過去、OurAgeでは「飛蚊症(ひぶんしょう)」「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」「眼瞼下 垂(がんけんかすい)」など、さまざまな目の不調を取り上げてきました。そしてそのたびに反響の大きさに驚かされました。
今と将来に備えてしっかりチェック!
40代、50代が知っておくべき
「目の病気」
OurAge世代になると特に、目の疲れ、見えにくさ、乾燥など、さまざまな不調が気になってきます。
今回は、加齢によって目がどのように変化するか、についてのお話です。
目も加齢によって変化します!
目も他の部位と同様、年齢の影響を受けて機能が衰えていきます。
体質や持病などの影響も加わって、深刻な目の病気になることも。
大鹿 哲郎さん Tetsuro Oshika
加齢性のものだから
仕方ないとあきらめないで
網膜に映る光の情報を像として認識するのは脳の役目ですが、加齢などで一連の過程のどこかに支障が生じれば、見え方に異変が起こります。
「体と同じく目も年をとります。老化は誰にでも自然に起きるものだけに、目の衰えを避けることはできないのです。目の老化の代表的な症状である老眼は、一般的に45歳頃から始まります。老眼の原因はピント調節機能の衰えですが、ほかにもさまざまな部位に加齢の影響は現れます」と大鹿先生は言います。
例えば網膜に起きる変化で、50代から起こりやすくなる病気のひとつに加齢黄斑変性があります。これは網膜の中でも、見え方に大きくかかわる黄斑部の障害が原因となって起こります。また、視神経が傷むと緑内障になり、水晶体の成分が変質して白濁すると白内障になります。
「加齢性のものなので仕方ないとあきらめて、そのまま放置してはいけません。ものが見えづらいまま生活していると、QOL(生活の質)が下がるだけでなく、人生を楽しむ意欲までなくしてしまうこともあります。適切な処置で治る病気もあるので、見えにくさの原因を確かめ、治療を受けることが大切です」
次ページは、 「目」のパーツとその役割などについてご紹介します。
(右上から時計回りに)
■黄斑部(おうはんぶ)
網膜の中心部にある、直径2㎜ぐらいの部分。この黄斑部でとらえた像が視野の中心にきます。さらにその中心には、中心窩(ちゅうしんか)というくぼみがあります
■視神経(ししんけい)
網膜の視細胞がとらえた光の情報を、電気信号に変えます。視神経を通って、その情報が脳に伝わります
●加齢により視神経が傷むと、「緑内障」に
「緑内障」は40歳以上の中高年に多くみられる病気で、加齢が発症原因のひとつと考えられています
■網膜(もうまく)
目の奥(眼底)に広がる、光をキャッチする視細胞が集まった薄い膜。この網膜の視細胞が、光の情報を電気信号に変えます
■水晶体(すいしょうたい)
直径約10㎜のレンズにあたる部分。厚みが変化し、焦点距離を調整します。外界から光が取り込まれると、この水晶体が厚みを変化させて光が屈折。目の奥の網膜上で光の焦点が結ばれます
●長い年月を経ると水晶体が白濁し、「白内障」に
水晶体は、年齢を重ね、長い年月を経ると、成分が変質して白く濁ってきます。ほとんどの人に生じることですが、放置しておくと、どんどん進行するので注意
■前房(ぜんぼう)
角膜と水晶体の間にある空間のこと。房水という透明の液体で満たされています
次回からは、具体的な「目の病気」について詳しくご紹介していきます。最初は、[ドライアイ]についてです。
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/上田恵子
取材協力・資料提供&監修/大鹿哲郎