骨を強くする運動は、筋肉を鍛える運動とちょっと違います。効果的なエクササイズを骨粗しょう症分野の第一人者・太田博明先生に教えていただきました
運動をすると骨芽細胞が活性化し、骨量が増加
まずは、運動をすると骨が丈夫になる仕組みを伺いました。
「筋肉は体を動かすほど鍛えられますが、これは骨も同じ。運動で骨に負荷がかかると骨をつくる骨芽細胞が活発に働き出し、骨質が改善して骨量が増えます。また、カルシウムの骨への沈着も促されます。このような作用から骨がより強いものにつくり変えられるのです。筋トレをすれば何歳になっても筋力がアップするように、運動をすれば何歳になっても骨も強く丈夫になります。骨が減りはじめた40代〜50代の今こそ、運動で骨量の減少をくい止めることが重要です」
ただし、運動ならなんでも骨によいわけではないとか。
「骨芽細胞を活発にしたり、カルシウムの骨への沈着を促すには、骨に重力や衝撃が加わることが必須条件。ですから、水泳や自転車こぎのような重力が軽減する運動は骨への効果はありません。おすすめなのは、かかと落としやジャンプなどの骨にダイレクトに負荷が加わる運動。一度にたくさんやるより、一日のうち何回かに分けて行ってもよいので、長く続けることが重要です」
骨を強くするエクササイズ
【基本のかかと落とし】
1.かかとを上げてつま先立ちに
両足のかかとを上げて、つま先立ちになります
2.かかとを落とし衝撃を与える
足の力を抜き、かかとをストンと落とし、衝撃を与えます。これを1日30〜50回を目標に
仕事中でもできる
【その場足踏み】
仕事中など座りながらできるかかと落とし。いつでもできるのでこまめに実践を。
1.椅子に浅く座る
椅子に浅く座り、背すじを伸ばします
※靴を履いたままでも可
2.片足のつま先を上げる
片足を軽く上げて、つま先を上げます
3.かかとをストンと下ろす
床にかかとをストンと下ろし、衝撃を与えます。これを左右交互に、1日30回×3セットを目標に
骨力、脚力をアップ
【踏み台昇降】
踏み台昇降も、かかとに刺激を与えて骨を丈夫にするのに効果的。大腰筋などの筋肉を鍛える効果もあります。
1.台に右足をのせる
高さ10〜20㎝ほどの台を用意し、体の前に置きます。台に右足をのせます
2.左足ものせて両足をそろえる
左足ものせ、両足をそろえて台の上に真っすぐに立ちます
3.右足をかかとから下ろす
かかとから着地するイメージで、右足を台から下ろします
4.左足もかかとから下ろす
左足もかかとから下ろします。左右の足の順を入れ替えて同様に。この左右1〜4を1日10回×3〜5セットを目標に
より強い負荷をかける、骨に最高の運動!
【10㎝ミニジャンプ】
踏み台からジャンプするエクササイズ。かかとに、より強い負荷をかけ、脚全体の筋肉を鍛える効果も。
1.台の上に立ち、つま先を出す
高さ10㎝ほどの台の上に、つま先が少しはみ出すくらいの位置で立ちます
2.台の前に軽くジャンプ
台から前に出るように、軽くジャンプします。無理して高く跳ぶ必要はありません
3.膝を軽く曲げてかかとから着地
かかとを意識して足裏全体で着地。膝は軽く曲げて衝撃をやわらげて。1日10回×3〜5セット
日本産婦人科学会専門医、日本骨粗鬆症学会認定医、日本抗加齢医学会監事・専門医。日本の女性医療をリードするパイオニア。骨粗しょう症分野の第一人者
撮影/藤澤由加 ヘア&メイク/永田紫織 スタイリスト/鈴木由里香 モデル/SOGYON 取材・原文/和田美穂