口内フローラの改善は健康の必須条件! なんと口内の悪玉菌が、全身の病気を引き起こすのだとか。今回も花田信弘先生に口内環境について伺いました。
花田信弘さん
Nobuhiro Hanada
1953年生まれ。鶴見大学歯学部探索歯学講座教授。歯科医師。福岡県立九州歯科大学歯学部卒業、同大学院修了。細菌が歯から血中に入り込み病気を引き起こす歯原性菌血症を中心に研究。著書は『白米が健康寿命を縮める 最新の医学研究でわかった口内細菌の恐怖』(光文社新書)など
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口内環境悪化の
大きな原因は糖質
では、口内環境を悪くする要因とは?
「なんといっても糖質過多の現代の食生活が挙げられます。糖質といっても甘いものに含まれる砂糖は子どもに多い虫歯の原因。成人以降の虫歯は、白米の主成分であるでんぷんなどの多糖類が大きな原因です。でんぷんを加熱すると唾液で分解されやすくなり、麦芽糖に分解されますが、これが悪玉菌の絶好のエサに。炊きたてご飯は歯の大敵なのです。もちろん毎日のオーラルケアできちんと歯垢が除去できていないことも悪玉菌増加の原因です。そのほか、唾液には天然の抗菌成分が含まれているので、ストレスや加齢などで唾液の分泌が衰えていると、口内環境は悪化しやすくなります」
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口内フローラを整える
5つのポイント
口内環境悪化の原因を考えると口内フローラの整え方が自ずとわかってきます。
「まず、なるべく糖質を控えることです。主食は糖質の少ない未精製の玄米や全粒粉のパンなどにするのがおすすめ。また、虫歯菌が酸を作るのを抑える緑茶や紅茶、歯周病菌の増加を抑えるココアのほか、歯周病を防ぐ抗酸化物質が豊富な緑黄色野菜、青魚やえごま油などに多いオメガ3脂肪酸を積極的にとりましょう。そのほか食品から乳酸菌を補うのは腸と同じく口内の善玉菌増加にも効果的。毎日のオーラルケアでは歯垢をしっかり取り除き、細菌の塊である舌苔(ぜったい)もこまめに除去しましょう。食事はよく嚙んで食べて唾液の分泌を促すのもポイントです」
上記の5つを習慣にすれば口内の悪玉菌の増殖が抑えられ、全身の病気の予防にもつながります。健康な歯の維持にも!
次回は口内環境を整えるオーラルケアをご紹介します。
撮影/中川十内 構成・原文/和田美穂