軽井沢の魅力のひとつに、古きよきものを大切に管理・保管し現代の人達に伝えている一方で、新進気鋭のシェフのお店やアウトレットモールなど現代的なものを柔軟に受け入れるという懐の深い場所であることがあげられると思います。
軽井沢には多くの歴史的建造物が残されていますが、軽井沢別荘建築史の中で、最も上質な建物と言われているのが、“睡鳩荘”です。睡鳩荘は昭和6年に旧軽井沢奥に、日本に多くの西洋建築を残したアメリカの建築家W・M・ヴォーリズの設計により建てられ、ボーヴォワールやサガンの翻訳家として活躍された朝吹登水子氏が別荘として使用していました。
2008年に軽井沢塩沢湖タリアセンの湖畔に移築されています。
ほとんどが元の材料を使って再築され、調度品も実際に使用されていたものが残されています。
湖畔にたたずむ姿はエレガントで女性的ですが、コンクリートの大きな煙突は強さを感じますね。
別荘として使用されていた際は山の中でしたが、最初からここに建築が予定されていたのではと思うほど、周りの風景に溶け込んでいます。
こちらの美しい別荘まるごとを、華道家假屋崎省吾さんが気品あふれるお花で飾られるイベント” 假屋崎省吾の世界in軽井沢“が毎年6月から7月にかけて毎年開催されています。
メイン花材はバラ、トルコキキョウ、ゆり、ひまわり、スモークツリーなどをふんだんに。
一階の豪華なサロンには、浅間石を積み上げられて作られた暖炉や朝吹さんがフランスで購入した生地でつくったとされる美しいカーテン、軽井沢彫が施された棚などが配置されています。通常展示されている調度品はそのまま使用され、そこに假屋崎さんの美しい花が色を添えられます。
假屋崎省吾さんの展示会といえば目黒雅叙園などでの雅やかな華展というイメージですが、この睡鳩荘という背景・舞台を生かした、華美になりすぎず、清楚で凛とした作品たち・・・
お部屋に入った瞬間、息をのむ美しさ。華やかさと清楚、このバランスはとても難しいと思うのですが、さすが假屋崎さんでなければ作れない世界観。建物とお花の一体感が素晴らしい華展でありました。
二階の書斎や寝室のお花のしつらえ方は、私たちの日常でもと入れることができそうなアレンジもたくさんあり、とても参考になります。
居心地のよい住まいには、お花は不可欠だな~と、お花と共に過ごす時間は身体も心も癒され安らぐものだということを改めて感じました。
長期にわたるイベント期間中も、お花の管理は完璧なのはさすがです。
イベントがなくても睡鳩荘の見学は可能ですが、通常はあの立派な暖炉のそばまで行くことはできません。假屋崎省吾さんの作品も撮影可能。しかも作品の前での記念撮影もokでした。
軽井沢の旅というと、最近は食やお買い物が中心となってまいりましたが、古きよきものを訪ねる旅もおすすめです。
※イベントは7月3日で終了しています
軽井沢タリアセン
http://www.karuizawataliesin.com/
假屋崎省吾さんのHP
http://www.kariyazaki.jp/