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ファイトケミカルと抗酸化作用

杉野宏子

杉野宏子

美容外科・美容皮膚科の「青山エルクリニック」院長。(社)日本形成外科学会専門医。(社)日本アンチエイジングフード協会理事。サーマクール専門医、ペレヴェトレーニングドクター。体の内側のコンディションを整えながら、美しさを導くことをモットーとし、最新の美容治療マシンや各種先端治療を取り入れている。

 

ムック『MyAge』で、アラフィフ世代の素敵な女医が美しく健康でいるための秘訣を伝授する「S-Joy~素敵女医~」シリーズの第1回からのメンバー。

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『MyAge 2015 Spring号』に、「S-Joy~素敵女医~」シリーズ『健康で太らない体をつくる素敵女医的「食の秘策」』が掲載されています。その中の「糖質制限の真実」という鼎談に参加されている「青山エルクリニック」院長の杉野宏子先生にご登場いただき、お話をうかがうこの連載。今回は、話題の「ファイトケミカル」について解説していただきます。

 

 

こんにちは、杉野宏子です。

今回は、ファイトケミカルと抗酸化作用についてお話ししたいと思います。

 

最近よく耳にする「ファイトケミカル(phyto chemical)」という言葉。この“phyto”はギリシャ語で植物を意味し、“chemical”は英語で化学成分という意味になります。続けて訳すと「植物性の化学物質」ということになります。うちのクリニックでは「フィトケミカル」という読み方を採用していますが、どちらも意味は同じです。

 

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野菜や果物、海藻、お茶、ハーブなどに含まれるファイトケミカルとは、色素や香り、アク、辛み、渋み、苦みなどなどの成分から発見された化学物質のこと。たんぱく質、炭水化物、脂質といった3大栄養素以外の成分で、ビタミン、ミネラル、食物繊維に続く「第7の栄養素」として注目されています。医学的にはまだはっきり解明されていない部分も多いものの、抗酸化作用や、免疫力をアップさせる効果があるとして期待されているのです。

 

植物が持っている抗酸化作用や生体防御作用、自己修復作用、免疫力をアップさせる機能は、もともとは自分を守るための自己防衛本能です。動物と違って自由に動けない植物は、害虫などの敵からも逃げられず、雨や風、紫外線といった過酷な環境の中で生き抜かねばなりません。つまりファイトケミカルとは、植物が身を守るために自らが作り出したものなのです。

 

生物が健康に生きていくためには、活性酸素による酸化(体の錆び)を防がなくてはなりません。人間も同様で、呼吸をして常に活性酸素を作っている以上、それを中和させる抗酸化作用のあるものを摂取し、体の酸化を防止することが大切。抗酸化は、がん、生活習慣病、認知症などの予防などのほか、アンチエイジングにも有効です。

 

1万種類以上あるとされるファイトケミカルのなかでも、抗酸化物質としてよく知られているのが「カロテノイド」という色素です。カロテノイドは緑黄色野菜に多く含まれ、代表的なものとしてはβ-カロテン(カロチン)やリコピン、ルテイン、ゼアキサンチンなどがあります。これらの成分は活性酸素から身を守るほか、美肌、シミの予防、目の健康などにも効果があると言われています。

 

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多く含まれる食品としては、次のようなものが挙げられます。なお、β-カロテンは脂溶性なので、油で調理すると吸収率が高くなります。

 

 

β-カロテン・・・ニンジン、パセリ、かぼちゃ、しそ、バジル、ほうれん草、ゴーヤ

 

リコピン・・・トマト、スイカ、柿、レッドグレープフルーツ、あんず

 

ルテイン・・・ブロッコリー、ほうれん草、ケール、グリーンピース、ラズベリー

 

ゼアキサンチン・・・パプリカ、トウモロコシ、パパイヤ、ほうれん草

 

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そしてもうひとつ、抗酸化作用で知られているのが「ポリフェノール」です。ポリフェノールとは植物が光合成を行う際にできる物質の総称で、アントシアニン、レスベラトロール、カテキン、ルチン、イソフラボン、カカオマスなどがそれに当たります。認知症予防、血管の強化、アンチエイジング、目の健康、コレステロールの減少、脂肪燃焼効果などがあると言われています。

 

水に溶けやすく吸収されやすいのが特徴で、熱に強い性質を持っていますが、酸化しやすいので調理後はできるだけ早く食べてください。成分は皮や種の部分に多く含まれており、皮ごと食べるのがおすすめです。

ポリフェノールを手軽にとりやすいブルーベリーやラズベリー。生を手に入れるのが難しい場合は、冷凍でもOK。私もジュースを作る際には、手軽に使える冷凍ブルーベリーや冷凍ラズベリーを使用しています。

 

多く含まれる食品は次のとおり。

 

アントシアニン・・・赤ワイン、なす、黒豆、小豆、ブルーベリー、紫いも、プルーン、ラズベリー

 

レスベラトロール・・・赤ワイン、ピーナッツの皮、ココア、アーモンド

 

カテキン・・・緑茶

 

ルチン・・・そば

 

イソフラボン・・・大豆

 

カカオマス・・・ココア

 

 

いずれにしても、体にいいからと特定の食品だけを大量に摂取するのは逆効果。さまざまなものをバランス良く食べることが大切です。また、最近の果物はむかしに比べて甘くなっていますので、糖分のとり過ぎにも注意してください。

 

 

次回も引き続きファイトケミカルについてご紹介していきます。

 

 

◆杉野先生おすすめのアンチエイジングジュース

 

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ブルーベリーのジュース 

材料2人分:

冷凍ブルーベリー    大さじ4.5杯

バナナ         1本

キャベツ        2枚

水          150ml

 

 

栄養 ポイント:

ブルーベリーのアントシアニンには抗酸化作用があり、老化防止、癌予防に効果的です。
それ以外にも、眼精疲労を回復する効果が有名ですね。高血圧、動脈硬化の予防にも良いと言われています。

 

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ラズベリーとピンクグレープフルーツのジュース 

材料2人分:

冷凍ラズベリー      大さじ3,4杯

グレープフルーツ     半個

セロリ          1本

白菜           1枚

炒りごま         大さじ1

エゴマ油         大さじ1

水            150ml

ターメリック、シナモン、クローブ、カルダモン 各少々

 

栄養ポイント:

ラズベリーはビタミンC、クエン酸が多く、カロテノイドの一種ルテイン、ポリフェノールのエラグ酸、アントシアニンなど抗酸化成分を多く含みます。癌予防、老化防止、美白効果が期待できます。

 

 

 

取材・文/上田恵子

 

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