パーマやゆるふわヘアの流行などで、とかさないほうがいいのでは? と思ってしまった人が多いようですが…。リンパを流して代謝を活性化させたり、ストレスを緩和したりと、頭皮を程よく刺激して、白髪のケア効果も期待できるのがブラッシングです。生活の中にブラッシングをもっと取り入れて、髪も体もヘルシーに整えましょう!
お話を伺った人
本山典子さん Noriko Motoyama
1975年生まれ。一般社団法人国際毛髪皮膚科学研究所代表理事。毛髪診断士・認定講師。ブラシを使った独自のシャンプー法が国内外で評価を得ている。著書に『毛髪診断士のときめき美髪BOOK』(メイツ出版)
ブラッシングは、髪にも頭皮にも、 体調改善にも有効!
「白髪は色素幹細胞が色素を作るのを休んでいる状況。ブラッシングは頭皮の血行を隅々までよくして活性化させるうえに、適度な刺激によるリラックス効果も得られるので、もっと積極的に取り入れていただきたいですね」と本山典子さん。ストレスの影響を強く受けるとされる白髪。肌当たりのいいブラシで行うブラッシングは、白髪対策にうってつけです。 「ブラッシングをすると髪が傷むというのは誤解です。日本にはくしの文化があるように、髪をとかすことは美容の原点。今は皆、スマホやパソコンの見すぎで頭皮下の筋肉が縮みやすく、また更年期世代以降は、ホルモンの影響で自律神経も乱れがちですから、体調を整えるための習慣としてもおすすめです」
神経への タッチセラピー
皮膚の下には神経が走っていて、触れると脳に"熱い"とか"心地よい"という感覚を伝達しています。「頭部には、自律神経に働きかけて整えるツボがたくさんあるのに、髪にじゃまされて触れにくいんです。だからブラシで隙間なく頭皮に触れると、心地よい感覚が脳に伝達され、ストレスを引き起こすホルモンや、体内で悪さをする活性酸素の低減につながります」
筋肉を動かし、 リンパの流れを活性化。 次の髪を育てる助けに!
ブラッシングの最大の利点は、頭皮の下の筋肉を動かすこと。「帽状腱膜(ぼうじょうけんまく)という頭のお皿の部分には筋肉がほとんどないので、血行やリンパの流れが滞りがち。ブラッシングで髪の生え際の筋肉を動かし、血液やリンパの流れを助ければ、隅々まで栄養が行き渡り、次に生えてくる良質な髪を育てることにつながる可能性があります」
脂分が馴染んで ツヤが増す
ブラッシングは、これから生えてくる髪だけでなく、今生えている髪にももちろん有効。「頭部は脂分の多いところでもあります。ブラシで髪のもつれを取りながら、毛先の先端まで自分の脂分を馴染ませられる効果も。毛先のパサつきや広がりを抑え、つややかな髪に整えられます」
NG
横にこするのはNG。 上→下にとかすのはOK
「横にこすると傷むので、髪のもつれは無理にとかさないで。髪のキューティクルは根元→毛先に向かって流れているので、その流れに沿ってブラシでとかせば傷みません」 次回はやればやるほど代謝も上がるスカルプストレッチ・ブラッシングをご紹介します。
撮影/フルフォード海 ヘア&メイク/薄葉英理(ロッセット) モデル/松原昇子(MyAge/OurAge美活部) スタイリスト/日置 彩 イラスト/sino 構成・原文/伊熊奈美