口もとのシグナルを見逃さないで
夏の日差しが眩しい季節になりましたね。忙しい日常でも季節の変わり目は、体や心のちょっとした変化にも気をとめてあげたいものです。
口もとは体力や免疫力がダウンすると様々なシグナルを送ります。
例えば風邪を引くと口内炎になりやすいのは、体の抵抗力が落ちたことから体内に潜伏していた菌が再活性化して引き起こしたり、風邪からビタミン不足になって引き起こしたりと、ありがたくない状態になるから。
だから本格的に病気にかかる前に、そんな口もと予報に心をとめるって結構大事。
舌が荒れてざらつく・・・・・・なんてのも、予兆です。
忙しくてあまり睡眠をとれない日が読いているのでは? 睡眠不足から胃の調子が落ちて、舌が荒れてしまうのです。
休む時間を確保して睡眠不足解消に努めると、体の抵抗力が戻り舌の荒れも解消します。口中って意外と修復力に長けていて、粘膜は、睡眠で再生する能力が高まるのです。
また、ビタミン不足からストレスを感じやすくなることがありますね。特にビタミンB群は神経を落ち着かせる働きも兼ね備えています。
そのビタミンが不足してくると口角炎を起こしやすくなります。口角は唇の開閉を絶えずするところですから、一度かかると治りにくいのが口角炎。塗り薬とともにビタミンBの内服薬が必要となることもあります。
気がついたら、唇の角に炎症が起きていた・・・・・。
なんてことがあったら、口もとが心のシグナルを送っていることに気がついてあげましょう。
そんな時は、思い切って好きな映画を観ながらリラックスするとか、快適そうな睡眠グッズを見つけてみて睡眠時間と安眠を確保するとか、日々ダイエットモードにスィッチしがちなら、たまには甘い誘惑に溺れてみるとか( ^ω^)・・・
そうすると心が元気になります。
ストレスからの解放が、免疫力の強化や心の滋養につながって、結果、口もとの健康を取り戻せるのです。
一方で、解放しきれない心の問題や長年の鬱積したものが口もとに現れてしまうこともあります。例えば、頬杖。悩み多きコーネンキ世代。ま、悩みは万人共通ですけど。
この頬杖、意外とくせ者。片方の下あごに長年の力が加わると下顎の位置がずれて歯並びが悪くなったり、顎関節症の原因になることもあります。
毎日繰り返す癖の力は意外とパワーがあることをお忘れなく。
不満を蓄積させていると、思わず鏡に映る自分に驚くことがあります。への字口やスモーカズラインがこれに当てはまるでしょう。
への字口は言わずと知れた不満げな口もとの代表。口角の下がりが見るからに不機嫌そうで、口もと周りからほうれい線に至るまで、たるみの元凶になりますね。
この口もとは、老いも若きも関係なく老け顔に見えます。私も気をつけております。
口角を上げる意識を持つことで、気持ちと口もとのバランスが整います。
かたや聞きなれないのがスモーカズラインでしょうか。この言葉は海外のセレブの情報から聞こえてきました。
つまりはタバコを長年吸うことで、唇の周りに細かなたてじわが出来てしまうこと。ニコチンの皮膚へのダメージとビタミンCの減少が口もと周りの皺の原因になるのです。
また、喫煙の常習がなくても、口もとをすぼめる癖からスモーカズラインを作ってしまうこともあります。
イギリス王室のチャールズ皇太子の奥様カミラ夫人は、このラインがたくさん口もとにできてしまっています。喫煙するかどうかは不明ですが、彼女の溌剌としたスマイルはあまり目にしたことはありません。
心まで覗き見れなくても、何となくいつも不満な様子が唇のすぼめ方から垣間見えるのです。
本当はそんなつもりがなくても、自分の何気ない口もとの仕草に心が見え隠れするような。その癖が喫煙からくる唇周りの皺と同じ様相を呈してしまうのは皮肉なものです。
心に響く 精神科医斎藤茂太先生の言葉
歯科の世界は、患者さんの歯の健康を守り、失った部分をデザインし、構築し、健康へ導くことです。
プラス、私は笑顔を引き出すことも、口もと全体の部分のみならず顔や体の良い影響に関わってくると思ってます。
その笑顔! 歯や口もとのバランスを取り戻すと患者さんたちは驚くほどに美しくなるし、若くなる!
