目と目のまわり対策について、眼科医と美容皮膚科医のみなさんはどのようなケアを行ない、気をつけているのでしょうか? 栄養のことから白内障手術まで、知りたい話題が盛りだくさん。ぜひ参考にしてみてください。
化粧品カウンターではなく
まずは皮膚科で相談を
坪内 肌も、ケアしすぎるくらいなら放っておくほうが、きめが整ってきれいになりますものね。目まわりは敏感だから特に。
宮澤 そうですね。間違ったケアや過剰なアイメイクが原因で、眼疾患が引き起こされることもあるので気をつけてほしいです。
大木 皆さん、肌にトラブルがあっても皮膚科に来ないで、化粧品カウンターに行ってしまうのも困りものです。そして口をそろえて「私、敏感肌なんです」と言う。日本人の70%は自称・敏感肌なんですけど、「どこで言われましたか?」と聞くと「化粧品カウンターです」って。
坪内 皮膚科に来ても「この程度で来てもいいんですか?」と遠慮がちにしている。赤みでもかぶれでも、診察を受けていいのに。
大木 店頭に肌の水分量などを測る機械を置いているショップもありますが、本来、水分量を正しく測るのは大変なので、参考として受け止めておけばいいと思います。
宮澤 測定器で結果を見せられると、つい焦ってしまいます(笑)。
坪内 ですよね。「あれもこれも買わなきゃ!」と。
大木 あと、ドラッグストアやインターネットで売られている「ドクターズコスメ」と、クリニック処方のコスメは成分がかなり違います。クリニックで扱っているものは、特別な成分を好みの量入れられますが、一般販売のものには限界があるからです。「ドクター」とついていることで混同する人も多いですね。
坪内 クリニック処方の化粧品は診察を受けないと購入できないのが難ですが、今は遠隔診療が解禁になったので、スマホのモニターで診察して化粧品を送ることもできます。地方に住んでいる人は、そんなシステムを利用するのもよいと思います。
「マスカラは、目まわりにクレンジングの負担をかけないフィルムタイプがおすすめ」(坪内利江子先生)
次のページではコラーゲンを作れる体づくりについてご紹介。
コラーゲンを作れる
体であることが大切
宮澤 結局、肌のお手入れは「何もしないのが一番」ということなんでしょうか?
坪内 保湿して、紫外線をシャットアウトしていれば十分だと思います。
大木 そこにプラスするとしたらコラーゲンですね。結局、眼球も血管も皮膚も全部コラーゲンでできている。だからそれを作れる体にするには、材料となる動物性のタンパク質、鉄、ビタミンCをしっかりとるのが基本。この3つのうちひとつが欠けてもコラーゲンは作れません。
宮澤 やっぱりお肉ですか。
大木 はい。鉄分とタンパク質が入っているステーキを食べて、安いサプリメントでいいから、ビタミンCをせっせと飲む。
宮澤 ビタミンCは、毎日果物を食べる程度では足りないですか?
大木 アンチエイジング的にいうと足りないです。哺乳類がビタミンCをとると、最初に副腎、すい臓、脳、血管などに使われ、皮膚に届くのは最後ですから。欧米ではビタミンBもDも食品に強化して、国民的に欠乏しないようにしています。でも日本はビタミンCを含めて、全体的にビタミンが足りていない。私の体感だと、毎日3g(3000㎎)のビタミンCを摂取すると肌は猛烈に変わります。日本で売られているビタミンCの約90%が中国産ですが、化学合成をしているのでさほど不純物はありませんし、たくさん飲むことが大事なので、ビタミンCに限っては安いものでもいいと思います。
宮澤 Cは質より量なんですね。
大木 そうです。たるみ治療用マシン「ウルトラセル」を使ったもので、線維芽細胞を刺激してコラーゲンを増生させる「SRR」「FRM」という施術がありますが、機械は「コラーゲンを作れ」と命令を下すだけ。コラーゲンを作るのは自分の細胞なので、タンパク質、鉄、ビタミンCがそろわないと、いくらたるみ治療にお金をかけてもコラーゲンを作ることができないのです。
「ハードコンタクトレンズ使用者に多い眼瞼下垂。保険適用での手術が可能です」(宮澤優美子先生)
目にこだわるドクターたちの鼎談はまだまだ続きます。次回もお楽しみに!
撮影/鈴木正美(studio orange) 森山竜男〈鼎談〉 取材・原文/上田恵子