話題のまつ毛美容液、スキンケア、ブルーライトの問題、まぶたのたるみ対策、白内障手術 etc.…。
目と目まわりの気になるあれこれについて、眼科医と美容皮膚科医、3人の先生方に「本当のところ」を語っていただきました !
大木美佳さん
Mika Ooki
50歳 美容皮膚科・再生医療
ナチュラルハーモニークリニック表参道
「現在、目の不調は特にありません。普段はUVカットの近視用コンタクトレンズを愛用しています」
宮澤優美子さん
Yumiko Miyazawa
53歳 眼科
表参道内科眼科
「白内障のまぶしさを感じるようになり、メガネでUV対策をしています。紫色の光を2倍以上カットする無色のレンズですが、快適です」
坪内利江子さん
Rieko Tsubouchi
55歳 皮膚科・美容皮膚科
銀座スキンクリニック
「コンタクトレンズやメガネの調整で、眼科検診は半年に1度。強度近視のため、飛蚊症※がひどいときには眼底検査も年に1度受けます」
※〈飛蚊症〉
「飛蚊症は、網膜剝離の初期症状など、場合によっては緊急性の高いものになります。MyAge/OurAge世代では加齢による生理的現象であることが多いですが、いつもと違う見え方になったらすぐに診察を受けてください」(宮澤先生)
人気のまつ毛美容液は
使い方をきちんと守って
坪内 今、まつ毛美容液が大人気ですね。なかでも愛用者が多いのが「グラッシュビスタ」。使いはじめはまぶたが赤くなりますが、この赤みは炎症ではなく単なる血管拡張なので2週間で収まります。
宮澤 眼圧を下げるための緑内障治療薬にまつ毛を伸ばす作用があることがわかり、まつ毛美容液が誕生しました。一方で、使うと目の周囲が黒ずんでしまう人もいるので注意が必要です。
坪内 これは処方薬なので、医師の指導を受けて使用すべきですよね。付属の器具でなく爪楊枝を使ったり、早く伸ばしたいからと量を増やしたりすると、液があふれて皮膚につき、色素沈着などの原因になってしまいます。まぶたの脂肪が減ってくぼむ例もあるので、うちのクリニックでは写真を撮って「また2週間後に来てください」と言っています。
大木 平均で2㎜伸びるといわれていますね。日本人のまつ毛の長さが平均約6㎜、欧米人が9㎜だから、欧米人並みの長さになる。
宮澤 きれいに伸びる方もいれば、バラバラに伸びる方もいます。
坪内 最初の1カ月を過ぎて、まつ毛の成長の周期が整ってくるとそろってくるようですね。いずれにしても、使い方をきちんと守ることが大切だと思います。
次は先生たちが目の健康のために実践していることをご紹介。
紫外線とブルーライトを
カットする対策を
大木 私は目の健康のために、抗酸化作用のあるアスタキサンチンのサプリメントをとっています。便秘にも効くんですよね。ほかに眼精疲労に効果があるというルテインとゼアキサンチン、さらなる抗酸化効果をねらってメラトニンなども時々。
坪内 私は強度の近視+乱視+老眼でドライアイ。アレルギーと、時に飛蚊症もあります。ルテインをとるのを怠ると、途端に目の疲れを感じます。また、ドライアイ※用の点眼剤は目がかゆくならないように、防腐剤フリーのものを使っています。
※〈ドライアイ〉
「上下のまぶたには、涙の中に脂分を排出するマイボーム腺が縦方向に走っています。横方向に強くこすってしまうと、腺腔が塞がって涙液脂分が不足。ドライアイの症状が出やすくなってしまいます」(宮澤先生)
宮澤 敏感な人は、1回きりの使い捨ての点眼剤がいいですね。私は20年来のアレルギー持ちです。ハウスダストがアレルゲンで、じゅうたん敷きのクリニックに出勤すると途端に目がかゆくなる。つねに目薬が欠かせませんし、症状が強いときは漢方薬の「小青竜湯」を飲んでいます。
大木 目には紫外線がよくないといわれているので、コンタクトレンズはUVカットのものを愛用し、外出時はサングラスを欠かしません。自宅では夜間のブルーライトをカットするために、LEDの電球は不使用。スマホにもブルーライトカット用のフィルムを貼っています。
宮澤 ブルーライトは目の中で散乱し、黄斑部(網膜の中心)にきちんとした像を結べなくするといわれています。そのチラつきをなくすために、ブルーライトをカットするメガネなどが推奨されているんですね。
大木 ブルーライトは太陽光など自然界にも存在していて、覚醒を促す作用もあるんですよね。
宮澤 そうなんです。夜になってもスマホやパソコン作業などでブルーライトを目に浴び続けると、睡眠の質が低下するといわれています。
坪内 目の症状でいうと、加齢とともにまぶたが下がってくる眼瞼下垂の悩みもよく聞きますね。特にコンタクトレンズ愛用者がなりやすい。
大木 目のまわりの眼輪筋は皮膚についているだけなので、こすったり引っ張ったりしていると、徐々に元に戻らなくなってたるみますからね。あと、加齢とともに眼窩内の脂肪が下に落ち、涙袋ならぬ"目袋"ができる人もいます。私は肌への摩擦を減らすために、メイクはアイラインとマスカラしかしません。ファンデーションすら塗らないです(笑)。
目のまわりのケアで絶対にやってはいけないこととは?
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目まわりは
絶対にこすらない
坪内 目の周辺の皮膚は薄いので、マッサージをしたいなら、クリームをたっぷり塗り、その上を軽くなでるくらいで十分だと思います。
大木 私自身はアイクリームを塗りませんが、患者さんに塗り方を聞かれたら「手の甲にクリームをのせて両手の甲で軽くこすり合わせ、その甲でポンポンと目の周囲を触る程度にして」とアドバイスしています。私は頰杖もつかないし、洗顔後も軽くタオルを当てるか、ティッシュに水分を吸わせる程度。顔には極力触らないようにしています。
宮澤 すごい、徹底してる! でも肌にその効果が表れていますね。きめが細かくて、つややかで。
大木 ありがとうございます! 私の顔にはもともと肝斑があって、ファンデーションを塗ると出てくるんですよ。ファンデーションを塗り、粉をはたき、夜メイクを落とす。この一連の作業をするだけで出ます、私の場合はね。
坪内 摩擦はダメですよね。だからクレンジングも量をたっぷり使うことが大事。私はファンデーションもクレンジングも「ラ ロッシュ ポゼ」の製品を使っていますが、お湯である程度落ちるので、メイクを落とすために肌を強くこすることはしません。ファンデーションの落とし残しがあるほうがまだマシ(笑)。
大木 そうそう。今は化粧品も質がよくて安全なものが多いから、少々肌に残っていても問題ないですよ。マスカラもゴシゴシ落とすとまつ毛の負担になるから、お湯でスルッと落ちるタイプがいいですね。
坪内 2層に分かれているようなアイメイク用のリムーバーは、強すぎるので絶対に使いません。
宮澤 私は眼科医なので、目の負担になるアイメイクはほとんどしないですね。マスカラも塗りませんし、まつ毛エクステやつけまつ毛もしません。あまりまつ毛に負荷をかけると、それこそ眼瞼下垂の進行を早めてしまいますから。人それぞれ、何を優先するかだと思います。
次回は鼎談の続き、目や肌のための栄養などについてご紹介します。
撮影/鈴木正美(studio orange) 森山竜男〈鼎談〉 取材・原文/上田恵子