患者さんにカウンセリングで聞くと、「歯医者に行くのが怖く、悩み・・・、でも思い切り笑えないのもつらくて。つい口もとの欠点を隠す自分の癖と、歯のコンプレックスを克服したい」という希望で来院したとおっしゃる方が多いのです。
歯の治療で、見た目や口もとの健康回復を望むと同時に、前向きにより良く生きていこうとする患者さんたちの姿勢に感銘することも多々あります。
前向きな心は治療をスムーズに進ませ、笑顔の発信も増えていきます。キレイになっていく人を診るのは気持ちがいいものです。
精神科医の斎藤茂太先生の著作で「笑うとなぜいいか?」(新講社)の中には、笑うことの効能とエッセンスがたっぷり記されていて、読むと明るい気持ちになるんですが、
ひとつ笑えば若返り、ひとつ怒れば老けてゆく
このフレーズは心にビンビン響きました。ストレス過多や不規則な食事や生活に陥ると、笑顔を忘れそうになることがありますね。
心も折れるような出来事もある。コーネンキ世代は色々ある。でも怒って老けたらもったいない。
口もとから老けるのではなく、口もとから若返っていきたいと思います。
そこで、心にも効かせる歯ブラシを使った簡単エクササイズをご紹介します。
行うタイミングは朝。歯磨きが終わったら、歯ブラシを左右均等になるように犬歯で噛みましょう。
歯ブラシの柄が割り箸くらいの厚みだと噛みやすいです。もしも丸いタイプの柄だったら割り箸を代用してもOKです。
犬歯で噛んだらキープした状態で口角を上げましょう! グーーーーっと上げる!!
そのまま10秒ほどキープ!
キツイと感じるかもしれませんし、最初は中々上がりにくいかもしれませんが、段々と口もと周りの筋肉、特に咬筋と頬骨筋が引きあがり笑顔がキレイになります。
笑ったり話したりするときに口角も自ずと上がります。あと、写真撮影でもすごく良いスマイルを披露できますよ!
朝にするのがポイントなのは、顔のむくみの解消とともに交感神経にスイッチが入るから。
自然に代謝が高まって明るく元気に動けるようになります。同時に噛みこむ作業が口もと周りの筋肉を刺激するので、唾液の分泌も上がり、口中のバランスが良くなります。
年齢とともに口角が下がり気味になるのは、筋肉の衰えから来ると言われていますが、筋肉は鍛えたり刺激を与えることで活性化し、新たに活躍してくれるようになります。
良い笑顔を自分なりにプロデュースしていこうという心は、自分も周りも歯ッピーにさせていきます。
自分の気持ちがなかなか前を向かなくなってしまいがちなコーネンキ世代ですが、簡単なエクササイズをしたり、たまには自分を解放してストレスを発散したり、ゲラゲラ笑うような映画やテレビを観たりすることで心が元気になると、口もとが明るく変化していきます。
同時に自分の思わぬ癖とかストレスに気がつくと、口もとの不調を回避することができますね。
喫煙で変色してしまった歯をキレイにするために、禁煙をして歯のクリーニングやホワイトニングの治療に向かうとか、ストレスからの内臓の負担で繰り返す口内炎に心をとめて生活を見直すとか・・・。
未来を明るく生きるために、口もとから時々送られるサインは、心とからだ、ふたつのサインだと思ってみてくださいね!
★石井さとこ先生のクリニックは、 ホワイトホワイト(恵比寿店、ルミネ新宿店、ルミネ有楽町店) http://whitewhite.jp/