顎関節症や頭痛、肩こりなど、体にさまざまな不調を引き起こす噛みしめ。治療法としてはマウスピースが一般的ですが、マインドフルネスを活用した呼吸法も有効なのだそう。石井久恵先生にくわしく教えていただきました。噛みしめに悩んでいる方はぜひ参考にしてみて。
マインドフルネスで
嚙みしめ対策を
「嚙みしめは歯並びの乱れや歯のすり減りなどのほか、顎関節症や頭痛、肩コリなど、さまざまな不調を引き起こします。ストレスは嚙みしめや歯ぎしりを助長しますが、実は最近になって、奥歯を嚙みしめるとストレスホルモンが減少することがわかってきました。つまり私たちは知らない間に、歯を嚙みしめることで自身のストレスを軽減していたのですね。
嚙みしめの治療法として一般的なのものに、マウスピースがあります。が、それ以上に望ましいのは、根本のストレスをリセットすること。私は臨床心理士でもあるので、患者さんには瞑想をすすめています。なかでも有効なのが、マインドフルネスを活用した呼吸法。マインドフルネスとは、平たく言えば『今この瞬間のことだけを考える』というもの。過去や未来のことは考えず、目の前のことだけにフォーカスするのです。瞑想といってもやり方は簡単で『吸って・吐いて』の呼吸に集中するだけ。ペースも自分なりでかまいませんし、1日10分程度でOK。毎日続けると、ストレスホルモンが出にくい脳になるといわれています。
瞑想をしてすぐに嚙みしめが治るわけではありませんが、手軽で道具も不要なので、やってみて損はないと思います」
石井久恵さん
54歳・歯科
2丁目石井歯科医院
次回はTCH(上下歯列接触癖)を解消するマッサージをご紹介します。
撮影/ケビン・チャン イラスト/内藤しなこ 取材・原文/上田恵子