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素敵女医のアンチエイジングメソッド ⑥ 船曳美也子さん

船曳美也子さん(53歳・産婦人科医)

船曳美也子さん(53歳・産婦人科医)

1983年神戸大学文学部心理学科を
卒業した後、’91年兵庫医科大学卒
業。兵庫医科大学病院などを経て、
オーク住吉産婦人科に勤務。現在
はオーク梅田レディースクリニッ
クを中心に診療。

http://www.oakclinic-group.com/

テレビでもご活躍の船曳先生は、大阪のクリニックにお勤めです。

MyAge/OurAgeが、いつもお届けしていと思っている更年期についてのいろいろな情報など教えていただける、心強い先生です!

 

今回はHRTについて。いろんな疑問にも答えていただきました!

 

 

 

更年期症状の劇的な改善が期待できるHRT。
医師との連携によるオーダーメイド治療を

 

船曳美也子先生

 

 

ホットフラッシュの改善に即効性あり!

 

更年期の不調は、ホルモンの急激な低下に体がついていかないことから起こります。HRT(ホルモン補充療法)は、それを軟着陸させる治療法のひとつ。

抑うつ、睡眠障害、性交痛、肌荒れなど、さまざまな症状をやわらげますが、特に効果があるのがホットフラッシュです。患者さんの中には「HRTを始めた途端、のぼせと発汗が治まった」という人もいます。

 

上手に使えば劇的な効果が得られるHRTですが、一方でリスクもあります。ひとつは血栓が起きやすくなること。つまり脳梗塞ですね。女性ホルモン自体に血栓をできやすくする作用があるので、HRTを受けている人は定期的な血液検査が必要です。

 

そして、血栓を起こさない体づくりのためにも、毎日適度な運動をする、たっぷり水分をとる、肥満しない、禁煙する、軽い
糖質制限をすることを心がけましょう。

 

もうひとつは乳がんです(詳細については下のガイドラインを参照)。実は乳がんとHRTの関係には、さまざまな報告があり、明確なデータは出ていません。

いずれにしても、年齢的に乳がんのリスクが高まる世代であることはまちがいないので、HRTをする、しないにかかわらず、毎年の検診は欠かさず受けることをおすすめします。

 

 

定期的に検査を受ければ過剰な心配は不要です

 

 

私自身は43歳で出産した後、生理が不規則になり、めまいなど三半規管の症状が出はじめたため、45歳からHRTを始めました。私には合っていたようで、今はほとんど症状は出ていません。

 

ただ、完全に止めてしまうとまた不調が出るので、現在は貼るタイプとジェルタイプのどちらかを、2〜3日に1回使っています。ほかにDHEAという男性ホルモンの一種のサプリメントと、睡眠障害の対策にメラトニンを飲むこともあります。

 

HRTはオーダーメイド治療です。医師と相談しながら、体調の変化に合わせた増減が可能ですし、漢方薬やサプリメントと併用することもできます。定期的に検査を受ければ、過剰に心配する必要もありません。

生活の質を上げる手段として、選択肢に入れておいて損はないと思います。

 

 

 

ホルモン補充療法ガイドライン 2012年度版

 

1. 現在の乳がんとその既往の方は禁忌。乳がんの既往者についてのHRTによる再発リスクは、「高まる・低下する・変わらない」と一致した意見はないが、現状では乳がんの既往を有する症例にはルーチンのHRTは勧められない。

 

2. HRTの使用期間について。治療目的の場合:症状により治療期間を決める。予防目的の場合:閉経後できる限り早期に開始する。5年以上は乳がんのリスクを有意に増加するといわれており、一応5年間の投与を1つの基準とし、以後リスク・ベネフィットを考慮して決定する。

 

3 .また施行中は、1年に1回は乳がん検診(触診と超音波、またはマンモグラフィー)をし、投与終了後も5年間は同様の検診を勧める。ホルモン補充療法ガイドライン 2012年度版

 

出典/『ホルモン補充療法ガイドライン』2012 年度版、「産婦人科医のためのホルモン補充療法Q&A 日本産婦人科医会 平成21 年3月

 

 

テープタイプのHRT

テープを肌に貼るタイプのHRT。経皮吸収型エストラジオール製剤エストラーナ テープ。

 

 

経口エストラジオール製剤

経口エストラジオール製剤 ジュリナ錠。

 

 

ジェルタイプのHRT

ジェルタイプのHRT。経皮吸収型エストラジオール製剤 ル・エストロジェル。「HRTに関しては、更年期症状のある人にはHRTをすすめる、ない人の場合は希望があればQOLのためにHRTをする、というのが私のスタンスです。どちらの場合もリスクを理解してもらい、HRT施行中は自己管理(自己検診を含む検診)をしていただきます。投与中および投与後も、乳がんについては年1回の検診に加え、自分で胸を触る『毎日お風呂で自己検診』をすすめます」

 

 

撮影/板野賢治 取材・原文/上田恵子

 

 

 

 

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