いし こんにちは。ぐうたらライターのいしまるこです。
前回、加齢とともに減っていき、ゴースト化する毛細血管によって、
全身のあちこちに支障が出てくることを聞き、びっくり仰天の室井滋さん。
今回はいよいよその対策について迫っていきますよ。
室井滋さん
毎日の少しの工夫で
弱った毛細血管を復活させ
増やすことも可能です
室井 元気で若々しくいるためには、毛細血管がすごく大事なのに、放っておくと年々劣化して、減る一方なんですよね。
一体どうすればいいんですか?
根来 はい。ひとつは自律神経のバランスを整え、質のいい睡眠を適切な時間とることです。理想は7時間睡眠です。
室井 私の場合、こういう仕事なので就寝時間がバラバラで、
睡眠時間は少ない時は3〜4時間、多くて6時間くらい。
朝は決まって6〜7時には起きるんですけど。
根来 毎朝同じ時間に早起きするのは、体内時計が整うのでとてもいいですよ。ただ、睡眠時間が3〜4時間になってくると、睡眠の質はよくても、
アンチエイジング・ホルモンが全身を巡って体を修復する時間がないから、毛細血管が劣化し、老化を加速してしまいますね。
室井 アンチエイジング・ホルモン?
根来 代表的なのは、細胞の新陳代謝を促し若さを保つ成長ホルモンです。
最も深い眠りが訪れる寝入りばなの3時間にピークを迎え、残りの4時間で毛細血管によって全身に運ばれ、体を修復するんです。
睡眠時間が短いと、せっかく成長ホルモンが分泌されても、宝の持ち腐れになってしまいます。
室井 悲しい…。
実は私、仕事から帰ってくると、ヘトヘトになって玄関で寝ちゃうんです。
そこで1時間くらい小休止してから、山を登るように2階に這い上がり、リビングで30分ほど寝る。それから、家のことをして、お風呂入って、ようやく床につくんです。
根来 そのやり方でも精神や視力を休めることはできます。
ただ、睡眠が分断されると体を再生する作用が落ちるんです。
ですからまとめて眠られたほうがいいですね。睡眠時間が短いと、やせませんし。
室井 はっ、そうなの!?
根来 はい。睡眠中には、脂肪を燃焼する「コルチゾール」というダイエットホルモンが出るんですけどーー。
室井 えっ、寝ている間に!? 何時に出るの!?
根来 朝、6時くらいに起きたら、夜中の3時くらいにぶーっと出て…。
室井 ちょ、ちょっと待ってください、夜中の2時に寝ても3時に出るの?
根来 一応出ます。体内時計に従って分泌されるので。
ただ、睡眠時間が短い日が続くと、コルチゾールが出すぎて…。
室井 出すぎる? どういう意味?
根来 コルチゾールはストレスホルモンともいわれていて、ストレスに対抗して血圧や血糖値を上げる働きがあるんです。
そのため、ストレスが続くと逆に太る方向に作用してしまうんですね。
室井 おもしろーい。私、肥満のちょっと手前なんですよ。
見かけもそうですが、数字的にもそうで。
根来 コレステロールはホルモンの原料にもなるので、ある程度高めなのはいいんですよ。
室井 最近、やせ過ぎより小太りのほうがいいって聞くから、内心ちょうどいいのかなとも思ってたんです(笑)。
根来 ただ、増え過ぎると、血管の中に酸化したコレステロールがこびりつき始めて、弊害が出てきますからね。でも、今ぐらいであればすぐに引き戻せますよ。睡眠を見直して、あとは食事も重要です。
室井 食べることが大好きなので、実は食事には相当気を使っていまして。
まず、1日30品目以上必ず食べます。
朝は8時から行きつけの喫茶店でモーニング。家にいる時は昼夜しっかり食べて、昼食は1時までにすませます。夕食も9時までにはすませますね。
ドラマに入っているときは、スタジオに小さな炊飯器を持ち込んで、お米を炊くんです。おかずに、お豆腐を買ってきて食べたりしていますね。
根来 かなり理想的ですね。三食規則正しく食べると体内時計も整うんですよ。
室井 腹時計には自信があります。朝昼晩きっちりお腹がすくんです。
根来 それは体内時計がきちんと働いている証拠。体内時計が整うと、
毛細血管が開いたり閉じたりするリズムも整い、血流が改善し、冷えや便秘が解消されます。
室井 確かに、冬でも裸足で平気だし、毎朝快便ですもん。
腹式呼吸の深い呼吸が
自律神経を整えて
毛細血管力を高めます
根来 では、運動はいかがですか?
室井 忙しいので運動する時間もあまりないけど、家が広めなので階段の上り下りは毎日相当してます。
あとはママチャリを乗り回しているから足腰は丈夫です。
根来 いいですね。毛細血管を増やすには酸素の刺激が必要で、筋トレ+有酸素運動が最も有効です。眠っていた毛細血管が酸素や栄養を筋肉に運ぶために目覚め、継続すれば新しい毛細血管がつくられるんですよ。
室井 そうなんですか。そういえば私、血中酸素濃度がめちゃめちゃ高いの。若い頃に、舞台をかなりやっていて、そのときに腹式呼吸をしっかりマスターしたのがよかったのかも。
根来 呼吸法は自律神経を自分でコントロールする唯一の方法なんです。
深い呼吸で息を吐くときに、横隔膜にある副交感神経のセンサーが刺激され、副交感神経が優位になる。だから、寝る前に腹式呼吸をすると体がリラックスモードになって、自然と眠りに入っていけるんです。
室井 私は目を閉じるとあっという間に眠れるんですけど、寝る間際にすごく呼吸が深くなっているのがわかりますね。
根来 それはすばらしい。室井さんは、腹式呼吸が身についているから、酸素を取り込む肺の毛細血管が発達しているのだと思います。
室井 あとはお風呂好きなのも、毛細血管にいいのでは?
どんなに眠くても湯船にだけはつかるんです。
銭湯も大好きで、マイロッカーを借りてるくらい(笑)。
根来 寝る時間を確保するためにシャワーですませる人も多いのですが、10分でもいいのでぬるめのお湯をはった湯船につかるといいんです。
副交感神経が刺激されて末梢の毛細血管までしっかり開き、睡眠中の体の修復・再生が促されます。
室井 直感的に体にいいと思ってやっていたことが、結果的に毛細血管ケアにつながっていたんですね。
だからハードワークのわりには、元気でいられるのかな。
根来 そう思います。あとは睡眠を少し工夫されれば、10年、20年と元気にお仕事が続けられますよ。健康に生きていくためにまず考えるべきことは、いかに全身の毛細血管の健康を保って、全身の細胞を健全に働かせるかです。
僕の本では、毛細血管ケアの具体的な方法もたくさん紹介したので、ぜひ参考にしてください。
室井 参考書にして精進します!
パリ&ハーバード大学 根来教授の特別授業
「毛細血管」を増やすが勝ち!
根来秀行 1350円(税込) / 集英社
それでは、今日も素敵な1日を!
構成・文/石丸久美子 撮影/角守裕二
ヘア&メイク/鈴木将夫(MAVEE)(室井さん)
スタイリスト/中井綾子(crêpe)(室井さん)
撮影協力/徳真会QUARTZ TOWER