更年期を乗りきる対策として注目されているHRT。
今回お話しをうかがったまのえいこ先生もHRTによって症状が改善したひとり。
まのえいこさん Eiko Mano
61歳・皮膚科
マノメディカルクリニック
「症状がつらいときは、自分を思う存分甘やかしてください。
出かけたくないときは一日中家にこもっていてもいいし、
昼までベッドの中にいてもいい。私もそうでした。
無理をせず、自分が心地いいと思うことをしましょう」
まの先生の経緯
●47歳頃 ドライアイになる。コンタクトレンズをやめ、レーシック手術をすることで解決。
●50歳 疲れが取れなくなり、成長ホルモンを注射するも効果なし。
●51歳 起床時、歩き始め5分ほどの足裏の痛み、頭重感や声枯れ、リウマチのような手指の痛み、
片頭痛、過呼吸、呼吸がしにくい、異常な冷えと寒気、股関節が硬くなりロボットのような動きになるなど、体の不調が次々に現れる。
その後、味覚障害、抑うつ状態、不安感といった精神症状に発展。
●52歳 自分を取り戻す!
認知症を疑ったほどの精神症状がすっきり!
ゴルフが趣味で、活動的で明るい性格のまのえいこ先生。
先生の更年期は47歳頃から始まりました。
「最初の症状はドライアイでした。
その次が重い疲労感。
とにかく仕事の疲れが取れず、自費でアメリカから輸入した成長ホルモンを、
毎日両脚に1本ずつ打っていました。
女性ホルモン値は正常だったので、
それが更年期のせいだとは思いもしなかったのです」
残念ながら注射の効果はなく、50歳を迎える頃には新聞の同じ行を何度も読み返すなど、
文章が理解できなくなる症状に悩まされるように。
「ほかにも異常な冷えや微熱、声枯れなど、
さまざまな不調に襲われました。
なかでもショックだったのは、
仕事先との打ち合わせの約束を2度にわたって忘れてしまったこと。
ありえない失態に認知症を疑ったくらいです。
大好きな車の運転も怖くなり、
診察後はタクシーで帰宅するようになりました」
その後、うつ症状や不安感を強く感じるようになり、抗うつ剤、SSRI(セロトニンの減少を防ぐ薬)、
精神症状に効く漢方薬などを服用したものの効果なし。
ついには予約を入れた精神科に行く気力すらなくなってしまった、
というのですから重症です。
「最後の手段で、がんのリスクが怖くて避けていたHRTを試してみることにしました。
わらにもすがる思いでプレマリン(エストロゲン剤)を1錠飲んだところ、
30分で目の前の霧が徐々に晴れ出し、
1時間半で目の前がすっきり!
ホルモンの効果に驚きました。
1〜2週間で体調は改善しましたが、
1週間ほど飲むのを休むと、ややパワーダウンぎみになったので、
様子をみながら4カ月ほど服用。
それからは、胃や肝臓への負担が少ない貼り薬へと移行しました。
定期的にがん検診を受けながら、
トータルで5〜6年使用していたでしょうか。
今でも頭の働きをよくしたいときに、
月に2枚ほど貼るようにしています」
HRTで服用していたプレマリンと、
現在も時々使用するエストラーナテープ。
「プロテインを飲む代わりに、きなこ、納豆、豆腐など
大豆食品を積極的に食べています」
撮影/小松勇二 取材・原文/上田恵子