちょうど良さそうな小部屋が繋がっています。この部屋で美しい庭を眺めながら作品に取り組んでいたのでしょうか。
更に先へ進むと、和館「孔雀」があります。
将棋の対局が行われた部屋で、いかにも純和風の落ち着いた雰囲気です。どの部屋からも庭が眺められるようになっていて、日本建築の素晴らしさを実感できます。
そして、急な階段を上がって2階へいくと「大鳳」の間が現れます。
ここは、太宰治が心中の3カ月前(昭和23年3月18日から2泊)、山﨑富榮を伴って宿泊したと言われている部屋です。10畳と8畳の二間続きの座敷で、庭側の三方に畳廊下が廻っています。
大正ガラス越しに見える松、緑が生い茂る庭を、二人はどんな思いで眺めていたのでしょうね。みなさんも立ち止まって下を見下ろしていました。
「大鳳」の窓から見える庭。当時はこの先に広がる海も見えたのかもしれませんね。
起雲閣の庭園は、池泉回遊式庭園(ちせんかいゆうしきていえん)とよばれていて、大きな池を中心に、園内を回遊して鑑賞する庭園になっています。時間があれば庭園を散策しながら、外から建物を鑑賞するのもおススメですよ。
サンルームのある洋館。屋根の上にある小さな煙突が可愛いと人気なのだそう。なんだかサンタさんが顔を出しそうな形ですものね。
4月になると庭の芝生も青々として、庭が一層美しく見えますよ。
ガイドさんによると、旅館廃業後は建物を壊してマンションにする計画があったとか。でも古き良き時代の建物を残してくれて良かったです。
入館料510円にも関わらず、とても見応えのある施設でした。ここは見に行く価値ありますよ。