美腸ケア13
予防できるがんだからこそ、早めの対策が肝心!
大腸がんにならないために、今からできること
近年、女性に増え続けているのが大腸がん。命にもかかわる病気だから、放っておくと危険! 大腸がんについての知識を深め、予防と早期発見を!
ここでは、2回に分けて大腸がんに関する知識や予防法などについて、後藤利夫先生に教えていただきます。
まず今回は、大腸がんの原因や便秘との関係などにについてです。
CASE-1
大腸がんは日本人女性の死因1位!
昨年、俳優の今井雅之さんが54歳の若さで大腸がんで亡くなり、衝撃を受けた人は多いと思いますが、大腸がんは今、女性の間で急増中。
「大腸がんはこれまでは男性に多い病気でしたが、2003年以降、女性のがん死因の1位になりました。大腸がんの大きな原因に、肉や高脂肪の食生活があります。女性は、かつては家で食物繊維多めの食事を摂ることが多かったのですが、女性の社会進出に伴い、男性のように肉や高脂肪の食事をとることが増えました。その結果、女性の大腸がんが急激に増えているのです」
上のグラフのように、以前は胃がんがトップで、大腸がんは4位でしたが、年々増加し、現在はトップに。
「大腸がんの3大症状は、便に血が混じる、便秘、腹痛です。ただ、これらは大腸がんでなくても起こりやすい症状なので見逃しやすいうえ、特に症状が出ないことも多いため、発見が遅れて手遅れになることもあります。そうなると命にかかわる病気なので非常に危険です」
CASE-2
大腸がんは、悪玉菌の増加が原因
なぜ肉や高脂肪の食事で大腸がんになるのか、そのメカニズムをさらに詳しく伺いました。
「肉や脂肪分は、腸内の悪玉菌のエサになります。逆に、食物繊維の多い野菜類や発酵食品などは、腸内の善玉菌を増やしますが、これらをあまりとらず、肉や脂肪分の多い食品ばかりとっていると、腸内に悪玉菌が増加します。すると便が腐敗して、有害物質やガスが発生しますが、この中の物質が、腸の粘膜を傷つけ、大腸ポリープを作ります。このポリープが大きくなると、大腸がんになるのです」
つまり、大腸がんの引き金となるのは腸内の悪玉菌の増加。しかしながら、悪玉菌は、加齢とともに増える傾向があるというから要注意。
「乳児の腸内は善玉菌のビフィズス菌が大多数ですが、加齢とともに減っていき、中高年以降になると悪玉菌が増えていくというデータがあります。ですからOurAge世代は、特に大腸がんには気をつける必要があるのです」
次ページでは、「便秘だと大腸がんになりやすい!?」についてご紹介!
CASE-3
便秘だと大腸がんになりやすい!?
便秘に悩む人にとって気になるのは、便秘だと大腸がんになりやすいの? ということですが…。
「便秘が大腸がんの原因だということは、まだ直接的には証明されていません。ただ、便秘になって、腸内に長時間、便が停滞すると悪玉菌が一気に増えて腸内の便の腐敗が進みます。その結果、有害物質が発生してポリープができやすくなり、大腸がんの原因となるので、便秘だと大腸がんになりやすいと言えるのです。ですから、食物繊維の少ない食生活や、運動不足、ストレスなどといった便秘を招くような生活習慣は、間接的に大腸がんの原因になると言うことができます」
大腸がんの原因となるポリープは、大腸粘膜にできるイボ状の突起。これが必ずがんに進んでいくそう。
「大腸ポリープの多くは良性のものですが、放っておくと大きくなり、徐々に前がん状態となり、最終的にがんになります。直径が2㎝以上の場合は、がんに発展している可能性が高いとされています」
次回は、早期発見のためにするべきことと、自分でできる予防法などについてご紹介します。
撮影/吉川綾子 取材・原文/和田美穂