美肌にはストレスに対するメンタルケアも重要。
「ナチュラル美エイジング」という考え方
坪内先生は、お会いすると優しくてほっとする方です。でも、知識と情報は引き出し多くて、いろいろ教えてくださる、心強い先生。
で、かたや奥田先生は、作家でもあります。最新刊も売れている、精神科ならではの切り口を持つヒットメーカー!
このふたりが、「美しくあることに対してストレスになったら、それは心にとってちょっと危険」と、美に対するアプローチとその心ケアまで始めたのです!
これ最強タッグですよね? そのおふたりが何をしているのか、気になるのは、くみくみだけではないはず!
ぜひ、チェックしてみてくださいね!!
皮膚科医と精神科医の
コラボ治療をスタート!
坪内 昔から「皮膚科の一般的な病気の3分の1は、心身症から来るもの」といわれます。私自身、以前から美しい肌を保つには、美容皮膚科とメンタル、両面からのケアが必要だと考えていました。
うちに来られる患者さんも、アトピーやニキビなどさまざまな問題を抱えていらっしゃいますが、根本には仕事や家庭のストレスなどがあることが多いのです。
奥田 そうですね。心身にストレスがかかると交感神経が過緊張になり、末端の血管が締まるため血流が悪くなります。血流が悪くなると肌がくすみますし、そのまま放っておくとシミができたり、ホルモンバランスが崩れたり、新陳代謝が悪くなったりします。もちろんニキビもできます。
坪内 さらに、ストレスが原因で活性酸素が増えると、ニキビや肝斑が悪化します。もちろん私も患者さんのお話を伺いますが、「ここから先は精神科の先生が適任」と思うことが少なくないんですね。
そんなとき奥田先生も同じことを考えていらっしゃるのを知り、「〝ナチュラル美エイジング〞というコンセプトを掲げて一緒にやりましょう」と、うちのクリニックに来ていただきました。
奥田 精神科の保険診療だと、初診には30分とれるものの、再診からは10分。なので結局は、薬を出して終わりになってしまうことが多いんです。
心の病気には薬が効きますが、そこまでではない患者さんの場合、適切なカウンセリングとアドバイスをしてあげると、それだけでよくなることも。いろいろ考えていたときに坪内先生が声をかけてくださったことがきっかけで、私のやりたかった診療が実現しました。
アンチエイジングは
無理なく続けましょう
坪内 例えばアトピーにも、「心のかゆみ」という症状があります。皮膚疾患の末梢のかゆみではなく、中枢のかゆみですね。これもストレスで悪化します。
末梢のかゆみは抗ヒスタミン剤などで取れますが、心のかゆみには抗うつ剤や精神安定剤が効果的。また、美容領域には「醜形恐怖症」という例があります。外見をキレイにしてもハッピーになれないとしたら、原因はそこではなく心にあるのです。
奥田 外からの治療も大事ですが、心の中の根本的な問題が解決できないと、本当の意味でよくなることはありませんものね。「楽しいな、結果が出てうれしいな」と思っているうちはいいですが、ストレスを感じるようになったら危険です。美に執着することで、満たされない何かを埋めるのはまちがっている気がします。
坪内 アンチエイジング治療は、続けないと効果を維持できません。頑張りすぎず、無理のない範囲で行うことが大切です。「何よりも若く見られたい」という考えは非常に日本的、アジア的ですが、「その年齢なりの美を追求したい」という気持ちは尊重したい。
奥田 ナチュラルでイキイキした美しさですよね。イキイキと輝くためには、まず心身の健康が基本になります。特に大切なのは、良質な睡眠と食事です。毎日7時間は眠り、タンパク質をしっかりとる。適度な運動も忘れずに。
坪内 40〜50代は体の変わり目でもあるので、更年期や病気に対する心構えも必要です。何か不調がある場合は、クリニックできちんと検査と治療を受ける。そこまでではない場合、サプリメントやアロマオイルを活用するのもいいと思います。
アロマオイルは質のいいものを選べば、さまざまな効能が期待できます。定期的な検査と自分に合った治療、そしてセルフケアの3本立てで、ぜひ20年先まで元気とキレイをキープしてください。
撮影/板野賢治 ヘア&メイク/中軍裕美子 取材・原文/上田恵子