OurAge世代なら他人事じゃない!
目の病気「加齢黄斑変性(かれいおうはんへんせい)」
年齢とともに、今まで感じなかった体の不調が出てくるのがOurAge世代。
目の疾患も例外ではありません。
ここでは、目の前に浮遊物が見えてしまう「飛蚊症」とともに、特に気になる症状「加齢黄斑変性」について徹底リサーチ!
今回は、「加齢黄斑変性」とはどのような症状なのか、チェック法とあわせてご紹介します。
“老化”以外に
生活習慣もその原因に
「加齢黄斑変性のおもな原因は老化ですが、生活習慣も影響しています。なかでも喫煙者は、発症の頻度が高くなることがわかっています。ほかに太陽光の刺激や高血圧、肥満、偏った食生活、遺伝とのかかわりなども指摘されています」(大倉萬佐子先生)
本を読んだり文字を書いたりするのが困難になる、財布の中のお金の判別がしにくくなる、野菜を切る際に手元が見づらいなど、病気が進むと日常生活にも支障が出てきます。
■「加齢黄斑変性」はなぜ起こるの?
原因としては、加齢による老化現象が最も大きなものですが、ほかに左記のような要因も危険因子として挙げられています。なかでも発症のリスクを高めていると考えられるのが、喫煙による酸化ストレスです。
【「加齢黄斑変性」の原因】
・加齢(老化現象)
・高血圧
・肥満
・喫煙による酸化ストレス
・高脂肪食(脂分の多い食事)
・太陽光などの光刺激
・遺伝
・抗酸化物質の摂取不足
■こんなことを感じていたら要注意
下記のような症状がある場合は要注意! 早急に眼科に行きましょう。
問診では、変視症(物が歪んで見える)、中心暗点(中心が欠けたり暗く見える)、視力低下、色覚異常(色の区別がつきにくい)などについてのほか、いつ頃から症状が始まったか、喫煙歴、家族歴、現在治療中の病気の有無などについて聴き取りをします。
・「字を読んだり書いたりするのが困難になった」
・「信号の表示がわかりにくくなった」
・「財布の中のお札や硬貨の判別が、難しくなった」
・「食事のとき、箸で食べ物がうまくつかめなくなった」
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■歪んだり、暗く見えたり。日常生活にも支障が
加齢黄斑変性は、網膜の中心部にある黄斑に問題が起きる病気なので、物を見ようとしたときに最も影響を受けるのも視界の中心部です。症状の進行とともに物が歪んで見えたり、大きさが違って見えたり、字が読みにくくなったりします。お金の判別がしにくい、料理をしている手元が見づらいなど、日常生活にも支障が出ます。
■「視覚障害」の原因としても増加傾向に
「視覚障害の原因」を疾患別に見ると、2004年の1位は緑内障、2位は糖尿病網膜症、3位は網膜色素変性で、加齢黄斑変性は1989年の7位から4位に浮上しています。日本ではこれまで患者数は比較的少数でしたが、高齢者の増加やライフスタイルの欧米化などにより、急激に増えつつあります。
■日本でも「加齢黄斑変性」増えています
1998~2007年の9年間における加齢黄斑変性の発症率は、性別を問わず加齢に比例して増加。欧米と比べ、日本では男性が多いのが特徴で、これには喫煙率の高さが影響していると推測されています。下のグラフを見ると、患者の数は9年で2倍近くに増加。特に進行の早い「滲出型」の患者数の増加が顕著だといわれています。
アイクリニック天神
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次回は、視力をつかさどる重要な細胞が集中している“黄斑”など、目の中のことについて詳しくご紹介します。
イラスト/内藤しなこ 取材・原文/上田恵子 監修/大倉萬佐子