婦人科ドクター×アンチエイジングドクター座談会
更年期を熟知した素敵女医による
更年期とホルモン治療の今
知っているようで意外に知らない更年期のあれこれと、昨今のホルモン治療。 3人の女医に語っていただいた、ご自身の体験も含めた対処法と最新情報などを4回に分けてご紹介。
今回は、健康寿命を延ばすための対策として有効と言われる、ナチュラルホルモンを使ったホルモン補充療法についてです。
飛田砂織さん Saori Tobita(左)
47歳 美容皮膚科・抗加齢医学
クリニックシュアー銀座
30代後半、PMSに悩む。漢方薬などで対処
43歳/疲れと冷えの症状改善のため、
ナチュラルホルモンを使ったホルモン補充療法を開始
まのえいこさん Eiko Mano(中)
62歳 皮膚科・美容皮膚科
マノメディカルクリニック
50歳/成長ホルモンを注射
51歳/声枯れ、過呼吸などの症状が現れ、抑うつなどの精神症状に発展
52歳/エストロゲンで自分を取り戻す
土屋眞弓さん Mayumi Tsuchiya(右)
54歳 産婦人科・美容皮膚科
土屋産婦人科
50歳/閉経後、肌トラブルが
52歳/夫が急逝。夫婦で運営していた病院の院長にも就任。精神的不調に
53歳/精神症状はほぼ解消
S-Joy’s hormone method
健康寿命を延ばすための
対策として取り入れる
飛田 現在、私が実践しているのはナチュラルホルモンを使ったホルモン補充療法です。疲れや冷え、更年期、肌や髪のアンチエイジング、骨粗しょう症や認知症を予防できるところがすばらしいと思っています。また、脳梗塞や心筋梗塞は加齢とともに増加する病気ですが、ホルモンを適切に補充していけば、動脈硬化の予防も期待できます(注2)。
※注2:出典:N Engl J Med. 2016 Mar 31;374(13):1221-31. doi:10.1056/NEJMoa1505241.
Vascular Effects of Early versus Late Postmenopausal Treatment with Estradiol.
Hodis HN1,Mack WJ1,Henderson VW1,Shoupe D1,Budoff MJ1,Hwang-Levine J1,Li Y1,Feng M1,Dustin L1,Kono N1,Stanczyk FZ1,Selzer RH1,
Azen SP1; ELITE Research Group.
土屋 ナチュラルホルモンは、最近耳にする機会が増えましたね。
飛田 正式には「バイオアイデンティカルホルモン」と言いますが、体に備わっているものと同じ化学構造式で作られたホルモンという意味で、女性ホルモンの場合、ヤムイモなどが原料になっています。合成ホルモンより副作用のリスクが低いとされており、更年期の治療にはヒトと同じ構造式のメラトニン、テストステロン、DHEA、エストロゲン(エストラジオール、エストリオール)、プロゲステロン(黄体ホルモン)などが使われます。
土屋 飛田先生ご自身は、どんなホルモンを補充しているのですか?
飛田 今現在は、いずれもナチュラルホルモンですが、プロゲステロン、代謝を上げる甲状腺ホルモン、免疫システムの働きを高めるDHEA、体内リズムや眠りの深さをコントロールするメラトニンの4つですね。
まの 総合的なホルモン補充療法ね。
飛田 そうなんです。今、日本人女性の健康寿命(健康上問題のない状態で日常生活を送れる期間)と平均寿命の間には、約12年の差があるといわれています。これは認知症や寝たきりなどで、普通の日常生活が送れない時期が12年間もあるということです。そういう現状に何らかの対策を取りたいと考える人には、かなり有効な手段だと思います。
【What’s S-Joy?】
S-Joyとは、素敵女医(SUTEKI JOI)からのネーミング。Over-45のOurAge世代で、若々しくイキイキと輝いている女性医師たちに、ずっと美しく健康で過ごす秘訣を伝授してもらうシリーズです。美容皮膚科、婦人科、歯科、形成外科など、幅広い科の先生方の専門知識を生かしたアドバイスや、ご本人が実践していることをお伝えします。
次回は、黄体ホルモンと子宮内膜との関係についてのお話です。
撮影/ケビン・チャン 取材・原文/上田恵子